ドイツのF1
●なぜ、「Formel 1」なのか
ドイツのF1と聞いて、「ドイツGPでも観に行ったの?」と思うかもしれない。それは違う。私が実際にサーキットへ行ったのは一回だけで、それも鈴鹿。タイトルの「Formel 1」のスペルが間違ってると思ってる人も多いのでは?でも、これは間違いでもなんでもなく、ドイツでは「Formula 1」を「Formel 1(フォーメル アインス)」と言うのだ。わざわざ、ドイツの言い方で言う必要ないじゃん、と言わないで欲しい。なぜって、私はドイツでF1を、「Formel 1」を覚えたのだ。
●グルグル回るF1
2年前にドイツで「Formel 1」にハマるまでは、私は「Formula 1」にはまったく興味がなかった。セナぐらい有名な人の名前は知っていた。たまに日曜日の夜中にチャンネルを変えている途中にF1中継に出くわしたことはあった。ちょっと観てみたこともあったけど、何がなんだかまったく分からなかった。だって、同じところ(コース)をグルグル回ってるだけで、どれが1位なのかまったく分からないではないか!今にして思えば、「周回遅れが前にいたから」なのだが、当時はアナウンサーが言うドライバーの名前もチームの名前も知らなかった。テレビに写ってる車が1位なのは想像がついたが、なぜ前に車がいるんだろう、と、まったくチンプンカンプンの状態だった。
●「Formel 1」を見る
まず、私が「Formel 1」を初めて真面目に見た時の話をしよう。
2年前、ちょうど今の季節(7月〜8月)にドイツにドイツ語を学びに行った。当時のダンナと一緒に行っていたのが運のツキだった。彼も一応男なので、F1に興味があるらしかった。しかもドイツでは、グランプリの生中継が昼過ぎに見られるのだ。あれは、土曜日だった。週末の買い出しから戻ってきてテレビをつけると、F1の予選をやっていたらしかった(当時はF1に予選があることすら知らなかった)。もちろん、アナウンサーはドイツ語でしゃべっているので、ドイツ語初級の私には単なるBGMでしかなかった。ダンナは真剣にテレビに見入っているので、私も脇でなんとなく見ていた。
画面の下に名前らしきものとタイムらしきものが出ている。現在日本でも放送している予選の国際映像を思い浮かべてもらえば分かるのだが、左側にトップの人の名前とタイムがあって、タイムはスプリット毎に変わる。右側にアタックしている人の名前とタイムが通しでカウントされている。スプリットラインを通過する毎にトップとのタイム差が中央に表示される。フィニッシュラインを通過した時点で、自身のポジションを上げていれば順位と名前が表示される。1位になれば左側の名前とタイムが変わる。
F1を知っている人ならそれを理解するのは容易なことだが、チームの名前もドライバーの名前も知らなかった私には、最初は全く理解できなかった。タイムの上に出ているものがドライバーの名前だということが分からなかったのだ。でも、少し見ていると幸いにも理解できた。なんとなくだが、「これって、すごく面白いんじゃないの?」と思った。「F1って、こんなに面白いものだったのか!」でも、それが予選だったとは知らなかった。
次の日、その日もF1があるというので見た。それが決勝だということをその時は知らなかった。前日1位だった人が一番前のグリッドに並んでいる。ダンナが私に「今日が決勝で、昨日は予選。」と説明する。「そうか、F1には予選と決勝があるのか!」と改めて感心した。この時はフランスGPで、PPはヒル、優勝はシューマッハーだった。私は、初めてのF1で「予選の面白さ」と「シューマッハーの速さ」を知ったのである。
さて、次はいつだろう?早く次のGPを見たい思いでいっぱになった。私は2週間毎に開催されることを知らなかった。