櫛の物理(振り子)
櫛は振り子

 実は、櫛の歯は、一種の「振り子」なのです。
 普通の(という言い方は、本当は「普通」の定義をしないといけないのですが)振り子は、持ち上がったおもりが重力で下がり、そのまま反対へ行って重力で引き戻され、という動きをします。

 櫛を裏返してみましょう。歯の付け根からしばらくの部分が薄く削られています。そして先端は削り残して分厚くなっています。
 先端の分厚い部分が「おもり」です。ドラムの突起が引っかけて持ち上げたおもりを、薄く削った部分のバネの力(弾性)で引き戻しているのです。

 同じ力で引き戻すなら、おもりが軽いほどすばやく引き戻されます。すなわち、高い音になります。おもりの重さが同じでも、遠くにあれば戻りは遅く、低い音になります(高校の物理で教わる「慣性モーメント」ですね)。
 また、よく見ると、薄い部分の一部がさらに薄く削られています。これでバネの強さを調整しています。他の条件が同じなら、バネが強いほうが戻りが速く、高い音になります。

 実験装置を作ってみました。
 板ばねの下端を固定し、先端にはおもりとしてボルト・ナットがつけてあります。

 左から順にA・B・C・Dとすると、
・BはAに比べてばねの長さが2倍。
 ほかの条件は同じ。
・CはBに比べておもりが2倍
 ほかの条件は同じ。
・DはCに比べてばねの強さが2倍
 ほかの条件は同じ。
になっています。

 すると、BはAに比べてゆっくり振動し(振動数が小さい=オルゴールの場合、低い音)、CはBよりもゆっくり振動します。DはCよりもすばやく振動します(振動数が大きい)。
 工作精度がよければ、BとDの振動数は同じになるはずです。

 もっとも振動数が大きいAと、もっとも振動数が小さいCを同時に振動させてみました。Aがほぼ左端から右端まで振動する間に、Cは半分も振動していないのがわかるでしょうか。↓

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