◆プールの攻め方とポイントの順位 

 プールの地形が解ったところで、ポイントを決めます。ポイントとは鯉の釣れる所であると先に書きました。釣れる所とはすなわちエサを取る所といっても良いでしょう。そこで、エサの多く集まるところを優先にポイントの順位を決めます。野鯉の世界も他の自然界の掟にならい弱肉強食の世界です。強いものが良いエサ場を、快適な環境を占有します。 普通、プールの始まりは、最初にエサが流れ込む所ですから、最も良いポイントになります。次に、プールの終わりが、最も多くエサがたまり2番目のポイントになります。途中で流れ込みがあれば、そこも良いポイントになります。鯉の隠れ家となる障害物回りや最深部は、そのプールの最後に攻めるようにします。エサ場から隠れ家へと、追い込むように攻める訳です。これをポイントのローテーションと呼びます。

 ポイントを移動するのは、既に他の釣り人に攻められていて釣れなくなっていた時や、そのポイントでひとわたり鯉が釣れた後、型が小さくなったり、アタリが少なくなってからで結構です。まだ、釣れているのに慌てて移動する事はありません。エサをローテーションするのは、それが一巡してからで結構です。

 また、時間のローテーションという方法もあります。24時間体制の釣人も増えて来ましたが、多くは日中だけの釣人です。釣人が多くなると、静かになる夜間に大型のアタリが多くなります。野鯉も本来は人間と同じく夜行性ではありません。夜行性になるのにはそれなりの理由があるのです。

◆ポイントのプレッシャーレベルと攻め方

 さて、プールの攻め方を決めたら、いよいよポイントを攻めます。ポイントの攻め方にも、幾つかのセオリーがあり、フィシングプレッシャーのレベルにより攻め方が変わります。

◆レベル0(初期)

 これは、釣人という不規則要因が全く入っていない初期段階の事を言い、自然という規則的な法則の下で野鯉の行動は決まります。そのため、野鯉の本能に基づいた行動が多く、その行動は予測しやすいと言えます。

 弱肉強食の法則の下、大型ほど良いエサ場を占めている事が多く、野鯉にとって最も快適な時に大型がエサ場に来る事が多いようです。そのため、初期のうちに大型のアタリの来る事が多く、それに対応した釣り方が必要です。

 新ポイントにおける最初の攻め方は、まず野鯉にエサを教える方法から入ります。狙うポイントに寄せ打ちを繰り返し、野鯉の5感を馴染ませ、そこにエサがあるのだという事を教えます。初めてのポイントでは、ネリエサもイモも知らない野鯉も多く、すぐにはアタリが出ないことも多くありますが、何回も繰り返しエサを打つことにより、だんだん多くアタリが出るようになります。これを学習効果と言います。

◆レベル1(中期)

 この段階は野鯉がエサを学習して反応するようになった段階の事を言い、最も釣りやすい状態となっています。エサを投げ込む音でエサに集まり、エサを打てば打つほど集まって来ます。

 この時期には最も大型と数が出る時で、この時に如何にバラシを少なくするかがポイントを長持ちさせるコツとなります。

 この時の釣り方としては、時合いに応じて食い込みやすいエサを使用し、寄って来た群れを軒並み釣ってしまう数釣法と、大仕掛けを用いて小型が掛かるのを防いでアタリの数を減らし、大型のみを狙おうという逆説釣法の二つがあります。

◆レベル2(後期1)

 エサに対する反応がマイナスに転じ始めた段階を言います。アタリの数が減少し、大型と小型の釣れる時間帯が変化したり、小型ばかりが釣れるようになってきた時は、そのポイントにいる群れはそろそろ終わりが近づいたと言えます。そろそろ、ローテーションをする時が来たと言えるでしょう。ポイントの順位に従い次のポイントに移ります。この場合、レベル1の時のように頻繁に寄せ打ちをしなくても大丈夫です。

◆レベル3(後期2)

 ポイントをひとまわりローテーションした後は、エサのローテーションを行います。この場合、魚はかなりナーバスになっていますので、釣り人の気配を感づかれないように、新しいエサを馴染ませます。エサのローテーションにつきましては、前回に詳しく述べていますのでここでは省きます。

◆レベル4(終期)

  時間やポイントそしてエサのローテーションなどをすべて行い、最後に行うのが繊細釣法です。仕掛けやエサなどを細く小さくして、できるだけ静かに繊細に、野鯉に気配を悟られないように釣る方法です。

 すれたポイントで一般的によく行われる方法ですが、この方法はできるだけ最後の方法として、安易に使用しないで下さい。その第一の理由は、早くポイントが荒れるからです。 細く小さな仕掛けを使用すると、どうしてもバラシが多くなります。大型になるほど取り込みが難しくなり、高い技術が必要となります。

 また、小型も多く掛かり、小型のうちから学習を重ねる事により、警戒心がますます強くなって難しいポイントになってしまいます。

◆技術の目的