試 乗 記 録 No.008

東日本旅客鉄道 167系快速「川崎〜奥多摩ハイキング号」 (9351M〜9354M)
川崎 ⇔ 奥多摩間  試乗日 2000年5月28日(

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 今日の奥多摩駅は、絶好のハイキング日和に恵まれ、

終止華やいだ空気に包まれていた。 しかし午後3時を

過ぎると、だんだん帰宅客でごった返す様になってきた。

さて私も15:48分発の「川崎〜奥多摩ハイキング号」で

帰途に付こうと思う。 

 

 

 日向和田付近を行く「川崎〜奥多摩ハイキング号」

 

 奥多摩駅1番線への入線は15:43分であるが、先行の電車が発車した時点で、ホーム上には沢山の乗客が並

んでいた。 この時点で、かなりの人数が「ハイキング号」を待っていた様である。

15:43分、青梅方より回送で167系アコモ車が入線してきた。 ホーム上では、多くのファンがカメラを構え、到着

を待っていた。 入線後ドアが開くやいなや、早速車内に乗客が吸い込まれて行った。 発車は次発になる201系

「ホリデー快速おくたま号」の回送が、2番線に到着してからであった。 ホーム上では僅か1分程であったが、「ホ

リデー快速」同士の並びが実現していた。

 

   (左)奥多摩駅で発車を待つ
    「ハイキング号」

 (右)「ハイキング号」のサボ。

 

 さて急いで車内に戻ると、もう列車は静かに動き出していた。 車内を軽く見渡すと、リクライニングシートを回転さ

せ、早速「酒盛り」を始めた行楽客も結構見られた。 帰りの運転は、行きの運転よりも有効時間帯に運転される

為か、若干乗客数が多い様に感じられた。 また、私と同じ鉄道ファンの方も、多数乗車している様であった。

帰りはどちらかと言うと、大人しくリクライニングシートに腰掛けて、167系アコモ車の旅を満喫して行きたい所であ

る。 さて青梅線内は、急勾配・急曲線の線形をゆっくりと進んで行くのだが、車内では和やかな空気が流れてい

た。 ところで、青梅線内の御嶽・青梅でも多くの乗車があり、青梅出発時の乗客数は、約190人を数え、約75%

の乗車率となっていた。 実際かなりの割合を、鉄道ファンが占めているのだが、この乗車率は上々な所であろう。

そんな青梅線も、東青梅を過ぎて複線区間に入ると、だんだん都会的な風景が展開する様になってきた。

 

 

 ここで、167系アコモ車の概要にも触れておこう。 167系は、元々修学旅行用電車として、165系急行形電車

をベースに製造された車輌である。 新製以後、一時見られた定期急行運用も含め、大活躍をして来たのは周知

の通りである。 現在では、本業の「修学旅行列車」での活躍は減ったものの、依然として東京の田町区と、大阪の

宮原区に配置され、それぞれ波動用車として活躍している。

 また田町区には、今回乗車した「アコモ車」と、「パノラマエクスプレスアルプス」と同じ塗装の「メルヘン車」、そして

伝統の「湘南色・ボックスシート」の「一般車」と、3通りの編成が揃い活躍をしている。 なお「アコモ車」と「メルヘン

車」は、特急車輌のグレードアップで余剰となった「簡易リクライニングシート」を装備している。 これら改造車は、

共通して「暖色系」の色使いの車内となり、面目を一新している。

 

 青梅線内は福生・拝島に停車し、次はいよいよ立川に到着である。 やはり行きと同じく、西立川〜立川間は短

絡線を走るので、先頭・後端車輌には多くのファンが詰め掛けていた。 また一般乗客への案内も、「この列車は、

南武線のホームに到着します。」と案内していた。 一方、大宮方面へのお客様に対しては、「ホリデー快速甲州

号」の乗換え案内も行っていた。 このスジだと、埼玉方面からの利用も便利なのだろうか・・・。 その立川には

17:11分の到着であった。 ここで慌しく乗務員が交代し、これから南武線区間をひた走る事になる。 なお立川

では若干の乗車があり、ほぼ100%の乗車率となっていた様である。

 

   (左)行楽帰りの「和やかな」空気
    が流れる車内。

 (右)17:11分、立川に到着。
    慌しく乗務員が交代する。

 

 さて、南武線に入って最初の停車駅は、東京競馬場最寄の府中本町である。 当日は「日本ダービー」が開催さ

れた関係で、府中本町駅は多数の乗客が溢れていた。 ここでは一気に「競馬帰り」の乗客が乗り込んで来た為、

車内は立席が出る程に混雑してきた。 また167系は、元々「修学旅行電車」の為デッキが狭く、乗降にはかなり

時間が掛かった様である。 それでも何とか乗降を終えると、「ハイキング号」はまた走り出した。

満員の乗客を乗せながらも、快調に167系電車は加速し、多摩川を渡って行った。 やがて列車は川崎市内に入

っており、程なく小田急乗換駅の登戸に到着していた。  ここでは、かなりの乗客が降車した為、府中本町からの

混雑が解消された。 なお隣のホームには、先行する川崎行き205系電車が待避していた。

 

 登戸以後は、武蔵溝ノ口・武蔵新城・武蔵中原・武蔵小杉と停車しつつ、各駅で少しずつ乗客を降して行った。 

結局、武蔵小杉出発時には、青梅発車時の乗客数位に減っていた様であった。 また、南武線内は結構足が速

く、「快速列車」らしい走りを披露してくれた。 沿線の通過駅や踏み切りでは、「あれ!何の電車?」といった面持

ちで眺めている人が、多数いた様である。 167系アコモ車は、「アピール度抜群」といった所なのだろうか・・・。

また沿線各所では、カメラを構えたファンの姿も良く見られた。 特に、午後から天候が良くなったので、早朝よりも

多くの動員数の様である。 そんな中、列車は快調に進み、やがて時刻は18:00前となっていた。 もう既に矢向

駅付近を通過しており、もう数分で終点の川崎駅に到着となる。 奥多摩から川崎まで約2時間15分、行きと同じく

本当に「あっという間」の旅であった。

 

 18:03分。「川崎〜奥多摩ハイキング号」は、定刻通り川崎駅6番線に到着した。 駅構内は、多くのファンの焚

くフラッシュで包まれていた。 また、品川駅で同日行われた「ビューコースター風っ子」の展示会帰りと思われるフ

ァンの姿もあった。 その後、18:08分の回送列車出発まで、川崎駅南武線ホームは活況を呈していた・・・。 

 

   (左)府中本町では「競馬帰り」
    の乗客が乗って来た。

 (右)終点、川崎に到着。
    多くのファンが出迎えた。

 

 今回は臨時快速「川崎〜奥多摩ハイキング号」に乗車して、往年の「石の道」を味わい、新緑の奥多摩を楽しんで

来ました。 今回の運転はイベント色の強い物であったが、列車としては比較的良好な乗車率を挙げた様なので、

まずまずの成果を挙げたのではないか?と考えられる。 今後とも定例的に運転される列車として、再登場を願い

たい列車であろう。 また登戸〜府中本町間の様に、区間利用も旺盛だった様である。 この事からも、一時期運

転された「南武線快速」復活の必要性も、感じずにはいられない・・・。

 一方、使用車輌の167系アコモ車ですが、既に「ホリデー快速」等で運転実績のある車輌であり、普通料金でリク

ライニングシートに座れるとあって、まさに文句の付け様が無い車輌である。 だが改造車の宿命で、一部窓配置

とシートピッチが合っていない点があり、その点が残念だった。 しかし今後とも、臨時列車等で末永い活躍を期待

したい所である。 「修学旅行用電車」として作られた167系には、こんな「楽しい旅」が一番お似合いだから・・・。

 

- 終 -

 


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