1 稲沢市の概要
(1) 都市概況
- 人口:101,361人(H15.10)。昭和30〜40年代に急増しその後は微増で推移している。高齢化率は愛知県平均よりも低いが、今年の1月に幼年人口と老年人口の数値構成比が逆転した。
- 名古屋都心から20km圏内。公共交通機関で15分足らず。
- 尾張平野の中心地。尾張国府、国分寺・国分尼寺が置かれたところで歴史は古い。江戸時代には美濃路の宿場町として賑わう。
- 将来都市像:「やさしさと緑あふれる生きがい都市」
(2) 総合計画における市街地整備の位置づけ
- 第3次総合計画(1994〜2005)において、都市基盤の整備により市街地の拡大を目指す(市街化区域率、現況13.7%、目標27.4%)ことをあげたが、市街化調整区域も土地改良等により一定程度道路整備がされていることや、市街化区域編入のメリットという点で拡大は進まなかった。
- 第4次総合計画(2003〜20012)では、計画期間10年間は基盤整備を伴っての新規拡大は想定しない計画となった。3つの都市核と市街地周辺部との調和ある進展を掲げた。現在進行している区画整理事業は3地区あり、その事業の推進とともに公共下水道及び幹線道路の早期完了をめざすものとした。将来人口フレームは、トレンドではH17をピークに減少することになるが、大規模住宅開発や区画整理の進展による緩やかな増加を見込んでいる。H24年で104,000人。
- 第3次では市街地整備を最初の項目1-1としてあげていたが、第4次では1-1に環境対策をあげ、環境への配慮・安心安全を前面に出し、市街地整備は2-1に。中心市街地としては、JR稲沢駅周辺、国府宮駅周辺、市役所周辺の3つの都市核を想定。H18年に中心市街地活性化計画を策定予定としている。
- H17.4.1に祖父江町、平和町と合併する。人口14万人弱。合併でも、広域都市交流拠点としてのJR稲沢駅周辺の開発は重点ポイントとしての位置づけは変わらず挙げることになった。また木曽川を広域レクリエーション拠点として位置づけられることも大きい。
(3) 市街地の現況と課題
- 市街地の大きな中心となる核がなく市街地が分散。
- 美濃路周辺や駅周辺に商店、住宅が張り付く。JR稲沢駅から名鉄国府宮駅を結ぶ東西軸上で区画整理による市街地整備を進めたが、人口増は周辺部の開発によるものが多く、区画整理地内で田や畑が目につく。駅周辺では駐車場に活用されているものが多い。
- 国府宮駅周辺では市、商店街、商工会議所等が中心になり、整備計画を策定するが具体的な動きはない。
- JR稲沢駅西周辺では駅舎の新築にあわせたバリアフリー等整備を行っているが、商店街こぞっての具体的な動きまではない。
(4) 産業
- 農業:古くから野菜、植木・苗木等の産地として発展。日本4大植木生産地の一つ。
- 商業:商店数は減少しているが、販売額は増加。近年4つのSC(アピタ、ハーモニーランド、トップモール、ヨシヅヤ)がオープン
- 工業:事業所数、製造品出荷額とも若干減少気味。繊維工場が撤退し、跡地がSCやマンションに。
(5) 住宅整備
- H13年度の住宅マスタープランでは、稲沢駅周辺地区、稲沢団地(都市機構の団地建替え)、稲沢西地区(区画整理)、北市場地区(区画整理)を重点地区として位置づけ。
2 稲沢駅周辺地区(グリーン・スパーク稲沢21)
(1) 地区の概要
- T14に日本3大操車場の1つである稲沢操車場が開場。全国の輸送拠点。S62国鉄の民営化により開発に着手。以前は市街化調整区域であったが、市街化区域に編入。
- 名古屋駅から11km。10分。名神高速道路の一宮ICまで約2Km。交通の利便性の高い地区であり、稲沢市の東の玄関口、西尾張の拠点地区として位置づけ。
- 地区の西側43.45haは都市機構(旧都市公団)が施行者。東側19.78haは市が施行者。
(2) 尾張西部都市拠点地区事業計画(西側地区)の概要
- A〜F街区の6つのまとまった街区がある。
- A街区は市土地開発公社が保有。
- B街区2.1haは市が購入。地域交流センターを計画。H19年以降の整備予定。昨年、キダムを開催。97%という非常に高い入場者があった。駅に近く、かつ駐車場も確保できるというのが要因。このような利用によって知名度アップを図っていきたい。
- C街区3.5haは集合住宅地。販売にかけたが落札なし。
- E街区5.7haはユニーが購入。市西部にアピタがあるが、鉄道駅より東をターゲットにしたい考え。H19春オープン予定。それまでに基盤整備をすすめる。
- F街区2.3haは県土地開発公社が購入。
(3) 下津陸田地区事業計画(東側地区)の概要
- すべて一般住宅地。名古屋岐阜線沿線は近隣商業地域でその他は第2種中高層。
(4) 市街地の整備状況
- 中大通線を中心に発展。S29年より稲沢土地区画整理事業144.9ha、S46年より中部土地区画整理事業43.8haを施行。S29〜60にかけて合計188haの土地区画整理事業が完了。中心部については一定の基盤整備ができている。
- この西側に美濃路の稲葉宿がある。自然発生的にできた市街地。4地区にわけて区画整理を計画していたが、バブル崩壊により困難となり、1箇所(稲沢西地区41.5ha)のみ施行中。
3 その他(稲沢市の特徴など)
- なんでもやっているが、秀でるものがない。
- 市街化区域に4割、市街化調整区域に6割が居住。市街化区域の面積が狭く、図面ではまとまっているようにみえるが、実際の市街化はバラバラに進行している状況。
- 鉄道駅がたくさんある。JR2駅、名鉄2駅。名鉄大里駅周辺は市街化調整区域。JR駅からでるバスはなく、名鉄駅からのバスも少ない。そのため、自動車で駅までくる人が多く、駅周辺に駐車場が多い。
- 土地改良事業によって整備。農業振興地域が広がる。土地改良事業の制約によって転用ができないなど、市街化が抑制された。
- 南北の幹線道路はあるが東西の幹線道路が1本しかなく渋滞。東西幹線道路の整備をすすめているが、JRをまたぐ道路の整備が課題。
- 財政力指数が1.0を超えている。市民病院を有していながら健全財政を誇っている。
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