ドイツのF1
●「Formel 1」にハマる
次は2週間後にイギリスGPがあった。ドイツにいるという環境のせいか、私は自然にシューマッハーを応援し、ヒルが嫌いだった。予選でもシューマッーを応援する。でも、ヒルがポールを奪った。決勝は、後ろを走っていたヒルがシューマッハのインを無理について接触、2人ともスピンしてリタイアした。アナウンサーが「シャーデ(残念)!」と連呼する。私はますますヒルが嫌いになった。
私は次のグランプリが楽しみで楽しみでしょうがなくなっていた。次はドイツGPだった。ドイツGP当日、「せっかくドイツにいるんだから、ホッケンハイムまで行けば良かったね。」とダンナに言った。ダンナは「何、そんなにF1にハマったの?」と驚いていた。私はホッケンハイムへ本当に行きたかった。まぁ、実際には当日行った所でチケットがある訳ないのだが・・・。でも、シューマッハーの地元であるドイツGPはどんな熱狂ぶりか見てみたかった。3時間もあれば行けるはずなのだ。でも結局、テレビでドイツGPを見た。ヒルはトップでオープニングラップを終えた直後、第一コーナーで単独スピン!その瞬間、大喜びの観客総立ちのスタンドが写ったのは言うまでもない。私は自分もそこにいるかのように背中がゾクゾクした。距離を感じなかったせいかもしれない。
●「RTL」
その後2戦見たので、計5戦ドイツでF1を見た。コマーシャルの最中など「Euro Sports」で見ることもあったが、基本的にはRTLで見ていた。RTLがシューマッハーびいきの中継をしてるのは言うまでもない。日本では右京を応援しているのと同じだ。その当時思ったのは、ヨーロッパでは右京よりも「タキ井上」の方がウケが良かったように思う。
日本に帰ってきて驚いた。予選をやっていない(帰ってきてから関西に住んでいた)。決勝も録画の上にカットされている。アナウンサーがうるさい。ドイツのF1のアナウンサーは、とても落ち着いて静かなしゃべり方(プレステのFormula1の裏技で実況をドイツ語にできるが、あのままの声であの口調だ)だった。F1と自分の距離を感じた。しかも、ドライバーなどの表示がカタカナだった。私はチーム名もドライバー名もすべてアルファベットで覚えていたのである。カタカナの名前に馴れるまで、だいぶ時間がかかった。
私は「RTL」でF1を覚えたのである。
●私がシューマッハーを好きな訳
私がシューマッハーを好きな訳を話しておこう。
ドイツでF1を覚えたことが理由なのは言うまでもない。ドイツではシューマッハーはもの凄い人気だし、テレビにもよく出てくる。日本ではシューマッハーの人気が低いのに驚いた。ドイツではF1の特集番組などをよくやっていたが、そこにシューマッハーがゲスト出演してコースの説明などをしていた。とても好印象だった。
その他に、もう一つ非常に個人的な理由がある。結婚式である。私は前述したように、当時ドライバーに対する知識はまったくと言っていい程なかった。だから、シューマッハーが結婚することも、一般のニュースで知った。偶然(2週間前までに予約しなければいけないので、本当に偶然)、私達もその6日後に同じ結婚式(amtliche Hochzeit 市役所・戸籍係での結婚式)をすることになっていた。生まれ年が一緒で、同じ年に6日違いで、同じ方法で結婚式をした。それで勝手に親近感を持ってしまった。
私のシューマッハーに対する思い入れは言葉では表現し難い。恋でもない、単なるファンでもない、特別なのだ。