チョウチョウウオあれこれ

 チョウチョウウオの類は,写真1(クラカケチョウチョウウオChaetodon adiergastos),写真2(ハタタテダイHeniochus acuminatus)のように,ペアで泳いでいるのを見ることが多いものです。実にのんびりと泳いでいるように見えますが,このペアはなわばりを形成している場合もあり,動物行動学の立場からすると,なぜチョウチョウウオはこのようにペアをつくるか,ということは,実は大問題のようです。

写真1 クラカケチョウチョウウオChaetodon adiergastosのペア遊泳

 一般に,動物では,子孫を多く残すための戦略が雌雄で異なります。雌は,卵をつくるのに大きなエネルギーを費やしますので,雌の戦略は,できるだけ多くのエネルギー,食物を獲得することです。なわばりを形成する種の場合,雌の分布は餌の分布に左右されます。

 他方,雄は,精子形成に大きなエネルギーを費やすことはないので,むしろ,いかに多くの雌を獲得するかが雄の戦略です。したがって,ハーレムを形成するのならともかく,このようにペアで仲良く泳いでいるということは,本来,かなり不思議なことなのです。

写真2 ハタタテダイHeniochus acuminatusのペア遊泳

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