西垣研究所 南浦和支部

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電波に関する知識

ここでは電波の基礎知識を簡単に説明します。

  1. 電波とは
  2. 電波の種類
  3. 電波の特性と電離層
  4. アンテナと指向性・波長の関係

電波とは

電波とは何でしょう?電波は我々の生活の中にも良く使われていること気づいていると思います。そう、テレビを見たり、ラジオを聴いたり、携帯電話でメールや電話するのにも音や映像を電波に乗せて情報を伝達している訳です。いわば生活に欠かせないモノとして扱われています。

電波と言うのは、簡単に言えば電磁波の一種です。電磁波というのは真空中・物質内を伝わる波動(波)を指し、電波のほかに紫外線・赤外線なども含まれます。電波は電磁波の一種なのです。

電磁波(電波)とは電場・磁場(電気と磁気)を互いに直角の方向に振動しながら、真空中・空気中・物体中を移動する波のこと言います。もちろん目には見えませんし触れることもできません。電波は移動する際、1毎秒に30万Kmという速さで移動し、光と同じ速さの光速に値します。

先ほど電波は振動し波を作って進行すると述べました。その電波が1秒間に振動する回数を周波数と呼び、その回数を表す単位はヘルツ[Hz]で表し、1つの波形の谷と山のうねりの幅を波長といい単位は[m]で表します。

電磁波
(電波の進み方を表した図)

1秒間に50回振動すれば、50[Hz]という単位で表されます。電波における周波数と波形の関係は今後重要な要素になります。

仮にFMラジオのTOKYO FM・80.0MHzの放送の電波は1秒間に80×106Hz。つまり80,000,000回振動している電波を飛ばしているのです。

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電波の種類

前に話したように電磁波は紫外線・X線・音波なども含まれます。電波はその中でも下記のような部類で定義されています。電磁波の中で波長で分類され、使用用途や特徴も異なります。

種類 周波数帯域 説明
VLF -超長波 3~30KHz 地表面に従って伝わる性質が強く、低い山などの障害物の程度であれば影響なく進むことが出来る。水中でも30mくらいだったらほとんど影響を受けない。電磁調理器やオメガ航法システムに利用される。[波長 100~10Km]
LF -長波 30~300KHz 遠くまで電波が衰えずに届く特徴をもっている。船舶の無線航行システムや飛行機の空路位置探知・電波時計などに使われている。設備が非常に高価になるので本の一部でしか使われていない。電離層のD層で反射する。[波長 10~1Km]
MF -中波 300KHz~3MHz AM放送に使われている。発信された電波は上空の電離層に反射。電離層と呼ばれるもの以外にもオーロラや彗星地球に接近したなどにも反射する。 この影響によりはAM放送に海外の電波が混線することなども。電離層 D層で反射する。[波長 1Km~100m]
HF・SF -短波 3MHz~30MHz 短波は電離層のF層で反射し、遠方まで電波を飛ばすことが出来る。ただし太陽の活動の影響で通信に影響を与える。短波では国際放送、短波放送に利用される。[波長 100m~10m]
VHF -超短波(メートル波) 30MHz~300MHz VHF地上波放送、FM放送に利用される。電離層にほとんど反射せず、空気中の水分(雨や霧など)にも影響しない。また直進する傾向があり情報量も多い。[波長 10m~1m]
UHF -極超短波(マイクロ波) 300MHz~3GHz VHFのように長距離の通信はあまり得意ではない。また直進性も無く建物や小さな山などのある程度低いものならば電波は回り込んで伝わる。UHF放送や海事無線、電子レンジに利用される。[波長 1m~10cm]
SHF -センチ波(マイクロ波) 3GHz~30GHz 電波を一方向に伝える性質を持つ、指向性が高い。振動の数も多いので情報を大量に扱うことが出来る。電離層を通過できるので宇宙の衛星と交信が可能。建物や障害物にあたるとほとんど反射せず、電波は弱くなる。またノイズなどの影響を受けにくい。空気中の水分で影響を受ける。BS放送やCS放送、電波天文宇宙観測などに使う場合が多い。[波長 1cm~1cm]
EHF -ミリ波(マイクロ波) 30GHz~300GHz 近距離用簡易無線などに使用される。電波は直進する性質が強い。空気中の水分に影響し遠くまで届かないのが特徴。衛星間の通信、携帯電話に利用される。[波長 1cm~1mm]

この超長波からミリ波までを一般に電波といいます。
注意)上記の表の単位
K=103 (キロ)
M=106 (メガ)
G=109 (ギガ)
従って、1GHz=1,000MHz=1,000,000KHz=1,000,000,000Hzで表されます。それぞれの周波数帯にあわせてアンテナは設計されます。アンテナの長さや大きさは基本的に電波帯の波長にあわせる必要があります。

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電波の伝わり方と電離層

電波はアンテナから放たれ、アンテナで受け取ります。この関係を送信受信という言葉で表します。電波は真空中を飛びながら伝わり情報を伝達するのです。 光や音と同じく真空中を伝わる電波は、音と同じように反射する特徴を持っています。

電波が飛ぶ際、地球表面の地上や電離層に反射し遠くまで飛んでいきます。電離層とは、地球はまわりに覆われている電気の層の事をいいます。

電離層は電波を反射する性質があり、反射する電波の種類も様々で、それを利用して遠方の電波の送信受信したりすることもできます。 ただ電離層で反射するのは周波数の低い電波帯のもので、周波数の高いマイクロ波などは電離層に影響なく交信ができます。ちなみにオーロラや彗星なども同じように電波を反射する性質があります。 上記の表のとおり、周波数の域が高い物は宇宙衛星との更新に使用されています。 また、昼間と夜間では電離層で反射される周波数の帯域が異なります。

その影響により普段受信できないような遠い放送局の電波が夜間になってラジオで受信できたり、夜の方が音が良く聞こえたりします。とくにAMラジオ放送で実感できます。

電波の反射を表した図

電離層反射波
上空の電離層で反射する電波。
対流圏反射波
対流圏で反射する電波。雨や雲など水蒸気で電波が屈折し散乱・反射する。
回折波
山やビルなど裏側に回り込んで伝わる電波。
大地反射波
地表に反射する電波。
地表波
地表面を伝わり伝達する電波。

電波は地表や電離層や金属に反射したり吸収されることで、遠くに行くにつれて電波が衰弱してしまいます。また天気や太陽の影響で電波の衰退率が著しく変化します。

スポラディックE層

テレビ受信に関連する中で最も面白い現象の一つです。 地上にあるE層ですが、夏の時期に普段より密度の高いE層が頻繁に発生することがあります。これをスポラジックE層(通称Eスポ・スポE)と呼ばれ、このE層は普通の通過してしまう高い帯域の周波数の電波も反射してしまう性質があります。 この影響によって夏に突発的にテレビの映像が乱れたり、遠い放送局の放送を受信したりしてしまう現象が発生します。 スポE現象を逆手に取り、遠方受信したり某国の放送を受信するといった楽しみがあります。

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アンテナと指向性・波長の関係

電波の送受信に使われるのがアンテナです。 いわばアンテナは電波の出入り口と言い表しても良いでしょう。

アンテナの指向性

アンテナといってただ単に屋根に建てれば良いと言う訳ではありません。より効率よく電波を導くには電波の来る方向にアンテナを向ける事が大切なのです。アンテナには指向性があります。この指向性とはアンテナの方向による電波の受信感度の事を言い、電波の種類や用途によってそれぞれ異なります。

たとえば、テレビアンテナなどに使われる八木アンテナなどはアンテナを放送局の方向に向けます。八木アンテナの場合そうしないと効率の良い受信が望めないからです。逆に携帯電話など電波が来る方向が定まっていない物は、四方八方どの方向からの電波も効率よく受信できるよう工夫してあります。

ブラウンアンテナの指向性

ブラウンアンテナの指向性

アマチュア無線や携帯電話などに使われるタイプのもの。どの方向からの電波にも敏感に対応。

八木アンテナの指向性

八木アンテナの指向性

導波器部分が一番電波の感度がよく、反射器は不要な電波を防ぎます。

受信と共振

テレビやラジオで放送を受信する時、一番良く見える(聴こえる)ところにチューニング(選局)しますよね?チューニングといっても最近の受信機(チューナー)はボタンで自動的に選局してくれるので実感が沸かないかもしれません。それでは、つまみを回してチューニングするタイプのラジオを思い出してください。このラジオチューナーはつまみを回して目的の周波数を探しているわけです。TBSラジオ・954[kHz]の放送を聴きたいならばチューナーで954[kHz]が良く聴こえるように合わせればいい訳です。私たちは手でチューナーのつまみを回していますが、ラジオのチューナーの中は954[kHz]に合った波形を探しているのです。そして目的の周波数の波形とチューナーの波形が合ったとき共振し、ラジオが一番良い状態で受信できるわけです。共振のほか同調とも呼びます。だから少しでも波形がずれるとうまく聴こえなくなってしまいます。

共振を表した図

共振とは物を振動させた場合(揺らした場合)など物理的に一番大きく振動する部分の事を指します。大きく振動している状態であれば大きな力を加えなくても振動し続けることができます。よって電波の例えるならば一番効率よく受信している状態とも言えるわけです。

波長とアンテナの関係

電波を受信するアンテナが、それぞれ大きさや形が違うのにお気づきでしょうか? 携帯の電波状態が悪くて通話できない、ラジオの受信状態が良くない・・・。もっと大きい(長い)だったらいいのに!と“大きければもっと受信状態が良くなる”と思われがちですが、実際そうでもない事を覚えておきましょう。実はアンテナの大きさは目的の電波の波長に非常に関係があるのです。

アンテナは電波の振動と共振して吸収します。電波の波長とアンテナの長さが一致して初めて共振するので、アンテナが短かったり逆に長すぎたりしても良くないのです。

半波長アンテナ

波長に合わせるといっても実際は図のように半分の波長の長さのアンテナがあればほぼ問題なく受信ができます。これを半波長アンテナと呼びアンテナの中央に給電部があります。

ただ、アンテナが対象とした周波数の波長に必ずしもマッチすると言うわけではありません。例えて言うとUHFアンテナなどの広い帯域だと波長に若干の違いが出てきてしまいます。それは回避できない事なので、その分アンテナの素子(金属の棒)を多くする事で利得を多くしたり指向性を維持する事で受信の結果が変わってきます。

続きは地上波受信の話にでも書いていこうと思います。

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