高野 善通の 演歌の世界 新演歌復権への道

 

・このページは、演歌復権への思いを、再び考え直す、新コーナーです。
 なお、このページは、月2回更新予定で、更新後は、「演歌復権への道」コーナーに移設いたします。

 

・11月 2004年紅白選考を糾弾

 前回のこのコーナーで、2004年紅白歌合戦では30組ずつが出演するとなれば、12〜13組くらいは演歌枠になるべきでは?ということを記載した。そして、先日、紅白歌合戦の出場 歌手が発表された。実際、紅白28組ずつのうちそれぞれ13組ずつが演歌枠(アダルトポップ系も含む)になり、私の予想通り、いや、予想以上の割合になって、私を含む演歌ファン は万々歳・・・とはとてもいかない選考結果であった。
 そもそも今年の紅白は、チーフプロデューサーによる経費不正流用事件があった関係で選考に透明性を持たせようとの思想の下、全国民から無作為抽出した3000人へのアンケート で、国民が出場を希望する歌手の紅白上位15組には優先的に交渉する(本人が辞退しなければこの時点で出場決定)方式で行われたのだが、この時点で、今年の紅白の選考結果の 象徴となる重要なデータが出たのであった。それは、上位15組ずつの中で演歌歌手が半数を占めたこと、それも、演歌歌手の中で、島倉千代子さんを始めとした大ベテラン歌手、 紅白常連級の歌手に偏る選考結果となったのである。この結果は、高齢者中心のアンケート回答の傾向がうかがえる。それもそのはず、ただでさえ日本の人口構成が少子高齢傾向に あるのに加え、若年層の紅白離れ(格闘技番組を見る、またはテレビ自体を見ない)があるため、想像以上に高齢者の嗜好に偏る結果となった面があるからだ。
 NHKとしても、この結果や全体的傾向を無視することはできず、全体の選考でも演歌系の割合を増やさざるを得ないことになったというのが想像できるが、とりわけ、今回の 傾向として、演歌歌手の中でもべテラン勢に偏らざるを得ない選考結果になったのは非常に残念であり、また、苦しい選考結果と言わざるを得ない。まさに、時代に逆行している ともいえる選考結果ではないだろうか?個々の歌手について評論しても、紅組では、中堅、新進クラスで紅白実績もある石原詢子さん、島津亜矢さん、田川寿美さんが落選、常連 だった香西かおりさんも落選、逆に復活組が中村美律子さんと、ファン投票上位で事実上内定だった島倉千代子さんのベテラン。白組では、氷川きよしさんを除いて昭和の時代から ほとんど代わらないメンバーばかり。
 紅白歌合戦が舞台のNHK不祥事だっただけに、改革を旗印に選考した結果がこれでは、ファンの落胆も大きいのではないだろうか?いや、出場歌手に大きな改革を期待していた ファンを裏切る結果ともいえよう。いや、むしろ時代に逆行した選考でファンに示しがつかないくらいひどい結果ともいえる。松平健さん(マツケンサンバ)が今年最大の話題曲に はなったのだが、それ以上にショックだったのがSMAPの辞退(今年新曲を出しておらず、目立った音楽活動をしていないためという。谷村新司さんもほぼ同じ理由で辞退)。 これでは歌番組ファンでも「今年は紅白を見ない」という国民が多くなることが懸念されよう。
 もう一つ、私が気になった点が一つ。昨年は31組ずつの歌手が出場して(一昨年は27組ずつ)、途中の見世物などを極力削って、歌番組本来の魅力を見せる構成が成功したとも 言われ好評だったのだが、今年は28組ずつに減少となった。もし、昨年より出場歌手が少なくなった原因が「白組の人材不足」にあったとしたらこれは由々しき問題である。 SMAP、谷村新司さんらの辞退で他に出場を要請するだけの価値を見出すべき人材がおらず、これが紅組出場歌手へのしわ寄せとなって、紅組中堅演歌歌手落選要因の一つになって いたとするならば大変なことである。これで、昨年からの出場歌手減少分を途中の見世物を増やして補う番組構成であったとしたら、これは紅白ファンにも受け入れられないこと になるだろう。

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