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ピカピカの10円玉

「ねぇ〜〜早く早く〜」302号室から聞こえる黄色い声!
「う〜ん・・待ってぇ〜あと3枚探すから・・・」
私は、同室の仲間と小銭入れを引っ掻き回す。
あった、あった・・・大事に握りしめた10円玉を持って302号室に集合。
各部屋から集まったいつものメンバー。時には新入りも・・
持ち寄った10円玉が、新聞紙を敷いたテーブルに綺麗に並べられる。
みんなの視線が集中!「じゃ、始めるよ!」302号室の主の声。
オレンジの液体が、10円玉の一枚一枚に塗られていく。
部屋中妙な臭いが漂うが、そんなのはまったく気にせず
しばらくの間、みんなの視線は経過を見逃すまいと動かない。
「じゃ、いくよ!」部屋の主の声で、みんなの視線がようやく上がる。
次に歯ブラシを持ち始めると、再び視線はテーブルの上に!
ゴシゴシ...10円玉をこする音・・・遠くでピアノやフルートの音...
みんなの顔が、だんだんほころんでいく。
やがて「わ〜〜い!」と大合唱。
ピカピカになった10円玉を手に、それぞれの部屋へ引き上げて行く。
302号室の主は、スパゲティハウスでアルバイトをしていた。
10円玉をピカピカにしたオレンジの液体の正体は・・タバスコ!

これは大学時代の寮生活での「ひとコマ」
ピカピカの10円玉を見ると、これはタバスコで磨いたのかな・・・
昔を思いだしながら、ついそう思ってしまう。

紺色のハイソックス

中学2年から3年にかけて、放課後がとても楽しみだった。
大好きな紺色のハイソックスをはけるから・・・
当時、校内では冬服の場合、ストッキングは黒と決まっていた。
私は、この黒のストッキングが大嫌いだった。

あの頃、ハイソックスがとても流行り、何足か持っていた。
折り返しのあるもの・・・
横に赤いネコのワンポイントのあるもの・・・
変わり編みのもの・・・
ぜんぶ紺色の濃淡で揃えていた。
その紺色のハイソックスには、必ず赤いチェックのスカート・・・
これが、放課後のお気に入り服装の定番だった。
大好きな紺色のハイソックスだったのに
着用したのは中学2年から3年にかけての、ほんの数カ月の間だけ...
心のどこかに「あれは、子供が履くもの...」という思いがあったのかも知れない。

座っているネコの後ろ姿

私は、座っている猫の後ろ姿が大好き・・・
道行く人々をながめている時は、毛並みもリラックスしてフンワリ〜
カラスや、どこかの野良ネコが来た時は、緊張し毛が逆立ってくる
後ろ姿で、大体その時の心の状態が分かる

座っているネコの後ろ姿は、亡き父も大好きだった
子供の頃よく、ノートに、ネコの絵を描いてもらったが
そのネコは、みんな座っている後ろ姿だった
シマシマのネコ...ブチのネコ・・・みんな
チョコンと立った耳と、丸い背中がとっても可愛い絵だった
そして、どのネコのシッポも、リラックスして右側に巻いていた

小学校の頃、親子日記を書いていたことがある
その時父は、自分の書いた所に
やはり、後ろ姿のネコを消しゴムに彫ったハンコをサイン替わりに押してくれた

座っているネコの後ろ姿を見るのが大好き・・・
心の中に、父を思いだす瞬間でもある

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