五行推命学研究所
命理学・五行学・五行推命に関する情報サイト


英会話と四柱推命   附「中央大教授殺害事件」

                                   旧「随想閑話」(2009/05/31)

「五行学」とは

 ここで言う「五行学」とは、「陰陽五行論」の視点から人間生活の諸相を読み解こうとする「東洋的人間学」です。
 軸足は常に人間学としての「命理学」と、その基礎理論である「陰陽五行論」に置いています。“陰陽五行”という視点を機軸として、東洋占術のみならず、東洋の思想・文化などを研究しつつ、新しい時代の為の「人間学」を模索しようとするものです。

「五行学」の研究対象

 「五行学」の研究対象は大きく四つの範疇に区分できます。

①占術→「実践五行学」。主に命理法(命占)、機祥法(卜占)。
②文化→東洋の諸文化、民俗、伝統、祭祀、芸能等。
③思想→東洋的人間観、東洋哲学・思想・宗教・玄学。
④中医→漢方・鍼灸・養生法・健康法。

占術=「実践五行学」

 本サイトの中心テーマである「占術」を、五行学の立場から「実践五行学」と位置づけています。元来、占術には大きく「命・卜・相」という三つの分類がなされてきました。当研究所では、将来的には「相」も視野に入れていますが、当面は研究・講座・鑑定・ソフト開発において、「命占」と「卜占」に絞ることにしています。

実践五行学
  │     ┌─陽占⇒「
五行学推命法
  │     │(太陽)命理学・五行推命・四柱推命・算命学
  ├─命理法─┤    六壬推命・気学・易学の応用etc.
  │     │
  │     └─陰占⇒「
五行学紫微法
  │      (太陰)紫微斗数・宿曜占術他
  │
  │
  └─機祥法
   高木流機祥学・命理法の占卜的応用・六壬神課・梅花心易・五行易


命占=「五行学命理法」

 生年月日等から、人の運命を読み解こうとする占術分野を、従来「命占」と呼んできました。四柱推命はその代表格であり、命占中の「王」とも言えるでしょう。五行学では、この命占を「五行学命理法」と呼んでいます。
 更に、森羅万象に陰(-)と陽(+)があるように、命理法にも“陰占”と“陽占”があるのです。
 「陽占」とは“太陽系(日)”の占術であり、太陽の運行を基本として陰陽五行の趨勢が決定される命占分野です。例として、四柱推命、算命学、九星気学等が挙げられるでしょう。因みに、阿部泰山は四柱推命のことを「太陽学」と呼んでいたともいいます。
 「陰占」とは“太陰系(月)”の占術であり、月の運行によって陰陽五行の趨勢が決定される命占分野です。例として、紫微斗数、宿曜占術等が挙げられるでしょう。
 四柱推命と紫微斗数を陰陽両占の双璧とし、吾が五行学ではそれぞれを「五行学推命法」「五行学紫微法」と呼称しています。

 あたかも、一つのコップを見るのと同様に、上から見ると、丸く見えますが、角度を変えて横から見ると、長方形にも見えます。その両方の視点を合成することによって、円筒形の実物が立体として浮かび上がってくるのです。命理法(命占)もそれと同様に陽占と陰占を併用しつつ、複眼的に命理を読み解くことによって、より、立体的に人物を把握することができます。このような方法論を、当研究所では「命理合参法」と呼んでいるのです。中国などでは、“星平合参”とも言われ、子平(四柱)と紫微(斗数)を併用する法がありますが、これと同様の方法論なのです。
 但し、人間生活に影響する地球の運行・自然現象・昼夜・気象・季節等の殆どが、圧倒的に太陽の影響下にあるように、五行学命理法では“陽占”を「主」とし、月の影響からする“陰占”を「従」と位置づけているものです。

 「五行学推命法」は、広義には四柱推命の範疇に入りますが、従来の四柱推命(子平)とは、明確に一線を画しています。従来の四柱推命の多くが、天干よりも十二支(特に月支月令)を重んじて、足下(地支)ばかりを見てきました。また、空亡(天中殺)なども凶星として恐れられています。これは、子平(推命)に先立つ占術として、推命の原理的ルーツともなっている「六壬神課」や「五行易(断易)」が、その判断法において、十干よりも十二支を重んじ、空亡も占断の重要な要素として来たことに由来していると言えるでしょう。
 その点で、「五行学推命法」は、初代高木乗の命理学(五柱推命)をルーツとし、安田流四柱推命(五行推命)を機軸としていますので、かなり切り口が違っています。従って、「五行学推命法」は、高木乗の命理学・安田流の五行推命をベースとして、更に当研究所独自の見解に加え、他の占法をも取り入れた上で、四柱八字から様々な情報を引き出して、命理を読み解いて行こうとする“新しい推命技法”となっています。
 通信講座・教室等では、旧サイトのメインテーマでもあった純正の安田流四柱推命(五行推命)も教えていますが、並行して、五行学推命法を、推命学上級編として教授しているものです。当サイトでも、五行学の視点から見た推命法として紹介してゆく予定でいます。
 陰占法たる「五行学紫微法」は一部独自の見解はあるものの、従来の紫微斗数と大差はありませんが、節気法を採用した「紫薇法」は採用していません。また、前述の如く、現時点での推命法と紫微法の関係は、推命法を紫微法が補完し、或は肉付けするという形を取っていて、太陽・地球・月の関係で、太陽が中心であるように、推命法を命理の中心に据えていることは言うまでもありません。
 ここに一つ実例を挙げてみましょう。二人の社長夫人AさんとBさんがいます。二人とも、同年生まれで誕生日は違うものの、紫微法の命盤は全く同じ「命宮申・紫微寅/命宮主星に七殺[廟]」となっています。しかし、推命法ではAさんは印星と財星が表にあって、官星は裏にしかありませんが、一方Bさんの命式は、正官が冠帯・旺相し、そこに傷官・印綬・財星が尅用・制化して、物事を取り仕切る才と能を発揮しています。結局、官星(社会性)が弱いAさんは立場こそ社長夫人ですが実質は財星(家庭性)の命理を中心とする主婦となり、官星が強く働いているBさんは、辣腕で会社を切盛りしているのです。このように、命理は複眼的に看なければなりません。

卜占=「五行学機祥法」

 「五行学機祥法」は従来の占術では、「卜占」にあたる占術分野のことを言います。初代高木乗はこれを「機祥学」と呼んでいました。「五行学機祥法」は、初代高木乗の「機祥学」研究をベースとして、以下の手法を含んでいます。

 ・高木流機祥学
 ・推命法の占卜的応用
 ・六壬神課
 ・梅花心易
 ・五行易(断易)

機祥

 機祥学は初代高木乗が、“事象先見の法”として提示した占卜法ですが、元来は、「機」を“しめすへん”で「禨」「禨祥」と書いて「吉凶の兆し」を意味していました。古くは前漢時代の『史記』『淮南子』にも出典しています。日本では平安時代中期の漢学者・三善清行の革暦勘文(昌泰4年/西暦901年)中に「臣聞 機祥難辨…」と述べられています。「機祥学」「機祥法」とは、あらゆる占卜的テクニックを駆使して、物事(吉凶)の兆しを読み解く技法であると言えるでしょう。


占術の史的研究

 当サイトでは「五行学歴史年表」(旧称/東洋占術歴史年表)を公開しています。この年表は当初、筆者が研究用のメモとして、時系列に並べていた資料に、手を加え公開した資料でした。これは、「占術の史的研究」を企図して、初掲載以来、書き足して来たものでした。
 当研究所では、占術の歴史を東洋的文化史の一側面と捉えています。余力があれば、嘗て水戸光圀が、徹底した資料調査により『大日本史』を完成させたように、学的研究資料たりうる歴史年表としたいものですが、当面は皆様の参考程度の資料となればと考えています。
 現在、研究の中心課題としていますのは、初代高木乗の研究です。「西の阿部泰山、東の高木乗」と呼ばれた昭和の偉才は、占術家のみならず、詩人・刀剣鑑定家・古代語研究家等、様々な顔を持っています。占術家としても、命理学(四柱推命)の達人であったばかりでなく、人相・易・六壬・家相等、どの分野でも超一流の占断を下していました。この占術界のダビンチとも言える昭和の巨人を、全人格的に把握し理解することは、容易ならざることであります。二代目を含め直接対面した弟子達ですら、彼の芸術と占術の全てを把握し理解することは難しかったのではないでしょうか。当研究所の研究対象は主に、初代の高木乗とその占術です。高木乗の名跡は二代目に一旦継承されましたが、その二代目も故人となられて久しく(平成4年12月没)、初代の生き証人と言える人々も少なくなってきました。二代目は確かに努力の人ではあったのですが、残念ながら、二代目以降、占術としては質の劣化があり、二代目の著作等は参考程度に止めています。
 ただ、初代高木乗の人物研究を通して得るものは大きく、特に命理学・五行易・梅花心易・六壬神課・機祥学等の研究内容は、当研究所の「五行学推命法」「五行学機祥法」の中に取り入れられています。
 また、時期を見て、初代高木乗に関する研究内容も、サイト上で公開して行く予定でおります。

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■推薦図書

安倍晴明「占事略决」詳解(松岡秀達著、岩田書院、付録:CD-ROM、2007年7月発行、本体2400円)

 安倍晴明の著書として唯一現存する『占事略決』は、古い時代の「六壬占法」の姿を今日に伝えている。松岡秀達氏は東洋占術の研究者として北斗柄のペンネームで知られ、六壬・紫微・遁甲等の研究をしているが、本書は氏の六壬研究の成果である。
 晴明時代の古六壬の復元と同時に、近代六壬とを比較解説されているから、六壬神課及び陰陽道・安倍晴明の研究者必読の書と言えだろう。書中「十二客法」など、近代六壬のみならず、他の卜占法にも参考となる技法も含まれ、当研究所の機祥法研究にも参考となる。
 何よりも、リーズナブルな価格でCD-ROMまで付いているから、古六壬法の検証もしやすい。紙幅も170頁程ではるが、内容に専門性があるにもかかわらず、この手の書籍にありがちな仰々しい装丁や法外な価格設定ではないのがよい。
 ※ちなみに、本書では「決」に「决」(ニスイ)の字を採用している。

 伝説が一人歩きし、フィクション化された晴明公の物語や羊頭狗肉が多い昨今、“生の晴明公”に触れることのできる貴重な『占事略決』解説本の公刊を、晴明公も喜ばれていることであろう。