出発から8日目(ニューヨーク8-2)
2001・7・30

エンパイアステートビルの夜景


 夜の7時にコリアンタウンで友人のY子さんと会う約束をしていたので、夕方にもう一度地下鉄に乗ってコリアンタウンに行った。
 少し早く来すぎてしまったので99セントショップ日本の100円ショップのようなお店)で時間をつぶした。

 7時に待ち合わせの場所でY子さんに会った。
 Y子さんはニューヨークで活躍中の女性ギタリストで、彼女がまだ日本にいた頃に少しだけ一緒にバンドをしたことがあった。彼女がニューヨークに移り住んでからは一度も会ったことがなかったので10年ぶりの再会だ。

 ニューヨークで活躍中のギタリストというと大柄な人を想像するかもしれないが、Y子さんは小柄で小学4年生のペッペのほうが背が高いぐらいだ。
 Y子さんはまだ日本にいた頃、その小柄な体型をいかして動物のぬいぐるみの中に入ってバンド演奏をするというバイトをしていたらしい。


 
Y子さんが案内してくれた焼き肉屋に行ってみんなで食事をした。
 
コリアンタウンにあるので「本場の焼き肉」という感じですごくおいしかった。最初にキムチや野菜料理の小鉢が10皿ぐらい出てくるのだが、それらは食べ放題で何も言わなくても次々におかわりを持ってくるので調子にのって食べていたらそれだけでおなかいっぱいになってしまった。

  Y子さんは以前ニューヨークのテレビの音楽番組にレギュラー出演していて、その時にエアロスミスデビッドボウイスティングなどと会ったそうで、そのときの話をいろいろと聞かせてくれた。
  そんなスターと一緒にテレビに出られるなんていいないいなー、私もデビッドボウイに会ってみたいなー、とひたすらうらやましがる私。

 それにしても、たったひとりでニューヨークに来て音楽一筋の人生を歩むなんて、Y子さんってすごいなー、と思った 。


 Y子さんは現在レコーディング中でかなり忙しいようだったが、食事のあとエンパイアステートビルに登って夜景がみたいという私たちにつきあって一緒にエンパイアステートビルに行ってくれた。  

  エンパイアステートビルは混んでいて入場券を買うために地階のチケット売り場でかなり並んだ。
 やっと入場券が買えてエスカレーターで2階に上がり展望台に直通のエレベーター乗り場の前に並んだとき、ペッペが急に「トイレに行きたいと言いだした。
 
おいおい、またかよ。
  その階にはトイレが見あたらなかったので、パパドンとY子さんをそこに残して私とペロとペッペの3人でもう一度地階に下りてトイレを探して走った。大きなビルなので、トイレに行くまでの距離も相当なものだった。


 ようやくトイレをみつけて入り、やれやれと思っていたところ、ペッペが情けない顔でトイレから出てきて「トイレの中でこけたー」とべそをかきながら言った。床がぬれていたのですべったらしい。そんなきちゃない所でこけるなよ・・・。
 ペッペのひざはびしゃびしゃになっていたので、洗面所でせっけんをつけてごしごし洗った。

  そんなこんなでかなり時間を取ってしまったので、大急ぎで2階にもどろうと思い3人で爆走していると、そのビルの係員らしき太ったおじさんが少し離れたところから「あなたたちは日本人か?(英語)」と大声できいてきた。
  私たちは立ち止まって「イエス」と答えると、そのおじさんはうれしそうな顔で両手を大きく開いてオッハーと叫んだのだった。



 それがやりたいためにわざわざ走ってる私たちを呼び止めたんかいな・・・。

 私たちは一瞬あぜんとなったが、
こういう場合はやっぱり笑ってあげるのが礼儀というものなので、アハハハハハと大声で笑いながらその場を走り去った。

 そしてエスカレーターを駆け上ってようやくパパドンとY子さんのところへもどった。
 ああ、疲れたー。


 エレベータに乗る前にはワールドトレードセンターと同じように荷物検査があった。以前はこんなに厳しい検査はなかったのに、とY子さんが言った。

 
展望台に登ると、360度すべての方向に星をちりばめたような夜景がみえた。



 そんな綺麗な夜景を見ながら、このニューヨークとも明日でお別れなんだなあと思うと、急に名残惜しい気持ちになった。
 
楽しい8日間だったなあ・・・。ニューヨークはとても居心地のいい所なのでもっと長く居たかったなあ・・・。


  やり残したこといっぱいある。
  ハーレムのゴスペルも聴きにいきたかったし、ライブハウスも行きたかったし、ブロードウェイのミュージカルも見てみたかった。ペッペはニューヨークのバレエスクールのレッスンを受けたがっていた。
 次にニューヨークに来るときは1カ月ぐらい滞在して、興味があることを片っ端からやってみようと思う。


 エンパイアステートビルを出たあと、地下鉄の駅でY子さんと別れた。またいつか会おうね。元気で頑張ってね。そんな気持ちで手を振った。

 地下鉄に乗るとき、夜の10時をすぎていたのでかなり期待したのだが、電車の中はごくごく普通の人ばかりでオカマのカップルらしき人は見つけられなかった。
 
見たかったのにな〜。 残念。


さよならニューヨーク
につづくよ