大島先生講演会レポート
生命の起源:地球上の生命はどのようにして始まったのか
東京薬科大学生命科学部 大島泰郎 先生
2002年11月30日 於 町田高校
このページの内容は講演を聴いて今橋がとったメモをもとにしたものであり、
今橋に原因のある間違いを含んでいる可能性があります。ご承知おきください。


 町田高校で行われた、東薬大大島教授の講演会へ行って来ました。

 内容はほぼ、我々の教材と重なるものでした。
・現在の生命科学では、生物を「分子情報機械」と捉えている。すなわち、分子を部品とし、コンピューターのように情報を扱う機械ということである。
・最初の生命について探ることは、「生命とは何か」「我々ヒトとは何か」を知ることにつながることであり、生命科学の重要なテーマである。
・調べる方法は大別して「合成的な方法」「分析的な方法」がある。分析的な方法には化石を調べる方法と現生の生物を調べる方法がある。
・合成的な方法とはオパーリン・ミラーに代表されるように、どうすれば生命の材料ができるかを調べる方法である。
・化石については形のある化石の研究のほか、それ以前の時代についても「化学化石(炭素の同位体比)」によって生命が存在したと考えられる証拠が見つかっている。
・現生の生物については遺伝子の差違から系統分類学上の距離を定量的に調べることができるようになった。
・(それぞれの方法で得られた成果を示しながら)現在では、初期生命は熱水の中で生まれたと考えられて
いる。
・生命科学は現在進みつつある学問分野であり、ミラー(当時21歳)のような例もあるので若い人にどんどん入ってきて活躍して欲しい。また、生命科学以外でも、やりたい分野を見つけて活躍して欲しい。

 おもに高校生向けということで難解な説明を避けつつ、しかし論理的に納得できるお話をされました。こういう講演を聴く機会のある高校生は幸せだと思います。また日本の社会全体のためにも、こういう機会が多くなることを期待したいと思いました。

 それ以上に感心したのが生徒達の様子です。1時間以上の講演の間、私語や居眠りをする様子が見られませんでした。
 それどころか講演終了後、校長室(大島先生の控え室)まで話を聞きに大勢(10人ぐらいいたでしょうか)やってきました。しかも「用意した質問に回答をもらい、『ありがとうございました』で終わる」のではなく、どんどん新しい質問や自分の考えをぶつけ、理解を深めようとする意欲があふれ出していました。能力的に優れていることのほか、単に点を稼ぐために勉強するのではなく、「楽しんで勉強する」ことが身に付いているのでしょう。うらやましい限りです。
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