五行推命学研究所
命理学・五行学・五行推命に関する情報サイト


命学応疑「H2Oは“水”である」   附「酒井法子覚醒剤事件」

                                   旧「随想閑話」(2009/10/01)

Q1ある流派の推命を勉強していた時に、 「変通星というのは干と干の関係を記号化したものに過ぎない」と聞いたことがあります。その流派では、変通星で判断するのは稚拙な推命だという評価 のようです。五行学派の推命では、どうなんでしょうか?

A1確かに通変星は、干と干の 関係性から生まれてくる星です。五行学派では、干と干の相対的な関係性の中から、“新しい質”が生まれてくると見ます。その新しい質のことを、 通変星と呼んでいるのです。通変が天干に現れてときには「変通星(又は天干星)」、地支に見られる場合には、「地支通変」と呼んでいます。
 このことを化学で比喩すると、「 H2Oは“水”である」と言えるでしょう。確かに化学式的には、水は二つの水素(H)と、 一つの酸素(O)が結合したものに過ぎないのですが、それだけでは「 H2O」の実態が見えてきません。この二つが結合することで、 常温では気体の「水素」や「酸素」とは全く違う質を持った、液体の「水」が眼前に出現します。
 2リットルの水素と1リットルの酸素だけでは、のどの渇きは癒えませんが、それが結合して「水」になると、喉を潤し、火を消し、農作物を育み、 プールに入れれば泳ぐことがでるのです。干と干の関係もそれと同様です。単なる記号とみていたのでは、命式を読むことはできないでしょう。
 あなたは、命式を見て、その人の人物像が浮かびあがりますか?干と干を記号だと見ている以上は、たとえ用神・喜忌神を取れたとしても、 その人物像が浮かんでこないでしょう。
 四柱推命のルーツとなっている六壬神課や五行断易などが、その有効性を見せるのも、単なる五行の相生・相尅によるのではなく、推命の通変星に 相当する「六親関係」「生尅名」を自在に駆使するからです。
 とは言え、干と干の関係を無視せよと言うのではありません。干と干の関係を、陰陽と五行の生尅関係から、きちんと読んでおかないと、深く通変 の働きを読み解くことができないのも事実です。たとえば、一つの通変星でも、基本的に木火土金水の五種類がある訳です。水の食神もあれば、火の食神 もあります。更に極論すれば、一つの変通星には、60種類あるのです。60種類の食神があり、60種類の傷官があります。これは、干と干・干と支の 縦横関係によるものです。

 「支那の推命を鵜呑みにするな」というのが、異端の天才初代高木乗の遺命でしたね。それを噛み砕く“牙”を持ったのが、初代乗先生でしたし、 その“牙”が推命のパラダイムシフトを可能ならしめたのです。(ちなみに、二代目は努力の人であったが、残念ながら、その牙がなかったようです…)


Q2教室では、よく「部分推命は よくない、総合的に判断すべし」と聞きますが、命式には、何パターンくらいあるんでしょうか?また、昔、ある先生から、年月日時の四つの柱毎に60干支 があるから、四柱八字には60の4乗通りあると聞いたことがありますが、それは本当でしょうか?

A2:先ず、ご質問にあった60の4乗通りというのは、命式の構造論に対する理解不足からくる誤解ですね。私も推命の勉強を始めた初期には、そう思っていましたが、よくよく研究すると、60(年)×60(月)×60(日)×60(時)とはならないことが分かります。これは、通信講座の中でも解説していますが、「遁干法(又は五虎遁)」という暦における干支循環の法則(配布法)があって、年月/日時の干支関係に一定の法則性があるからです。従って、八字の組み合わせは、基本は以下のようになります。

(a)八字1=60×12×60×12=51万8400通り
  ただし、時柱の取り方を13刻法とした場合には、
(b)八字2=60×12×60×13=56万1600通り
 となります。更に性別差を入れると×2となる訳ですが…。

 ただ、あまりパターンが多いと把握の中心ポイントがボケるかも知れませんね。表に顕天した年月日の変通星の組み合わせだけでも、敗財・劫財を分ける当流派では、1271通りあります。
  (※計算=9×(9×11+2×10)+2×10×10)
 これが日干の五行によって、五通りに通変し、更に個々の変通星の旺衰と、五行のバランスによって、何通りものバリエーションを持ちます。更に、従来の四柱推命が命式の目の付け所として「用神」を算出したように、五行学派においても、命式全体を俯瞰した上で、そのエンジンとなる星として「用神」に相当する「主体性の星」を把握することが大切になります。


Q3時柱が大切だと聞きますが。年月日だけ同じというのでは類似とならないのですか?世の中には出生時間を使わずに、誕生日だけで占う占術も多くありますが?

A3それは、実際には、命式にもよりますね。年月日がしっかりしている場合には、時柱が変わっても、バリエーションの差程度となることもありますし、逆に、年月日の三柱が不安定で、偏りがある場合、時柱の喜忌如何によって、天地の差が生まれてくる場合もあるからです。最後の決め手は、時柱だというのが、推命法の基本ですね。時柱の干支を以って、「画龍点晴」となることも多々あります。
 初代高木乗も、流派の奥義として『生日時断課』(『三命痛会』に基づく)という、日と時間の関係から、命理を論じた占法を説いていました。ただ、『生日時断課』には、素晴らしい部分もありますが、鵜呑みにできない部分もあって、実際のデータによる検証も必要です。

 “部分推命”を戒め、命式を俯瞰しつつ、総合的にポイントの星(五行)とその喜忌を判断することを旨とするのが、五行学派の推命法です。それは「群盲撫象」のたとえを戒めているからです。盲人数人が、象の色々な部分を手探りしながら、ある人は鼻を触って、この動物は「ホースのようだ」、ある人は象の足を触って「柱のようだ」、ある人は象の腹を触って「壁のようだ」と、それぞれの説を説いている。それではいけない。全体を「象」として把握しないといけない訳で、部分的な変通星や月支元命などに偏った看法も、結局は「群盲撫象」となりかねない訳です。


酒井法子覚醒剤事件とフィリピン大統領

 直近の事件では、タレントの覚醒剤事件がありました。三柱でもある程度の類似性がある例題として挙げられるでしょう。
 8月3日、酒井法子が失踪(逃亡)した日、私はある教室で、例題としてフィリピン大統領アキノ氏一家を取り上げようとしていました。その娘さん(クリス・アキノ)が、酒井法子と同じ誕生日だったのです。両者に生時の違いはありますが、年月日の星が同じですから、そこから導き出される象意と、大運・流年は同じです。当然、生時の違いによって、命式の質も、行運の喜忌も違ってくることは言うまでもない訳ですが、類似点についてのみ見てみましょう。

年:辛亥 敗財 病 (傷官)
月:庚寅 比肩 絶 (偏財)
日:庚午    沐浴(偏官)
時:己卯 印綬 胎 (正財)   ※クリス・アキノは生時不明

 年月上の通変に比肩・敗財が出ていますので、個性の強さと押し出しの良さはあるものの、人生のキーワードが“分離=別れ”となります。二人は理由は違うにせよ、父親が非業の死を遂げて います。また、二人が生まれた時、二人ともその父は獄中の人でした。これらの符合は、年月の比肩星と月支の休囚、および幼年期の大運によります。 また、クリス・アキノもフィリピンでは人気のある女優だとのこと。これも、共通している点ではあります。
 生時の印綬が年月日の比肩星と生じ合って、才能を花開かせている印綬生比の命理が、芸能人・女優・デザインの才能を生んでいますが、同時に比肩星 を強めてしまい、家庭的な不幸や孤独製につながってしまいます。
 ちなみに、6月(庚午)・7月(辛未)は日干「庚」の人にとっては、比肩・敗財月となり、生死別や悪事露見のことがあり、ガタガタします。クリス・アキノは母を喪いました。酒井法子は弟の逮捕と、自らの覚醒剤剤問題の露見となって顕われました。失踪した8月3日(7月の運気中)は、「敗財の月」の「比肩の日」。流月・流日の星が逃亡へと彼女の背中を押したのです。