仙台遺跡見学会参加記

第1回、出発までの大騒ぎ


 東京駅始発の新幹線に乗って、仙台に到着。それから、バスで大急ぎで東北福祉大学に向かう。本日の遺跡見学会の集合場所なのだ。集合時間は9時、間に合うだろうか。

大変だ、置いてきぼりになってしまった。

 9時ギリギリに福祉大学の正面入り口に到着する。丘のてっぺんにある大学のでとても立派な校舎だ。ところが、校門のところには掲示もなければ、バスも停まっていない。どうしたことだ。オレは集合時間を間違えたのか。
 気を取り直して、大学の敷地のなかに入っていく。だか、構内はガランとしていて、学生の姿すらない。どうしたのだ。あわてて、考古学研究室に電話する。しかし、誰も出ない。ますます、あわてる。
 そうするうちに、9時10分ぐらいになる。突然、タクシーが二台滑り込んでくる。中から、どっかで見たことのある、小太りのチョビひげの先生が、飛び出してくる。だれだろうなあ、どっかで、見たことあるなあ。ああ、ああ、そうだ春成秀爾先生だ。(この時点では私は春成先生が本日の見学会の引率者であることを知らなかった。)先生は何をしに来たんだろう。そのうちに、先生は芹沢鮭介工芸館に入っていった。私はあわてる。こまる。もう一度、入り口に行ってみる。相変わらずバスはいない。どこか、別の場所が集合場所である可能性が濃厚になる。よし、もう一度、電話してみよう。
「はい、梶原です。」ああ、やっとつながった。ロクジ、ホッとする。
「今日の遺跡見学会なんですが、集合場所はどこなのでしょうか。」
「脇本さんですか。吉崎先生からうかがっております。いま、どちらですか。」「工芸館の前にいます。」
「そうですか、集合場所はここなんです。でも、バスの手配が遅れてしまって、まだ出発できないんです。」ロクジ、またまた、安心。
「だれか、そちらに向かわせますから、待っていてください。」

しばし、待っていると、向こうから、学生の方がいらっしゃる。
「まだ、バスの手配が出来ていないので、バスがくるまで、工芸館でも見学していて下さい。」
「はい、わかりました。」

写真 東北福祉大学芹沢鮭介工芸館

工芸館に入る。それは、立派な建物だ。さすがに、工芸館という名前にするだけはある。建物全体が博物館になっているのだ。六階建ての建物の1階、5階、6階が展示室である。

今回の展示は、芹沢鮭介先生の装丁なさった本の展示がしてあった。ものすごい、大量の本である。先生が装丁された本は、全部で800冊ほどもあるというから、ここに展示されているのは無論その一部にすぎない。

写真 今回私が見た特別展ポスター

果たして、私の持っている本が何冊あるだろうか。そんなことを考えながら、展示をみてまわる。

結構、いろいろな本があるなあ。川端康成、太宰治、などと考えながら見ていると、『林芙美子選集』が目を惹いた。あと、長介先生の名著『石器時代の日本』とても、全部見て回るには大変だ。

あと、身近な本としては文庫本も結構ある。本当に、一部の展示だといってもすごいことだ。

そうしているうちに、そろそろ、集合らしい。みんなが、中庭に集まりつつある。春成先生が、梶原先生と話をしている。「はじめまして、よろしくお願いいたします。」ロクジあいさつする。梶原先生も、春成先生同様、鼻の下におヒゲをたくわえておられる。それから、東北福祉大学と名前のはいった派手なカラーのバスが入ってくる。

みんなバスに乗り込んで発車する。1時間遅れの10時発車となる。結構な人数だ。大体30人ぐらいだとおもう。


いきなりエンストか、おお、バスが勝手に下っていく

やっと、発車したものの、ブレーキが荒い。そのうえ、エンストとおぼしき不気味な動作。福祉大学の中庭から外に出るには急な坂があるが、そこでなんと、バスが不自然に下りはじめる。おおおおおお、大変だ。どうなっているんだ。
 そうしているうちに、春成先生のマイクでの挨拶がはじまる。

「本日は、遺跡見学会にようこそ、おいでいただきました。私が国立歴史民俗博物館の春成です。今日の引率を行います。本日、みなさんとご一緒するメンバーをご紹介いたします。東北旧石器研究所の鎌田俊昭さんです、鎌田先生は本日バスの運転手も兼ねておられます。鎌田先生は東北旧石器研究所の所長さんですが、ご存じの通り、幼稚園の園長先生で、普段は送迎バスのハンドルを握っておられますので、運転のほうもお願いしております。そして、横山雄平さんです。藤村さんは今日はお仕事ですのでこれません。そして、古環境研究所の早田勉さんです。梶原先生は昨日の後かたづけで本日は欠席です。
それでは、ご挨拶をお願いいたします。まず、最初は鎌田さん。」

「鎌田でございます。今日は、どうしたわけか、急遽バスの運転手もやっております。(^_^)ふだんはよく送迎バスの運転もしておりますが、今日のバスは不慣れでして、どうなることか、わかりません。もしかしたら、全員あの世行きということも、あるかもしれません。もし、そうなったら、後の面倒は私がみます。(鎌田さんはお坊さん)(T_T)それでは、よろしくお願いいたします。」

横山さんの話がある。そして、最後は早田先生となり、資料の説明となった。

そうしているうちに、最初の見学地の富沢遺跡へ到着する。鎌田先生の運転はまだ、まだ、大変だ(^^;)。


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