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●まず、自分の楽譜に忠実であること
よく、ショパンやバッハなどの大作曲家の作品の場合、自分が弾いた演奏と、CDなどのピアニストのそれといろいろ違うことに気がつくことがあるでしょう。テンポ、装飾音、フレーズ、メロディー、伴奏など。これは、使っている楽譜の出版社の違いや演奏者の個人的な解釈、あるいはその時代の流行から来るものがほとんどです。
音楽産業界も御多分にもれず、競争が激化しているため、1枚でも多くCDが売れるようにと他のピアニストとは違った、いわゆる受けをねらった演奏もかなり出ているのも事実です。
このようなCDを鑑賞としてではなく、練習の補助として聴くのはキケンです。
でも、ご父兄の中にも当然クラシックファンが大勢いらっしゃいますし、それぞれ好みも違うと思いますので、私どもが生意気にもこの演奏がお薦めで、これはダメなどとは言えませんし、
今後もそういう紹介はいたしません。
私どもは、お子さんにレッスンをする場合、ポピュラーピアノを除いて、使っている楽譜にできる限り忠実に従うことを指導の第1と考えております。
つまり、「自分の目の前にある楽譜から入る」ことなのです。(1993.2)
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●ところで、こういうことがありました。
ギロック作曲の「叙情小曲集」を弾いてきた生徒に「ちょっと〜、そのリタルダンド、やリ過ぎだな〜。あなたの気持ちも分るけど . . 合格してからなら、どう弾いてもいいけど . . 。
今日は指示通り弾いほしいナア。」と言いながら、生徒の楽譜を見たところ、ナント、先程の問題箇所にしっかりと「rit. リタルダンド」の指示が書いてあったのです。
いつの間にかギロックは書き換えていたのでした。ひょっとして出版社の仕業かも知れませんが、私の持っている楽譜と生徒の持っている最新の楽譜には20年の開きがあったのです。
私はすぐに、その生徒にあやまりました。「ごめん、確かにそう書いてあるね。でもやっぱり、リタルダンドは変だと思うけど . . 先生はあなたの楽譜に従うことにします。それちょっと写させて。」で、一件落着。
特に、現存している作曲家は、書き換えをすることがあるので、時々は楽譜屋さんに行ってチェックをしなければならないということです。
コンピューターの世界ではバージョンアップは当たり前、それと同じに考えれば、楽譜のバージョンアップだって何の不思議もないのです。だいいち私だって自分の作品のリメイクは日常茶飯事ですからネ。(2000.1) ♪∴∵¨..................................... もどる
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