針の役割

@   エサを保持する

食わせ式の場合は殆どエサを針に装着する方式をとります。すなわち、エサの中に仕込んだ針をエサと一緒に吸込ませる方式です。中には、ハリスの上までエサをこき上げて使う方法や、軸にモドリを付けてエサが抜け落ちないようにしたケン付針もありますが、それも一種の応用です。とにかく、魚が食いつくまで、エサを保持する役割を担います。

吸込み式の場合は、吸込みダンゴを突付いている内に中に仕込んだ針を吸込ませる場合と、早くバラケテ崩れ落ちた粒子の中に沈んでいる針を吸込ませる方式がありますが、やはりエサから針がズレテしまうと効果がありません。

A   魚に食わせる

魚に針を吸込ませるには、小さくて軽いものほど吸込みやすく、大きく重いもの程吸込みにくくなります。

ということは、吸込む力が弱い場合には小さく軽い針が効果を発揮し、吸込む力が強い場合は大きく重い針でも十分です。

自然の中では、鯉だけでなく、他の魚種も多様に生息しているため、ただ単に小さな針を使用してもジャミや小型ばかりという事になりかねません。

そこで、逆に大針を使用してジャミや小型を避けると言う方法もできる訳です。

B   魚に掛ける

多くの釣人が、針の役割に最も期待しているのは、これではないでしょうか?

そのために、針の形状や針先の鋭さに神経を尖らせる釣人が多いようです。

しかし、中には、掛かりをわざと悪くさせた針もあるのをご存知でしょうか?

ネムリ針という針を知っていますか?ムツなどの深海魚を釣る針ですが、実は、この針は内側に大きく針先を曲げて、わざと掛かりにくくしてあるのです。すなわち、これらの魚はエサを深く飲み込む習性があるため、食道や口の中では掛からないように針先を内側に曲げ、口先に来ると軸が回転して針先が口先に掛かるようになっているのです。

石鯛釣りでは、針先が鋭すぎると硬い歯に掛かりバラシの原因になるということで、わざと針先を少し鈍らせて、アワセをした時に歯から滑って口の横に掛かるようにしている針もあるほどです。

しかし、鯉釣りでは、そういう心配はありません。針掛かりが良く、バレ難い針が求められています。針は形状がしの字型の場合、針先が抵抗の掛かる方向に向くようになっています。そのため、口唇に掛かる場合はフトコロが広いほど奥深く掛かるようになっています。また、針先がチモトに向いている程、小さな力でも掛かります。逆に、針先の角度が45度に近くなるほど平らな所でも掛かり易くなります。たとえば、口中深くとか腸の中まで飲み込まれた時などです。もっとも、鯉の場合、そんなに奥深く飲み込む場合は生きエサの時位ですが…

C   魚と引き合う

獲物が掛かって、一番悔しい思いをするのが、バラシタ時です。その中で、大物をバラシタ時に良く言われるのが、針を伸ばされたとか針を折られたという言葉です。また、途中で外れる場合もあります。針を伸ばされたり折られたりするのは、無理に引き合ったか針の強度が足りなかったかのどちらかです。その場合は、もう一度タックル全体のバランスを見直す必要があると言えるでしょう。

 問題は、外れる場合です。多くは、掛かりが浅いため、口切れして外れるパターンになる訳ですが、では、何故掛かりが浅くなるのでしょうか?

針に原因がある場合から見てみましょう。

@針が獲物に対して小さすぎる場合
この場合は、針が唇に僅かしか掛からず、引きに耐える事ができなかったからです。

A針先の角度が大きすぎる場合
この場合は針がボトムまで深く掛からず、外れたからです。

B獲物の活性が低い場合
この場合は、吸い込む力がエサと針の重さに対して弱いからで、針やエサを小さく軽くします。

C獲物の勢いが強すぎる場合
この場合は、強く引き合った時と同じく、過重が掛かりすぎて口切れしたからです。おもに、スレテいない新ポイントや、狭い所から広い所へ出るポイントなどで見られるケースで、獲物の走りが止まり手前を向いた時に外れる事が多い。この場合は、オモリを軽くしたり、ドラグのテンションを緩くして、負荷を軽くすると良い。