厚木基地基地祭『WINGS2000』見聞記(その2)

○今日は基地祭だ生ビールがうまい。

 ブースで広田が探したのは、もちろんグッズである。
 それもワッペンとかそういうのではない、民間機アクロの資料となりそうなモノだった。
 そういうのだけを探して、他のものには目もくれず……あ、ブルーインパルスの帽子だ、俺に合うサイズのあるかなぁ……おっとこっちはホーネットの部隊オリジナルTシャツかぁいいなぁ……目もくれないはずが5千円あまり出費してたりする(^^;

 とにかく、アクロ関係を探して南の端までブース巡りしたのだが、お目当ては見つからなかった。
 仕方ないので地上展示機のある辺りまで戻って、今度は北へと向かってブースを見てゆく事にする。
 戻る途中に生ビールを売ってるブースを発見、本日は陽射しが強く喉が渇きやすかった。
 ちょうどいいなと思って列に並びかけた時、向こうから連れの三人が歩いてくるのが見えた。
 向こうも広田に気付いて近づいてくる……間のいい連中だ(笑)
 こいつら、俺がブースに向かうまで尾行してたんじゃなかろうか? 一瞬、そんな考えが浮かぶほどのナイスタイミングだった。
 広田の奢りで一杯400円の生ビールを4杯購入、その場でグイっとあおった。

 ……う、うまいいいいいい!!!

 無茶苦茶旨かった! 乾き切った身体に冷たいビールがあっという間に染み込んで行く、喉をストレートで通り過ぎてゆく。
 かんかん照りの太陽と厳しいコンクリート輻射熱が、最高のツマミだった。
 4人ともわずかな時間で、ラージカップの中身を飲み干していた。
 これだけ呑んでもあまり酔った感じはしない、あまりの暑さにどんどん汗となって外に出てしまうのだ。
 今日はいくらでもビールが飲めそうだった。

 飲みおわった後に、再び別行動を開始する。
 広田だけが目的意識をもって厚木に来ていたので、必然的にそうなるのだった。
 もちろん、この別行動中にまた生ビールを見掛けたら、こんどは一人で楽しむ気である。当然だよね(笑)
 という訳で、再びブース巡り開始。

 厚木基地のブースは米兵達がやってるところが非常に面白い。
 片言英語や片言日本語だけで、注文を取っているのだ。
 なんだか日本にいる気がしない(事実上、アメリカにいるようなもんなんだけどね実際)、妙な違和感が楽しくてしょうがない。
 それにしても、日本人のやっているブースとはまるで様子が違う。
 ベニアで囲った六畳ほどのスペース内で、6、7人のアメリカ人(米兵とは限らない、その家族らしき女性や子供達も一生懸命働いてた)があれこれの用事をこなし。その後ろにバーベキューセットでソーセージやらスペアリブやらハンバーグやらを焼いているのがこれまた3、4人くらい。
 売ってるものは、CDケースくらいの大きさの中身ハンバーグだけのハンバーガーとか、歯磨き粉のチューブより太いソーセージだけを挟んだホットドッグとか、直径20センチくらいのスープ用紙皿に山盛りにしたスナック菓子を入れてチーズをぶっかけたものだとか……とにかく豪快だった。
 笑えるのは、どこの食い物ブースも販売してる物が似たようなもんだったという事。
 1キロ前後に及ぶブースの単横列の半分くらいが、そんなもんである。

 ちなみに飲み物だとさらに徹底してて、まずゲータ−レードが三種類くらい、ライムレモン味とかフルーツパンチ味とかで赤、青、黄色と三色揃ってたが広田は一種類も買わなかった。
 なんとも色が原色でのぉ(^^;
 あと「水、500mlペットボトル入り」、これもかならずあった。
 なかなかの人気商品らしく、あちらこちらでこれを携えた人を見掛けた。
 そして、缶ビール。
 バドワイザーとミラーの350mlが、それぞれ200円! 安い!
 基地内だと酒税が掛らないらしい、その関係かどこのブースにも「購入は一人六本までとさせていただきます」という貼り紙がされてた。
 どうやら、この機会を利用してビールの個人輸入(笑)を企む人が多いらしい、さもあらん(^^;

 そんなブースが延々と続いた、広田も途中でホットドッグを一本買って試してみる。
 味は……まぁ、豪快さに免じて不問にしよう(^^; さすがにソーセージだけしか入ってないってのは厳しいっす(^^;

 エプロン中央付近ではそういうブースが集中して並び、残念ながら生ビールを見つける事ができなかった。
 しょうがないんでミラーを一缶買い、それを飲みながら探索を続行する。

 ほどなくエプロン中間地点にたどり着いた時、突然ここまで見てきた米兵ブースとは一線を画したブースが現れた。
 ブースの前に何やら赤いレシプロ機の説明文が……『エクストラ300』と書いてあった、これは……そう、本日飛行予定の日本人アクロパイロットであるケン上野さんのブースだったのである。
 思わず、エクストラ300の説明を読みふける広田であった。
 機体の許容Gが+10G〜−10Gと書いてある、事前に調べていて知っていた事実ではあったがやっぱり驚く。
 軍用機は大体+7Gまでを耐えるように設計されているそうなのである、その辺に人間の限界点があるからだとも聞いている。
 それを10Gだよ? 人間の体重が10倍になっちゃうんだよ?
 それを+と−両方とも? ……レシプロアクロって凄い世界……

 それからブースの売り物をチェックする、……う、めぼしいものが無い……
 先程の説明文の近くに立っていたブース関係者に、思わず愚痴ってしまった。

「レシプロアクロの世界って中々資料がないんですよ、こういうところで売ればいいのにとか思いますよ」

 広田の愚痴にその人は

「そうですねぇ」

 と相槌を打ちながら苦笑していた。
 やっぱり失礼だったかなぁ? でも本当にそう思いますよ、あんな素晴らしいショーなんだからもっと世間に広めて欲しい……

 気を取り直して、次のブースを探そうとしたら……なんだ隣のブースは、もう一人の日本人アクロパイロット、ロック岩崎さんのAIRockのブースじゃないか!
 今度はどうだ!? とか思いながらブースをチェックしたら……やりぃ! AIRockのオリジナルビデオが売ってる!
 これだよ、こういうのを探してたんだよ!
 早速、財布を取出して一巻購入、今夜の楽しみとして大事にバッグにしまう。
 このブースの反対側に何故か、似顔絵コーナーらしきものがあった。
 そこにいるのはどうも、ロック岩崎さん当人らしい。
 た、多芸な人なんだなぁ……

 ……と、ここまでかなりの距離を歩いて来たのだが……
 実はまだこの時点で11時前であり、オープニングセレモニーはまだ始まっていないのであった。

 広田はさらに北側のブースを見てまわり、ついでに(社)静岡航空協会が地上展示していたグライダーを改めて見物した後、エプロン中央へと戻った。
 今度はブースのある側ではない、滑走路のある側に向かって行ったのだ。

 そう、そろそろ飛行展示が本格的に始まるのである。

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