冷却を科学するぺえじ

冷却を科学する (空冷・油冷編)

前章では水冷編をお届けしましたが、 あまりにもでっかくなったので(あれでもまだ書き足りない!)、 章を分割しました。 今回は空冷・油冷編となります。
どちらの冷却方式も今ではほとんど見ることが無いので、 ざっと紹介するだけにとどめようと思います。


●空冷

現在販売されている自動車ではもう完全に姿を消してしまったんじゃないでしょうかね? (私が知らないだけかもしれませんが・・・) 長年空冷式だったポルシェも水冷になりましたし。 ただ、でもまだバイクでは空冷方式が用いられていますね。 これも近いうち水冷に取って代わられるかもしれませんが・・・。

空冷とはエンジンを風で冷却します
「そのままやんけ!」とどっかから聞こえてきそうですが(笑)。 当然、水冷式に比べて冷却効率は悪いですが、でっかいラジエターを付けなくてよいですし、 ウォーターポンプを必要としないなど、スペース的、重量的、馬力損失的には 水冷式に比べて優れているかもしれません。

ただ、下手すると水冷でもオーバーヒートするのに、 空気だけでエンジンを冷やす空冷式では、尚のことです。 そこで、エンジン自体に工夫を施し、冷却効率をより良くします。
フィンと呼ばれる突起をエンジンに生やして、 空気に触れる表面積を増やしています。

みなさんはバイクのエンジンをご覧になったことは無いでしょうか? 普段、車しか乗らない人にとってはバイクは目の上のたんこぶみたいに思ってる方もいるかもしれませんが・・・。 ネイキッド(NAKED)タイプのバイクではその名の通り、エンジンが丸見えです。 一度見てみると「へ〜〜」と思うかもしれません。

#そういえば、エンジンだけでなく、ラジエターも空気と触れる表面積を増やすために、
#コア部にこれまたフィンと呼ばれる冷却液が通るところをくねくねさせていますね。
#ただこれはあまりに密にくねくねさせすぎると、十分に空気の通る経路が確保されず、
#抜けが悪くなり、かえって冷却効率が低下する場合もあるみたいです。
空冷式だとそれでも十分に冷却できないのがほとんどですから、 オイルクーラー(ラジエターほど馬鹿でっかくは無いですが)を付けて、 エンジンオイルを冷却するのが一般的です。
#まぁ、水冷式でも熱的に苦しい(私のような)クルマにはオイルクーラー付いてますけどね


●油冷

油冷方式は、まぁ知っている人のほうが珍しいでしょう。 私がなぜこれを紹介するか・・・。 それは昔、GSF1200という油冷エンジンのバイクに乗っていたから、 これにちょっと愛着があるためです(笑)。

油冷方式は空冷方式とそれ程変わりません。 ただ空冷方式より、エンジンオイルに、積極的な冷却をさせるよう工夫しています。
これはまた今度詳しく書こうと思っていますが、エンジンオイルの働きは主に以下の5つです。

・潤滑
・冷却
・防錆
・密閉
・洗浄
油冷方式では潤滑用にオイルを循環させるポンプと、冷却用にオイルを循環させるポンプとを備えており、 よりエンジンオイルを冷却側に振っています。
中には、ピストン裏側にエンジンオイルを噴射させるような仕組みのエンジンもあります。

この油冷方式はバイク、しかもスズキのバイクしか用いていません (他にもあるのかもしれませんが私は知りません)。 ですので、知らなくても全然恥じゃないでしょう。


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