嵐になるまで待って(再々演)その1/演劇集団キャラメルボックス
観劇日 2002.8.15 19:00 補助席 松 19番 東京・池袋サンシャイン劇場
キャラメルボックスで初演から観ている公演のひとつ
これほど初演と再演の間に変わっている公演もないのですが今回作・演出の成井さんの話でまたしても大幅改稿とのこと
そして主役のユーリがどうなっているのかですが・・・
あらすじ
ユーリ(岡内美喜子さん)の親は声楽家で小学生のときから声楽を習っていたが,自分の声が嫌いで特徴のある声であれば声優になれるのではないかと思っていたところ,師匠の勧めで声優のオーディションに急遽参加する
その場には役が決まっている少女チカコ(中村亮子さん)と台本読みをさせられる
最初台詞がなかなかうまく読めずつっかえてばかりであったがそのうち没頭しいい味を出していた
そのときディレクター滝島(大内厚雄さん)から誰かに声が似ているといわれる
そしてオーディションに合格し,最初の顔合わせで作曲家波多野(岡田達也さん)その姉雪絵(忍足亜希子さん)と高杉(三浦剛さん)が出会う
高杉は友人がビルから飛び降りたのが波多野が原因だと追及するうちに雪絵に絡む
そのとき波多野が『やめろ』と言ったのだがその声と同時にユーリには『死んでしまえ』という声が聞こえてしまう
その場にいた誰にも聞こえない
ユーリは波多野と声が似ていたから聞こえたのだ
そして第2の声が聞こえたことに波多野に気づかれ,ユーリは波多野に声を奪われてしまう・・・
初演,再演とどんどん進化していった(ある意味では退化していった)作品
今回今までない演出を観,これからのキャラメルボックスを見るような感じになりました
特に音響
雷が鳴るシーンがあるのですが○○を利用した音でこれは普通ないでしょう・・・と思ったほど
どの程度○○を使用したのを気づいた人がいるのか疑問ですがとにかくすごい
あと今まで音響であまり使用してこなかったのが効果音
特に波多野の怖さを非常に際立つ形になって前からストーリを知っているのにそれにもかかわらず怖く感じたのは岡田さんの演技だけではないと思います
次に演出ですが効果音のうまい使い方もあるのですが語り手がいるにはいたのですが必要以上前面に出ていなかったのが収穫かな
全体的にはわかりやすかったとは思うのですが,雪絵の手話を周りの人が理解している前提のようにしてしまったため手話の中身がわかりにくくてちょっと困るかなあ・・・
役者さんに視点を移すと,今回岡内美喜子さんに注目していました
もちろん主役であるということも大きいのですが,彼女の演技のいいときと悪いときの振り幅が大きいと感じていたので今回はどうなのだろうと思っていたので,いい方に振れたようです(^^)(細見さんが相手役だったのは大きいと思う)
今回は幸吉役の細見大輔さんと岡田達也さんと忍足亜希子さんの3人を観るためでも価値があると思います
特に岡田さんと忍足さんはホントに姉弟みたいで,岡田さんの狂気が姉役の忍足さんを守ろうとするのがひしひしと感じたし,岡田さんがいなければ今回は成立しなかったでしょう・・・
狂気をうまく表現していたと思うのでこの点はもしかしたら最近のキャラメルを観ている人にとってはちょと違和感があるかもしれない
でもユーリの幸吉に対する屈折した感情はなんとなくわかるような気がする
特にタイトルの中の『待って』の部分になれば自分の声が聞こえなくてもどうしても助けたい・・・
この気持ちが出たから声が出た
私にはそう思うから・・・(2002.8.20記)
この公演は2回観たので次の感想はここへ
