西垣研究所 南浦和支部

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地上波受信の話

地上波放送とは、普段見ている民放やNHKの放送を指します。それらの放送は地上波を利用することから地上波放送といいます。ここで取り扱う内容は地上波アナログ放送についてです。

  1. VHFとUHF
  2. アンテナ線
  3. 主なアンテナパーツ
  4. より良い受信環境づくり

VHFとUHF

VHF(1~12チャンネル:以下ch)とUHF(13~62ch)は電波の種類でメートル波・マイクロ波と呼ばれ、テレビ放送に扱われる電波の種類です。詳しいことは電波に関する知識を読み直してください。 まず、放送を受信するアンテナの話からです。一般的テレビ受信に使用されるアンテナは八木アンテナと呼ばれるものが利用されています。

アンテナの形状とその構造

VHFアンテナ

VHFアンテナ

UHFアンテナ

UHFアンテナ

送信所から送られてきた電波をキャッチし、それを電流に変換する役割を持つのがこのアンテナです。 上記の図を見る通りアンテナは何本かの素子(アンテナについている何本もの棒)で構成されており、それぞれ「反射器」「輻射器」「導波器」の3つで出来ています。 これらの素子は電波を効率よく受信するための大切な役割を果たしてくれます。

各素子の役割と働き
導波器
送信所から送られてきた目的電波を導くため役目をします。
輻射器
導波器から入った電波を電波をアンテナ線に取り込む役目をします。
反射器
後ろから入ってきた不要な電波を遮断します。

案手他を設置するときは、電波を導く働きをする導波器を送信所の方向へ向けます。 また素子の数が多いアンテナの方が指向性に優れ、受信感度が良好なるといわれています。ただ多い方が良いというわけではないが電気店に売られている主の製品は大抵受信に優れているので店の人にきいてみたほうが良いかもしれません。

アンテナにも種類が豊富でゴーストを防ぐものや、受信できる電波対に制限があるものも存在します。 たとえば1~12chまで受信できるVHFアンテナでも、バンドが分けられている製品があります。

VHSアンテナの周波数別受信大域表
Low
1~3chまで受信できるアンテナ。
High
4~12chまで受信できるアンテナ。
ALL
1~12chまで受信できるアンテナ。

用途によって分けますが、普通にテレビ受信するのならば1~12ch全て受信できるアンテナを利用することをお勧めします。

UHSアンテナの周波数別受信大域表

UHFアンテナにも受信できる周波数が分けられているものがあります。

低域用
13~30chまで受信できるアンテナ。
中域用
31~44chまで受信できるアンテナ。
高域用
13~62chまで受信できるアンテナ。

こちらも用途や受信環境によって使い分けますが、地上波デジタル放送を受信する場合は、全帯域アンテナが必要です。 最近ではアパートやマンションの共同アンテナ、CATV(ケーブルテレビ)で地上波放送も受信したりするパターンが多いようです。

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アンテナ線

アンテナから引き込まれた線をチューナーに接続する際に使用されるのがアンテナ線。アンテナ線として代表的に2つのケーブルがあり、使用用途た環境などによって使用する線も異ります。

2種類のアンテナ線

アンテナ線は線の形状と大きさによってある抵抗があり、この抵抗値にあった物を接続することにより伝送波は抵抗に吸収され伝送線に反射しなくなります。 この抵抗値を特性インピーダンスと呼び、アンテナの放射抵抗に合わせる必要があります。これを整合と呼んでいます。

VHF/UHFの受信に優れているケーブルは下記の二つです。

同軸ケーブル
同軸ケーブル
D:銅線の直径 mm
d:銅線間の距離 mm
特性インピーダンス:Z

平行フィーダー
平行フィーダー
D1:内部銅線の外径 mm
D2:外部銅線の内径 mm
ε:絶縁体の比誘導率
特性インピーダンス:Z

同軸ケーブルは、中心の銅線・芯線と、その周りに絶縁体で構成されています。さらにその周りに網状の線で構成されているケーブルです。受信に最も優れて最近はよく利用されています。 一般的なテレビ受信に使われる特性インピーダンスは75Ωです。

平行フィーダー線は2つの銅線を使用したアンテナ線で、主にUHF受信用として使用されていました。 ただ受信には優れないので、あまり使用しないほうが良いかもしれません。以前はUHFといえば平行フィーダ線が主流でしたが、こちらも同軸ケーブルを使用する場合も多くなっています。 価格が安く加工も楽と言う利点を持ちながら、電波が衰弱しやすく雨や塩の影響も受けやすい、金属がすれたりすると電波が逃げてしまうなどの欠点のため使われなくなってしまいました。 平行フィーダ線の特性インピーダンスは200Ω、300Ωが一般的。

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主なアンテナパーツ

地上波受信する際によく使用される代表的なアンテナ接続パーツをいくつか紹介いたします。

アンテナプラグ・整合器

テレビやビデオの「VHF/UHF入力」あるいは「VHF入力」の端子に接続するときに使用するパーツです。 同軸ケーブルを接続し、チューナー側のプラグに差し込みます。 同軸ケーブルが加工されずに、剥き出しになっている場合には加工してアンテナプラグに接続します。
アンテナプラグ
また同軸ケーブルに初めからプラグが付いているものもあり、接続が容易なものもあります。 他にも整合器を内蔵したプラグもあります。 整合とは300Ωのフィーダ線を75Ωの同軸ケーブルに変換したり、その逆をしたりすることで、部屋に引き込まれたケーブルが平行フィーダ線でしかもチューナーの入力がF型のプラグ用だったりする場合などに使用します。
整合器
また変換器とも呼ばれることもあります。

混合器

チューナー側の入力がVHF,UHF兼用なのに、部屋のアンテナがVHFとUHFが別々だったりすると片方の入力しかできません。 そこで利用するのが混合器です。混合器は違った周波数の電波同士を1つにまとめる働きをします。つまりこれを利用すればVHF,UHF両方の電波を乗せた出力信号が出来ます。
混合器

分波器

混合器の逆に、VHF、UHFの2の電波の流れているアンテナケーブルがあるが、チューナーの入力端子がVHF,UHF別々だったりする場合に使用します。 少し前のチューナーのほとんどは入力端子が分かれてしまっている場合があります。そういう場合は分波器を使用することによりVHF・UHF分けた出力が出来ます。 これは混合された電波同士を別々に分ける働きをもちます。
分波器

ブースター

ブースターは弱くなった電波を増幅し受信できるようにするものです。 山岳地帯などで放送局、中継局からの電波が弱ってしまって受信できない場合などに利用します。ブースターには20bB、30dBなどの増幅利得が得られ物を一般的に見かけますが、やはり利得が大きい方が良いです。 しかし増幅しすぎるとテレビに映る画面に縞模様が出たり、他の局と混信して他のチャンネルが映らなくなったりしてしまう場合があります。30dB前後の利得が得られる製品が良いのではないか、と思います。

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より良い受信環境づくり

テレビやラジオ放送の受信はささいなことで妨害されがちです。できればより良く綺麗にテレビ画面が映る環境作りをしていきたいものです。

良いアンテナ選び

放送の品質のの良し悪しは受信するアンテナで決まります。 できるだけ素子が多く、受信に優れたアンテナ選びをしていきたいです。地上波デジタル放送推奨製品などと書かれているアンテナはデジタル受信にも優れていますし、アナログ放送も同等に受信できます。ゴーストの症状を抑える製品などもあります。値段と見合ったものを選んでいくことをお勧めします。電気屋の店員などと相談して見るのも良いでしょう。 室内アンテナはダメとは言いませんが、より良い受信結果を得るならできるだけ避けた方が良いでしょう

アンテナの設置

アンテナの設置も大切なひとつです。できるだけアンテナを高い位置に設置し、妨害されないように電線や道路から遠ざけるなどの些細な注意が良好受信の手助けになります。 アンテナの方向は近所の屋根のアンテナを見て同じ方向に向けるのが一番手っ取り早いです。送信所(中継局)の方向へしっかりと向けることで受信の具合が良くなります。

アンテナケーブル

アンテナとテレビを接続するケーブルでも受信結果に大きく影響します。 VHF・UHFなどの場合は単価の同軸ケーブルでも受信できますが、安物は外部の影響で電波が妨害されたり、電波が衰弱したりしてうまく受信できない場合があります。またそれらのアンテナケーブルだと線の距離が長くなると電波が衰弱していい受信結果が得られなくなる場合があります

これらを避けるためできるだけケーブルを短くして損失を少なくする、またケーブル選ぶ際も線が太く丈夫な5CFV線や外部ノイズ遮断などと書かれた製品を選ぶことで安定した受信が実現できます。アンテナ線を変えただけで見違えるほど映りが良くなったという話も良く聞きます。
アンテナ線からパソコン機器や冷蔵庫などの電化製品から遠ざける、LANケーブルや電気コードなどケーブルからアンテナケーブル離すようにするなどの細かい心配りも大切です。

ブースター

弱った電波を増幅して受信電波を強くして受信状態を良くするブースター。 ブースターの製品によっては逆に受信結果が悪くなる場合もあります。増幅しすぎてビートノイズが出たり、混信して受信する映像が乱れたりするときもあります。

アナアナ変換後にオフセットビート障害が発生したり、デジタル放送と干渉してしまう場合は買い換えた方が良いです。大手メーカーからはアナアナ変換対策製品や地上波デジタル放送対応製品などが出ているのでそれらを使うと良いでしょう。

受信機

テレビやビデオでも機器を置く場所をしっかりと決めておきましょう。アンテナを短くするために部屋のアンテナ端子の近くに設置する、パソコンなどの電子機器からできるだけ離すなど。 チューナー側のチャンネルも一番良好に映るようにチャンネル微調整するなど細かいところ怠らないようにしましょう。

パソコンのテレビチューナーを使用する場合

最近ではパソコンでテレビを見たり録画をしたりする方も増えてますし、メーカー製パソコンにもほとんどバンドルされています。仕組はHDDレコーダーやDVDレコーダーと同じです。なので綺麗に受信するためには上記に書かれていることを守ればしっかりと受信できます。 ただ、パソコンの場合は内部ノイズが発生するのでビートが入ってしまったり、パソコンのCPUなどから発生したノイズ等が画面に走ってしまうことがあります。
テレビチューナーカードをできるだけCPUから離れたスロットに挿す。ほかのパソコンケーブルとアンテナ線、ビデオケーブルが接近しないように設置する、パソコンの電源コード、その他ケーブルにノイズフィルタを付けるなどで回避できる場合があります。

本当にノイズ対策をしたいのなら、フェライトコアをアンテナケーブル等に限らず、電源・モニタへのコード・ケーブルなどすべてのケーブルに取り付ける、PCの電源を高品質安定化電源に付け替える、外付け電源への変更、PC内の電源コネクタの見直し等など、電源回りを確認・調整する、NO-PCIの設置などをすることでノイズ除去の見込みが出る場合があります。

これらのノイズ対策はパソコンの安定化、ADSLなどの速度安定化や高速化などにも効果があるといわれています。

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