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ラルゴ | 伍長、君は前大戦の伝説の戦闘機乗り…… 戦闘機ただ一機で艦隊を撃沈した、 あの「神翼不墜のカート」だろ? |
カート | ハハハ、よく間違えられるよ。 だが、人違いだな。 |
ラルゴ | 適当に誤魔化していても、 その天才的な操縦センスは隠し切れておらんぞ。 |
カート | オレは「仲間殺しのカート」 死にたくなければオレを信用するな、曹長殿。 オレは何がなんでも生き延びる……それだけだ。 |
ラルゴ | なにがなんでも生き延びる……か。 しかし、生を渇望する人間が傭兵稼業とは ずいぶん矛盾した生き方だな。 |
カート | 死線の閃光は 生命の輪郭を鮮明に浮かび上がらせる…… 生を感じるには死を見つけないとな。 |
カート | 曹長殿、 あんたも戦場から逃げ出したクチなんだってな? オレと同じようにさ。 |
ラルゴ | ジブンは確かに逃げ出したのかもしれない。 だが伍長、君は違うはずだ。 あのルルイエ海戦からの生還は奇跡に近い。 超越機械化部隊の、あの一斉砲火の中から…… |
カート | あの時……ルルイエで……オレは判断を誤った。 結果、オレを信用した仲間は全て……死んだ。 あの時、死ぬべきは……オレだった。 |
ラルゴ | だから自らの生を業として 戦場に立ち続けるのか? |
カート | もう、どうでもいいことだ。 |
ラルゴ | そうやって、偽った自分の陰に隠れて、 言葉だけで逃げ回って…… 過去に縛られ、身動きが取れなくなる…… 君はただ、それを認めたくないだけだ。 |
カート | じゃあ、どうすればいい! 諦める以外にどうしろって言うんだ! |
ラルゴ | ならば、今度は勝つんだ! そして取り戻そう、あの時に失った男の誇りを。 その勝利のためなら、命など惜しくはないはずだろ? |
ラルゴ | 叛乱制圧完了。状況は終了した。 |
ロミ | おっさん、どしたの? ムヅかしい顔が もっとムヅかしくなってるよ。 |
ラルゴ | まだ、なにひとつ終わってはおらん…… ということだ、ロミ軍曹。 |
カート | 曹長殿、このクーデター騒ぎ どうもおかしいぜ。 コイツはセルベニア共和国みずからの…… フェイク、なんだろ? |
ラルゴ | おそらく奴らの狙いは聖域…… それも国際連盟により永久凍結された 絶対封印の奥。 |
カート | ちぃ、民族解放だの大儀を掲げて…… 実のところは単なる墓暴きってワケかい。 |
ラルゴ | 古代聖域、絶対封印に眠る最後の秘宝…… それこそこの国に混乱を与えつづける元凶だとも解らずに…… おろかな欲望に流されるか…… |
カート | そんなモノが大国の手に渡れば また戦争がはじまるぜ。 ただし! 今度は人類が全滅しちまうほどの デッカイやつがな。 戦争なんてモンはホドホドがいいのさ。 小さな平和がちゃんと見えるくらいでな。 |
ラルゴ | 絶対封印が開いている…… |
リミ | 聖域内部での戦いで負の気が活性化しています。 アークの復活までもう間がありません。 |
ラルゴ | この日を待っていた。 セルベニアの民を苦しめつづけるこの聖域。 今日こそ灰燼に帰してみせよう! |
リミ | 絶望が復活した先に待っているのは滅びだけ…… これから先、たとえ何が起きたとしても 必ずアークを破壊してください。 そして、私に教えてください。 希望は負けないってことを! 絶望になんか絶対に負けないってことを! |
カート | 仲間が死ななければならなかった理由、 そいつを発ちきる為にオレは生きてきた。 もうオレに逃げる理由は無いぜ。 |
ラルゴ | 生き恥をさらし続けたジブンが、 やっと探しあてた死に場所だ。 最後の花火、ド派手にやろうや。 |
カート | それは違うぜ、曹長殿。 オレ達は生きて帰る。 必ず全員で生きて帰るんだ…… そしたらリミ、 うまいボルシチを頼むぜ。 |
リミ | ……… ……… ……… |