五行推命学研究所
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「西部警察」ロケ中の事故
                                               旧コラム(2003/08/29)

  今月(8月12日)、私の地元名古屋で起こった一つの事故が世間を騒がせました。それは、石原プロが「西部警察」のロケ影中、若手俳優がスポーツカーの運転を誤り、重軽傷者5人を出す事故を起こしてしまったのです。

 先々回のコラム「傷官から見た星野監督と原監督」で”責任者における傷官の働き”について取り上げましたが、今回の事故もその類似例と言えるでしょう。それは、石原プロの社長である渡哲也さんの運気が、今回の事故に反映していると言うことです。渡哲也さんの命式は下のようになっています。本年(平成15)の流年が、原監督と同じく傷官冠帯となっています。

   【渡哲也氏の命式】
 ┌─┬─┐┌─┬─┬─┐
 │流│大││日│月│年│
 │年│運││柱│柱│柱│ 大運:逆行7年運
 ├─┼─┤├─┼─┼─┤
 │癸│壬││庚│庚│辛│
 │未│辰││戌│子│巳│
 ├─┼─┤├─┼─┼─┤
 │傷│食││ │比│敗│ 五行:木(財星)… (なし)
 │官│神││ │肩│財│    火(官星)… ●
 ├─┼─┤├─┼─┼─┤    土(印星)… ●
 │冠│ ││ │ │長│    金(比肩)… ●●●
 │帯│養││衰│死│生│    水(食傷)… ●
 └─┴─┘└─┴─┴─┘

 即ち、上司(男性)の傷官が強く凶意を持って働く時には、官星である部下(子供)に傷が入りやすいという意味で、部下のトラブル・事故・怪我・触法問題等が起こりやすくなります。傷官は良く働く条件さえ成立すれば、生財の働きをする等、吉神として働いてくれることもありますが、悪く働く条件が成立してしまうと事件・事故を引き起こすことになります。この条件を見分けるのが、推命学上のポイントとなるのです。
 石原プロの場合、渡さんがその責任者ですから、渡さんの流年傷官冠帯が悪く働く諸条件が揃っていました。それは傷官の地支が冠帯で大運に壬食神が出て、傷官の気を強めて旺相していること。元々、四柱の本体表に比肩・敗財が出、比肩星が強い命式ですから、四柱本体の比肩星が傷官の気勢を強める命式となっています。更に日支と流年支が刑し、日支と大運支が冲していること等々の条件が、傷官を更に悪く働かせる条件となっています。年上が辛巳敗財長生(傷官)で、60歳代に経済的損失が裏の傷官的現象を伴って起こりやすいこと。大運は食神養で決して悪くないようにも見えますが、不明の生時に偏印が出ていれば倒食しますし(俳優という職業柄、時柱に印星が出ている可能性あり)、生時官星でも食傷が太過すれば尅しあうこととなります。流派によっては用神との関係からから傷官を忌傷官/喜傷官に分け、一律に吉凶のレッテルを貼ってしまう場合もあるようですが、安田流では余程傷官が太過したりしない限りは、傷官も条件によって良く働いたり、悪く働いたりするものであると、柔軟に見ています。

 事故が起こった8月は「庚申比肩建禄」の月に当たっていました。今年(平成15)の8月・9月の流月干支はそれぞれ「庚申」「辛酉」となり、金の専旺干支となっていますので、事故・テロ・刃物沙汰・トラブルの象意が強く出やすい月となっています。また、渡さんは月支に子、大運支に辰が出ていますので、この8月に申が出ると申子辰の完全水局▲し、傷官の気が急に強まるという現象が起こりやすくなっています。特に日干が庚(金)の方は、8月が「比肩建禄」、9月が「敗財帝旺(羊刃)」となり、注意が必要です。9月は申ではないので、完全水局▲はしませんが、9月の干支を見ると帝旺羊刃が敗財に付いていますので、見方によっては今回の事故が8月中に起こり、却ってその方が良かったのかも知れません。もし、9月の運気中に今回のような事故が起こっていたならば、死者さえも出たかも知れないからです。勿論、事故には人間の安全対策と細心の注意によって、かなりの部分が防げるものですが、突発的な予想を超えた部分で起こる事故もあります。日干辛の方は8月(9月7日まで)は「劫財帝旺」ですので、この帝旺は羊刃性ではありませんが、注意が必要です。星野監督(日干辛)も8月は劫財帝旺で苦労し、財を尅して貯金をかなり吐き出すことになりました。文字通り”死のロード”で散々でしたね。

 余計な世話ですが、命式に比肩・敗財並び立ち、五行に生財の食傷が少ない方が、社長になるのは、如何なものかと思います。俳優として優れているというのと、経営責任者として優れているというのは別ですし、実際のマネージメントは他の方が担っていたとしても、その方が責任者である以上、その運気の影響は免れません。そして、渡さんの大運食神は今年迄で、来年から大運が辛卯敗財胎(正財)となますので、今年から来年にかけては運気の変わり目であり、それも悪く変わる境目で起こった事故ですから、今回の事故が石原プロにとっても何らかのターニングポイントとなるのではないでしょか。この事故で何かを悟り・気づき、方向性を転換しなければならないのかも知れません。

 また、下は事故を起こした当事者である俳優の池田努さんの命式です。

   【池田努氏の命式】
 ┌─┬─┐┌─┬─┬─┐
 │流│大││日│月│年│
 │年│運││柱│柱│柱│ 大運:順行7年運
 ├─┼─┤├─┼─┼─┤
 │癸│丁││癸│甲│戊│
 │未│卯││丑│子│午│
 ├─┼─┤├─┼─┼─┤
 │比│偏││ │傷│正│ 五行:木(食傷)… ●(なし)
 │肩│財││ │官│官│    火(財星)… ●△
 ├─┼─┤├─┼─┼─┤    土(官星)… ●●△
 │ │長││冠│建│ │    金(印星)… (なし)
 │墓│生││帯│禄│絶│    水(比肩)… ●●
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 上司の運に波乱がある時には、部下の内でその年運気が悪い人に、凶事が起こりやすいものです。池田さんは生時不明であるものの、四柱本体で月柱の旺相した傷官が、絶し休囚した正官を尅してます。五行的には土の官星の方が多いことと、身に傷が入りやすい為に年上を嫌う傷官ですが、その傷官が年上ではなかったこともあり、事故で本人が大怪我をすることは少ないのですが、やはり事故・転落の象意がある絶神ともあいまって、事故運が纏わりつく命式となっています。生真面目で視野が狭い(三柱で見ると)ので、思い切った演技をしようと、アクセルを踏みすぎたのかも知れません。

 傷官・正官で見た目は貴公子的で品も良く、輪郭のハッキリした顔となる命式です。感受性の強さと同時に責任感もある方です。命式の地支に桃花の子・午があります。子午卯酉は五行に他の五行を余り含まず、ほぼ純粋な五行で、色で言えば、丁度原色系というところで、輪郭がはっきりしますので、テレビ写りの良い芸能人に多い十二支です。輪郭のハッキリした傷官・正官ともあいまって、顔もスッキリした面貌となります。月令を得て確りした根を持っていますので、あと時柱に印星の気が出ていれば、役者(二枚目俳優)に向くと言えるでしょう。
 只、月上の旺相した傷官は心に傷が入りやすいので、今回の事故がトラウマとなり、立ち直れないということにならないように、上司・同僚の励ましが必要かと思います。強そうでいてもナイーブな面があり、加害者となることによって自信喪失しやすいので、彼の心のケアーも大切ですね。この三柱は寅の刻に生まれて「傷官背禄」となることを最も嫌います。

 大運は月支と刑しているとは言え、偏財が長生し大運的には決して悪い時期ではなかったのですが、流年に比肩墓が出ることによって、財星と尅しあい、墓神という死神的な運星が出ることによって、四柱本体の事故運が凶意となり、折角の運の足を折られてしまいました。日支が丑ですから未と冲尅することによって、開墓の働きから、吉作用をすることもありますが、大運流年の相尅や子卯の刑等の凶条件があったが為に、吉作用と同時に、それ以上の凶作用を及ぼしてしまいました。天干の相尅が凶意を顕わすときに、更に行運の地支に刑が重なるのは良くありません。平成14・15年はニューフェイスとして、デビューする時期ですが、行運に凶意が潜在している時には、くれぐれも注意が必要でした。まして、今回のロケは爆破やスポーツカーの使用など、スタントが必要な場面も多かったとのことですので、上司(渡哲也)が波乱運の時には、運気の悪い俳優(特に不慣れな新人であればなおのこと)については、その危険性のある演技には細心の注意と配慮をすべきであったと言えるでしょう。