五行推命学研究所
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高木乗の系譜

                                   旧「随想閑話」(2013年03月20日)



【1】命式の算出モード

 今日、一言で「四柱推命」と言っても、様々な流派があり、系譜があります。
 今回は、新しいバージョンのリリースということもありますので、推命諸派中でも、特に、初代高木乗→五行推命への系譜について書いてみます。
 先ず、本論に入る前に一つ。
 従来のWindow版「五行推命学 Ver.2.1」では、命式算出モードが2つありました。「T-mode」と「A-mode」です。「T-mode」は高木乗の流れを汲んだ安田流を主体性とするモードで、「A-mode」は、泰山流を標準とした算出モードでした。今回リリースされ最新バージョンでは、更にバリエーションを加え、5モードとしています。

(1)Y-mode1…安田流+α(十三刻制/2年運→そのまま2年運)
(2)Y-mode2…安田流オリジナル(十二刻制/1~2年運→10年運)
(3)T-mode …高木流(各年運/23時が日の区切/従化法・黄金律)
(4)A-mode …日本流(主に泰山流/立運10年法/月律分野蔵干法)
(5)C-mode …中華流(蔵干三気全出法/透干法を主軸)

詳細→リンクへ FiveAgentsXE3の紹介

<五行図>
(1)~(3)→安田式五行図とそのバリエーション。
(4)~(5)→五行点数化とグラフ化/レーダーチャート方式の五行図他

<日本推命学界の六大流派>

①泰山流系列(阿部泰山→伊藤泰苑・緒方泰州・亀石厓風・梅川泰輝)
②高木流系列(初代高木乗→二代目高木乗→若月志郎・西村龍生・櫛昭子)
③安田流系列(安田靖先生→日本推命学研究会→五星術実践研究会)
④天祥館流系(松本義亮→布谷象山→橋本晴州→前田信昌→東山光秀/亜流…虎門流)
⑤武田流系列(武田考玄→池宮秀湖・その門流と派生・陽史明・小山内彰)
⑥透派系列(台湾の明澄派→佐藤六龍・派生・阿藤秀夫・掛川掌瑛)


【2】高木流の系譜


(1)高木乗の人生

 詩人(清水橘村)→新聞記者→刀剣研究家→占術家(命理学会)

・第一期(命理学会創立~戦前)
・第二期(戦後~昭和30年頃)
・第三期(最晩年)

■研究資料(推命)

・『生れ日の神秘 四柱推命學』
・命理学講座(本篇・続篇・格式)
・六大秘伝書(化気十段錦・従化法・骨髄乗玄賦…)
・生日時断課(昭和7年・13年・15年・28年版)
 他



(2)弟子の系譜


初代高木乗(1879年~1965年)

 │
 │<戦前の弟子>
 ├────────────
 │①芹沢乗龍…教部、「乗号」第2号。
 │②奥山高秀…初代、二代目と二代に渡って理事。
 │③加藤乗鳳…相談役、教部筆頭、主幹、顧問、著書数冊。
 │④本間乗朝…相談役・教部。神戸支部(命理學研究甲子本部)
 │⑤徳田乗凰…教部・本部参与。神戸支部。元大臣秘書官。
 │⑥高木総好…教部、理事。1972年に二代目が誌上破門宣告。
 │⑦竹内次郎…高木彧。教範、総支部長。高木宅に寄寓。
 │⑧久保田乗虹…教部、役員。著作『五行の公式』。
 │⑨山口高範…教範・参与・理事。初代~二代目。
 │⑩新井心水…教部・常務理事。著書『命理學早分かり』。
 │⑪安部貞女…理事、教範。『評論 清水橘村について』執筆。
 │
 │
 │<戦後の弟子>
 ├────────────
 │①朝田啓郷…教範、学会幹部。虎門流へ。1972年破門宣告。
 │②若月志朗…理事。教範。〝乗門中、彼の右に出づる者なし〟
 │③服部高碩…教部、中京総支部長。戦前から重きをなす。
 │④西村龍生…初代が実力を認めた実占家。安田氏の倒産予言。
 │⑤安田靖 …五行推命。1972年破門状→but三代目継承の話も。
 │⑥森一夫 …『現代四柱推命直訣』。1972年二代目が破門状。
 │
 │
二代目高木乗(1909年~1992年)
 │ ・前名:高木泰・本名:清水清水康数。
 │


<二代目高木乗についてのif>

 歴史にifはないと言いますが、歴史のifを高木流に適用した場合、こんな仮説が成り立つかも知れません。それは、二代目高木乗は、息子(三男)ではなく、若月志郎氏になっていたかもしれないという仮説です。いや、これは、単なる仮説ではありません。かなり現実性のある話だったのです。初代は常々、息子(三男)には二代目を継がせる気はない、またその能力もないと、会報誌上などで書いていました。 また、初代は会報上で「乗門中、若月氏の右に出る者はない」と公言していましたし、亡くなる数年前には「私がいつ死ぬか、若月君に見てもらったんだよ」とお弟子さんの西村龍生氏に話していたことからも、初代が如何に若月氏を後継者として期待していたかが分かります。そうすると、初代が若月氏に二代目を願ったことは想像に難くありません。
 しかし、若月氏には事業家としての夢があったし、更に息子さんへの遠慮もあったでしょう。彼は、それを受けませんでした。もし(if)、受けていれば、高木流の歴史が変わっていたかも知れません。


<三代目高木乗についてのif>

 次は、二代目高木乗の後継者についてのifです。二代目には、子供がいませんでしたから家(清水家)は絶家となっています。原宿と渋谷の間、明治通り沿いの寺にある清水家の墓も、今は親族の要望で共同墓地に改葬されてしまいました。
 親族の中から三代目を継ぐという話もありましたが、それも立ち消えになっています。
 二代目が亡くなる少し前の話です。二代目が、破門したはずの安田靖氏に、三代目継承の話を持ちかけていたというのです。しかし、二代目側から、多額の金銭を要求されたこともあり、更に安田氏は、既にに高木流とは別次元の推命に踏み込んでいましたから、二代目の要請を断ったというのです。
 即ち、安田氏は、五行推命という、五行の生尅を俯瞰的に判断する独自の方法論を確立していましたから、敢えて高木乗の名前を利用する必要もなかったのです。また、そんなことをしたら、乗門の諸氏から批判の声があがったことでしょう。
 ですから、若月氏の時とは違い、実現の可能性としては低かったでしょう。しかし、それでも多少強引なifをお許し頂くと…。もし、安田氏が二代目の継承要請に答えていたなら、ひょっとすると三代目高木乗は安田靖氏がなっていたかも知れなません。


【3】附録(高木流・人名録)

(A)初代の直弟子

①芹沢乗龍(1891年~1969年)
・教部、「乗号」第2号。
・命理学会創立前後から初代会長を援け学会発展に尽力。


②奥山高秀(1897年~1972年)
・初代、二代目と二代に渡って理事。
・二代目高木乗の言葉「奥山氏は長く学校長を勤められた、徳高き士である。命理学を研究してから、 既に壱万人以上の命理を鑑定し、その間、天徳貴人星の活用で幾人をも生命を救ったという。」(「福星」1968年7月1日戊申第4号P.5)


③加藤乗鳳
・相談役、教部筆頭、主幹、顧問。
・表彰を受け小刀を授与されている。
・編著:
 『命理學會講座趣意書並ニ規定』(高木詞館)
 『命理學鑑定別表』(高木乗校、加藤乗鳳編)
 『基本運命学命理易知抽解鑑定用前巻(四柱推命)』
 『命理易鑑定大源・四柱推命』


④本間乗朝
・相談役・教部。神戸支部(命理學研究甲子本部)で活躍。


⑤徳田乗凰(五郎/1901年~????年)
・教部・本部参与。神戸支部(命理學研究甲子本部)。
・「福星」に投稿あり。
・元大臣秘書官。


⑥高木総好(1902年~1979年)
・教部、理事。
・胎命学の創始者。
・1972年、二代目から会報誌上で破門宣告を受ける。


⑦竹内次郎(高木彧/1908年~1973年頃)
・教範、総支部長。
・終戦前後、初代高木乗の自宅(東京)に寄寓してその鞭撻をうけ、喜憂を共にした。


⑧久保田乗?()
・教部、役員。
・六壬研究家。
・著作『五行の公式』。


⑨山口高範(1901年~1980年)
・教範・参与・理事。初代~二代目。


⑩新井心水(1892年~1982年)
・教部・常務理事。
・著書『命理學早分かり』
・モラロジーの幹部。


⑪安部貞女(1907年~1982年)
・理事、教範。初代~二代目。
・『評論 清水橘村について』を執筆。
・詩人。

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(B)初代~二代目時代の弟子

①朝田啓郷(1902年~1977年)
・教範、戦後の学会幹部。
・高木門下→虎門流へ。「日本推命学会」会長
・1972年、二代目から会報誌上で破門宣告を受ける。


②若月志朗(1925年~2005年)
・常務理事。教範。
・初代高木乗曰く「今日わが命理学を体得した人では同君の右に出づるものはない。」(会報「人」

1958年)

③服部高碩(1903年~????年)
・教部、中京総支部長、乗門会。戦前から。
・戦後、会にて重きをなす。


④西村龍生(1934年~)
・晩年の初代が実力を認めていた実占家。
「嵯峨占命塾」主宰。
・安田靖氏の会社倒産を予言。

※現在、西村先生は、初代高木乗の伝統を受け継がれている唯一の先生として、東京でも月に一度教室を開いておられます。高木流オリジナルの推命に触れたい方は、是非とも西村先生の教室に参加してみて下さい。(※二代目流ではなく、あくまでも初代の推命に拘っていらっしゃいます)
→リンク 嵯峨占命塾


⑤安田靖(1928年~)
・五行推命を創始。1972年に二代目より破門状でる。
・二代目が亡くなる前に、三代目を託そうとしたとも。


⑥森一夫(1928年~1990年)
・初代最晩年の弟子。著書『現代 四柱推命直訣』。
・1972年に二代目より破門状。