![]() |
|
|
それは今からもう10年も前のことになりますが、私は友だちと二人で、ヨ−ロッパを旅したことがありました。その旅はある程度の計画は立てていましたが、個人旅行でしたのでホテルの予約などはとらず風の吹くまま、気の向くままの旅でした。
その日、ドイツのケルンに居た私たちは、コブレンツというところまで行き、そこからライン上りをしょうじゃないか!ということになり、日がな一日ラインの流れに身をまかせることになりました。コブレンツはライン川とモ−ゼル川の合流地点にある街で、そういう地形のためか天然の要塞として古くから軍事上重要なところだったそうです。 |
||
![]()
|
![]() |
さて、そのコブレンツの船の発着所から、ライン上りの船にのり、名所・旧跡をながめ、昼寝をしたり、のんびりした旅の一日を過ごします。 そうするうちに、有名なロ−レライの岩がみえてきました。途中から乗り込んできたイタリア人の観光客の一団が、ロ−レライの歌を歌いはじめました。 |
![]() |
なじかは知らねど わびしく暮れゆく |
![]() |
ときつつ口ずさむ 歌声の 奇しき力に魂もまよう こぎゆく船人歌に憧れ 岩根も見やらで 仰げばやがて 波間に沈む人も船も 奇しき魔が歌、 うたうロ−レライ |
そうこうしているうちに、陽も傾きはじめ、船をおりる人が多くなり、 デッキに持ち出された沢山の椅子が、淋し気に夏の風に吹かれています。 さて、私たちも下船する時がやってきました。目的地のマインツに到着したのです。
船をおりると一目散にそのホテル目指して走りました。夜の汽船桟橋は暗くて静かで、誰かが後ろから追ってくるのではという錯覚さえしそうでした。 |
![]() |
![]() |
|
そして、無事ホテル到着。ホテルの主人は、英語が話せる女性で「マダム」といった感じでした。 私たちはチェックアウトのあと、夕食を取りにマインツの街に出ました。かわいい給仕さんのいる素朴な感じのレストランで、たらふくドイツの家庭料理を堪能して、ワインものんで、すっかりいい気持ちにできあがって帰って来たら、なんとホテルの玄関のドアが閉まっているではありませんか! 私たちが外出することはマダムは知っているのになぜ締めちゃったんだろう!とパニックをおこし「開けて〜開けてヨォ」とドアをどんどん叩いていたら「どないしたん?」と懐かしい日本語が(しかも大阪弁)私たちの耳に聴こえてきました。 その大阪弁の天使にすがる思いで「ホテルのドアが開かないんです」と告げると「えっ!」と絶句し、私たちよりすごい勢いで「開けてくれ〜」とドアを叩いてパニックをおこしてしまいました。大阪弁の天使も私たちと同じホテルに宿泊していたのです。 どうやら大阪弁の天使は、救いの天使にはならないようだと思いかけた、その時、騒ぎに気付いたマダムが二階の窓からカギを落としてくれて、無事部屋に入れました、しかしマダムに「あんなに騒いだら近所迷惑でしょ!」と怒られたのは言うまでもありません。 でも、なぜ閉まっていたんだろう? |
|
写真の説明です。上から… **私たちが宿泊した、ケルンのホテル。予約のとき「川側の部屋をお願い」と言い忘れてしまい、 **ホテルの部屋から撮影した風景。どうやら教会の裏側のようです **ロ−レライの詩の横のマンガは私がスケッチしてのちにペン入れしたものです。 |
![]() |
![]() |
![]() |
![]() |