チョウチョウウオのなわばり

 このような問題があるため,チョウチョウウオの行動には注意していたのですが,まず,なわばり形成に関しては,なわばり争いらしきものは今回は全く観察できませんでした。なわばりというのは,本来は,種内の関係ですが,食性の近い異種に対してもなわばりを主張するケースは多いものです。そんなことから,2種のチョウチョウウオが出会ったときの様子は特に注目していたのですが,お互いにギョロッと見るだけで,全く争う様子は観察できませんでした。

左がハタタテダイHeniochus acuminatus,右がチョウハンChaetodon lunula
右側にホンソメワケベラLabroides bicolorも見える。掃除をしたいのだろうか?

 今回観察した種の中に,明瞭ななわばり形成をするものがいなかったことが最大の理由でしょうが,チョウチョウウオのペアは2,3年以上同じ場所でなわばりをつくっていることが多いということですから,たいていの場合,なわばりが近接している種はとっくにお隣さんとして認知しており,すでになわばりが確定していていまさら争うことはないという場合も多いでしょう。もっと詳しく観察する必要がありますが,チョウチョウウオが他種に対して攻撃する様子は全く見られず,なわばりはあくまで,同種個体に対するもののようです。

ぜペアをつくるのか(1)に進む  バリ島の魚たちに戻る  

ホームに戻る