試 乗 記 録 (特別編)
国鉄急行型車両を訪ねる旅 99年冬
取材期間 1999年11月25日(木)〜28日(日)
Page 1 プロローグ
今年も12月を迎え、1999年もあと1ヶ月を残すのみとなりました。 今年の鉄道界も、21世紀を視野に入れた
新型車両が続々と登場してきました。
新幹線700系、カシオペア、広島電鉄の「グリーンムーバ」等・・・。 数えればキリが無いと思います。
この様に次世代の主役が登場した一方、今年は鉄道黄金時代を築いた名車の引退や、地方鉄道の廃止が相次
ぎました。 例えば0系新幹線、小田急NSE車の引退や、新潟交通電車線、蒲原鉄道の廃止等である。
良く考えると私の1年は、その彼らを追いかけた一年になってしまった様です。 また今年最後の12月改正でも、
多くの車両の引退や運用縮小が行われ、正に「お別れ改正」になってしまう様です。
という事で今年最後の旅は、10月・12月と相次いだ改正で大きく変化を遂げる、「急行型車両」をとことん味わ
う旅を企画してみました。 さあ、ボックスシートに身を委ねて旅に出てみる事にしましょう。
11月25日(木) 1日目 (その1)
11月24日深夜の横浜駅。 各ホームからは沢山の帰宅客を乗せた電車が、ひっきりなしに発車していく・・・。
今回はここ横浜から「ムーンライトながら」で旅立つ事にしよう。
ホームから次々に発車する湘南電車を眺めているうちに、もう日付は変わって、25日の0:10分前になってい
た。 いよいよ東京方から4つのライトを輝かせて、371系「ムーライトながら」が入線してきた。
横浜は0:11分の発車だ。 さっそく、車内に乗り込み
座席に座ってみる。
さすがに昼間特急に使用される車両だけあって、シートも
大きく快適なのだが、今回は電動車(クモハ371型)に座
った関係上、少し走行音が賑やかだった。
大垣駅に到着した「ムーンライトながら」
車内が落ち着いたところで、辺りを見まわしてみる。 やはり人気列車だけあって、平日ながら7〜8割の乗車率
であった様だ。 さっそく上司から差し入れ頂いた、缶ビールとおつまみを開けてみるが、疲れているのか酔いが
急に回ってきた。ほろ酔い加減の私を乗せた電車は、なおも軽快に夜の東海道を西下していく・・・。
やがて私は深い眠りに付いていた。
旅程表(11月24〜25日) |
11月24日(水) 横浜駅 → 「ムーンライトながら」 〜 (車中泊) |
11月25日(木) 「ムーンライトながら」 → 大垣駅 → 「東海道線普通」→ 近江長岡駅 〜 徒歩 ※キハ58系急行「たかやま」と485系特急「しらさぎ」を中心に撮影。 徒歩 〜 柏原駅 → 「東海道線普通」 → 大垣駅 → 「東海道線普通」 → JR岐阜駅 〜 徒歩 〜 新岐阜駅 → 「名鉄岐阜市内線〜揖斐線」 → 本揖斐駅 → 「名鉄揖斐線〜岐阜市内線」 → 岐阜駅前 〜徒歩 〜 JR岐阜駅 → 「東海道線快速」 → JR名古屋駅 〜 徒歩 〜 泊 |
気が付くともう列車は愛知県内に入っていた。 気になってふと時刻表と時計を照らし合わせてみると、ダイヤ通
りに運行されていない事に気付いた。 これは濃霧の為に速度規制を受けた為との事であった。
やがて金山駅を過ぎると、間もなく名古屋駅に到着していた。 約4分ほどの遅着であった。
ここ名古屋では、後部3両を切り離す為に通常10分ほど停車する。 私はここでこの先、近江長岡までのキップ
を入手した。 今回は関西線周りの「周遊きっぷ」を使用している関係上、この先は無賃乗車になってしまうから
である。 結局、名古屋の出発は定刻通りになったが、代わりに停車時間が短くなったので、危うく乗り損ねるとこ
ろだった。
ここからは各駅に停車し6:51分、終点大垣に到着した。 名古屋以西は全車自由席なので、初めて車端部の
ボックス席に座ってみた。
大垣からは、定番の乗り継ぎと言える「網干行き」普通(431M)に乗り、近江長岡に向かう。
113系の、豪快なモーター音を聞きながらの関が原越えである。 また途中の車窓では、すっかり木々が色づい
ているのを確認出来た。 どうやら明日訪れる予定である吉野山の紅葉も期待出来そうである。
やがて列車は関が原を越え、近江長岡に到着していた。 今日の撮影地点はこの近江長岡から柏原にかけての
区間である。 またここは、昔からの有名撮影地でもある。
キハ58系急行「たかやま」 EF210型牽引のコンテナ列車
ここでは12月改正で、特急「ワイドビューひだ」に格上げの為廃止になる、急行「たかやま」(キハ58系使用)
と、485系特急「しらさぎ」をメインに撮影する事にしよう。 またこの区間は、貨物列車の設定が多い区間でもあ
るので、こちらも撮影して見る事にした。
待つ事しばし、急行「たかやま」は大きなヘッドマークを掲げて通過していった。 辺りにはエンジンの轟音だけが
残っていた。 また国鉄色ボンネット車の特急「しらさぎ」も美しく、夢中でシャッターを切っていた。
ここは、約40年前に電車特急の元祖「こだま」が、走っていた地点でもあります。 是非とも、この伝統あるス
タイルを維持し続け、21世紀になっても走りつづけてもらいたい物である。
ボンネット車が先頭の485系特急「しらさぎ」 このあたりの主役は117系電車である
この付近では、午前と午後で地点を変えて撮影したものの、だんだん雲行きが怪しくなってきたので、14:20分
頃に通過する「しらさぎ8号」を最後に、この地点を後にし柏原駅に向かった。
柏原駅からは、117系の普通電車に乗り大垣に向かう。 この117系は、国鉄時代に新快速用として製造され
た車両で、現在でも快適な旅を満喫できる。 快適な転換クロスシートに身を委ねている内に、大垣駅のホームに
滑り込んでいた。 隣のホームでは樽見鉄道のレールバスが停車していた。
大垣から先は、211系電車に乗り換え岐阜を目指した。