1.楽器のこと
まずは楽器の選びかた。当然いい楽器を最初から持つのが理想的。アイリッシュだからといって安くてもいいとは思いませし、初心者だから安い方がいいわけでもありません(安いとは値段的な事というよりその楽器の質のこと)。いい楽器はいい音がだせる、どうがんばってもだせない楽器はだせない、これは事実なんです。この事はやる気と耳に大きく影響をあたえ、つまりは進歩に大きく影響するという事です。いい音の楽器は音を出すだけで幸せ、やる気になりますよね。逆に汚い音は聴きたく無いんでやる気が失せたり、耳が悪くなったりします。わかっていてもそうなるのが人間です。それに高い楽器買えばやめるとシャレにならないんで一生懸命やるでしょう。
さて、これからはじめようとする人にその楽器がいいか悪いかは判断がつくでしょうか。ちゃんと調整されている事を前提にすれば楽器を指ではじくだけで比べることができます。それから単純に値段で比べても多くの場合高い方がいい楽器といえます、もちろん絶対的な判断材料としてはいけませんが。
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すべて上のとおりの楽器が望ましいですが入門者などが購入するような量産楽器の場合いろんな違いがでてきます。
表板、裏板は通常削り出しであのアーチをつくります。本格的なマイスターの手工では同じ種類の木であっても適した厚みなどを探って削るので同じ形の楽器を作ったとしても板の厚みなどは1本づつまったくちがいます。量産品の場合は削り出しではないものがあります。主に子供用の楽器でグレードの低い楽器はコストを下げながらも楽に音がだせるというメリットがあるため、プレスで板を曲げています(購入前に調べればわかります)。また、スプルース以外に檜をつかう場合があると聞きました。これも最初は音がよく出、コストも安くなります。プレスや檜の表板の場合、新品のうちはいい音が出ますがプレスは板が元にもどろうと変型したり、檜は薄い板を使うため板がへたったりして音が悪くなっていきます。薄い表板の場合楽に音が出せますが何年かすると板がへたって音が悪くなります。ただ、ずっと使い続けるには難はありますがほとんどの場合子供用の分数楽器で数年しか使わないものなのでメリットが勝るでしょう。
ネック、側板。多分合板のものがあると思います。又、何の木を使っているかわからないものもあるでしょう。ネックは音とひきやすさに影響します。側板はどうかわからないですがやはり音に影響すると思います。
指板。固めの木を黒く染めたものをよく見かけます。固めとはいえやはりエボニーから比べれば柔らかいので、押さえにくく、音の立ち上がりや弦の振動が悪くなります。
ペグやテールピース。もともとエボニーだけではなく固い丈夫な木を使います。が、安くするためプラスチックのものがあります。テールピースはどんな問題があるかわかりませんがペグはちょっとまわしにくく、止まりにくい。また、後で木の物にかえようとしてもプラスチックペグは耐久性の問題でかなり太いので穴も大きく大きさが合わないようです。テールピースの交換は問題ありません。
ブリッジ。これは絶対ゆずれません。違う材料のものがあるとは思えませんがもし違えば交換しましょう。もちろんピンキリです。
弓。天然のフェルナンブルコは希少な材料で普通つかわれているのは植林で無理矢理育てたものなのでこの木をつかっててもいいとはいえません。グラスファイバーなど木以外のものは重いですが持つ場所をずらせば重さは感じなくなります(クラシックの場合持つ場所は決まっていてそこじゃないとできないことがたくさんあります)。お勧め。弓を軽んじる人は結構いますが、音を出すのは弓。棒切れかなんかのように思わないように。
マテリアルが書いたとおりでも絶対いいとはいえないので注意。材質はピンキリなんで最終的には値段と音とのバランスですね。高くて少しましな楽器でも値段ぶんの価値があるかどうかが大事です。また、量産品でもどれも同じというわけではないので同じメーカー、グレードの楽器でもちゃんと音をだして比べましょう。それからなるべく後々のメンテナンスを考えて弦楽器(ヴァイオリンやチェロ)を専門的にあつかっている店でさがしましょう。
最低ラインとして新品で6、7万、中古で3、4万ぐらいが目安。個人の売買なら限定できないですがスズキヴァイオリンの古ーいのを知り合いから1万ぐらいで買ったり、もらったりという話はよく聞きます。これがまたいい音したりするんです。メーカーとしては国内、ヨーロッパのメーカーなら無難ではあるでしょうがかならず現物を鳴らして決めること。ドイツの量産メーカーのカールヘフナーなんかは手工によるところが多いので値段の割に良いものがある反面ムラが多く慎重に選ばないと損することがあります。それに気を付ければヘフナーは1番お勧めです。中古でなんとか探しましょう。絶対買うなというメーカーがありますがこういう所には書けないですな。
アイリッシュフィドル向けの調整
アイリッシュしかやらないという場合はマルチにかまえる必要が無いためある程度特化させても問題はありません。調整という程のものではありませんがこうするとアイリッシュなどには少し便利になるという話。
クラシックの場合ダイナミックスのレンジがひろく、あまりさげ過ぎると大きな音で解放弦なんかをひくとげんが指板にあたって音がびりついてしまいます。アイリッシュなどでは弓を使う量に極端な差がないため下げても影響は少なく、弦高を下げることで左手のタッチがたやすくなり、指を速くまわしやすくなります。もちろん下げ過ぎのは注意。専門の楽器屋に頼みましょう。
クラシックではハイポジションの時となりの弦に弓が接してしまったりするためあまりゆるくすることはできませんが、ほとんどポジション移動や隣の弦をならすことに神経を使う必要がないアイリッシュではカーブをゆるくすることをお勧めします。移弦がたやすくなり、右手の労力が少なくすみます。
アイリッシュなどトラッドのフィドルに弓の持ち方などにきびしいこだわりはあまりありません。重い弓も野球のバットのように短く持てば楽にあつかえます。丈夫な固い弓の方がラフなアクションでも気にせず使え、特にドニゴールのスタイルには音的にも向いていると思います。
通常の楽器ではそのままで問題はありませんが、ネックの付き方の角度が甘い楽器は角度をきつくすることで弦のテンションをあげ、レスポンス、音量を改善できます。アイリッシュフィドルは雑なように聴こえますが微妙な弓のニュアンスや左の装飾音がタッチが大事なのでレスポンスはとても大事。
大工事になるので自分でやるのは当然無理。ブリッジも交換しないといけません。お金がとにかくかかることですし相当の覚悟が必要です。楽器がすごく良い楽器の場合考えても良いかなという調整ですな。
必要な小物
楽器の修理
自分でできる調整はあまりありません。基本的に専門の楽器屋さんにみてもらいましょう。とりあえず音が変だというときにチェックする部分を書いておきます。又これは人から楽器をゆずってもらった時なんかにもチェックしておきましょう。
音がビリつく
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