悪徳社員の喜怒哀楽

自腹を切って泣き笑い(パスポートの残存編)

      大手の旅行業者を除けばほとんどの旅行業者は社員がミスをした場合、自腹でお金を埋めなくてはなりません。
     (大手に勤める人に言わすと、それも書類など煩わしい手続きがあるので自分で払った方が楽という人もいます。)
     自分でお金を払うので多い例は「案内ミス」。旅行代金は高額なので一回のミスで一月の給料なんか軽く
     吹っ飛んでしまいます。

      支店内でおきた実話を書きましょう。
     お客様は台湾へツアーで行かれる方でした。
     台湾へ入国するにはビサがない場合、パスポートの残存期限が6ヶ月以上必要です。
     お客様来店時、店内はムチャクチャ忙しく、担当者は自分で調べずに隣の誰かに聞き、3ヶ月でかまわないと、
     お客様に案内してしまったのです。
     ツアーのパンフレットにはこんな場合お客様の責任とうたわれたますが、お客様も心配して担当者に
     訊ねているのでとてもつっぱねられる状況ではありません。
     それからも確認する機会があったはずですが、気付いたのは出発当日、空港から電話があってから。
     もちろんツアーは当日キャンセルになりますし、この取り消し料がツアー代金の50%。
     お客様は旅行に行く準備をして空港にいるのにそのまま家には帰れないとおっしゃる。(当然か)
     かわりのコースを探して(この時はたまたま沖縄が空いていました)、代わりのコースのツアー代金も
     当然担当者持ち。
     しかも運の悪いことにピーク期の4名様。
     しめてこの小さなミスで60万円也。 

      これとは似ていてもぜんぜん別の結果になったケースもあります。
     マレーシアも残存は6ヶ月必要。若い学校の先生(女性)がマレーシアのビーチで夏休みというパターン。
     担当者は出発1週間を切ってから残存が足りないことに気づきお客様に連絡。
     ラッキーなことが重なり、普通の人がお勤めの月曜日に、学校がもう夏休みに入っているため自宅におられ、
     その日中に必要書類を揃えパスポートの申請に。
     旅券事務所の特別な「配慮」でギリギリ前日にパスポートがUPした出来すぎなぐらいラッキーな話。
     それをずっとフォローしてきた担当者はその学校の先生の恋人になったという本当にハッピーエンドなお話。


教訓:旅券事務所の職員も人の子。泣いて頼めば何とかしてくれるもの。


職業安定所の係にプンプン

     上の旅券事務所の係りの方には助けられたがお役所はやっぱり融通がきかない。
    お客様はホノルルウェディングに家族同行のパターン。たまたま新婦の父親が失業中で職安に通っているところ。
    運の悪いことにホノルル滞在中がその失業認定日。
    訳を職安の係に話されたお父さんに職安の係りは
    「単なる旅行では認定できないので娘さんの結婚式に参列した証明書を貰って来い」
    と偉そうにいったという。
    (おいおい職安は失業者を助ける場所と違うんか)
    それもツアー会社の日程表なんかじゃ認められないという。
    「それならばどうすればよいのですか?」
    「結婚式を挙げる教会の牧師さんに一筆書いてもらうよう」
    この時もアメリカ合衆国は契約社会なのでそれが常識とか偉そにのたまったらしい。
    よしそれならばお望みどうりのものを作ってやろうじゃないかと、何年かぶりに英語の辞書を出してきて作文。
    後は牧師さんにサインと日付を入れて頂くだけ、の書類を作り何とか無事認定はされたが。 
    しかし職安の心ない職員のおかげで通常の仕事の何倍ものエネルギーを消耗してしまいました。

    (この時ウエディングのスペルはdが2つ続くのに1つしか書いておらずオペレーターにえらい笑われました。)
   

成田離婚ならぬ関西離婚

     ハネムーンを申し込みに来られる女性は本当にきれいです。
    たぶんその人の人生の中でも最もキレイな時期なのかも知れません。
    しかし結婚年齢が少し遅くなると、女性の方がはるかに旅慣れてしまっているのです。
    男性がささいなことさえ決められない。いや決められないのではなくて、
    「わからない」
    と言った方がいいのかも知れません。
    そこで沈黙が続き女性が
    「どっちにすんのよー」
    なんて言ってせかします。 
            

     数多くのハネムーナーを見ていると不幸になりそうなパターンが見えてきます。
    その顕著な例が女性のパスポートは10年用。男性のパスポートは5年用のケース。
    女性は結婚しても年に一回ぐらいは海外旅行に行きたいと考えているのですが、男性はハネムーンが終われば
    もうパスポートを使うこともないと考えているのです。
     女性はあれも見たいこれも見たいと思っているのですが男性はただただめんどくさいと思っているのです。
    ただこれだけのことで成田離婚になるとは思いませんが。
      さらに悪いときは出発の10日程前に最終の行程表をお渡しするのですが、この時すでに申し込み時の

    「かがやき」

    が無くなってしまってる事がまれにあります。
    この人はあまり幸せではないのではと思ってしまいますが余計なお世話ですよね。

 

さあ!男性諸君。仕事も大変だ。でも女性に負けないよう、バンバン海外旅行に行きましょう。 

       それと私の前に座った人だけですのでデータは少ないのですが・・・
      頃女性が年上のパターンが増えています。
      1才や2才ではなくもっと女性が年上の場合。
      今のところ間違いなくその年下の男性は自分の主張をはっきりと持っています。
      そのたび、この男なかなか「やるなー」と思って見てしまいます。




様変わりした慰安旅行

      社内旅行といえばバスを使い1泊2日。
     観光地をまわって夜は大宴会。これが昔のパターン。
      今は分割され課単位とか部単位とか小さなグループで飛行機を使ったり、海外へ行ったり。
     ありきたりの観光と大宴会は若者に嫌われるので、テーマパークでフリータイムが増えました。
     年輩の方は「これでなんのための社内旅行か?」と嘆き
     若者はそれでも「会社の旅行は面白くない」と感じています。
     もうそれならやめてしまえば・・・と私は自分の仕事に反して言いたくなるときがあります。

      せっかく企業が旅行代金を負担しているのに(節税のためでもありますが)、社員から
     「ひとつも面白くない」と言われる旅行は考え直してもいいのでは?
     

    
      反面、昔ながらの社内旅行をずっと守り続けている業界もあります。
     まず土日しか休めない金融関係。
     銀行であれ証券会社であれ昔から大宴会を非常に大切にします。
      ある大手証券会社の(まだ存続しています)D証券のある支店の旅行の話。
     総勢140名。仕事はおいしかったがなんか変。
     一見ホステスかと見間違えるようなケバイ契約社員のお嬢さんも、一生懸命上司の機嫌をとっている。
     逆にこっちの方が不健全ではないのか?と思ってしまいました。
      酔っぱらった新入社員が舞台でバク転をして着地に失敗。(元トランポリンの選手らしい)
     アキレス腱を切ってしまい、初めて救急車に添乗させていただきました。 



      見積もりを出して旅行は獲得できなかったが気持ちのいい仕事が出来たという例。
     学生にアパートを斡旋する会社の社長。バブルの後にもかかわらず、予算達成ならハワイ、未達ならグアム
     これは堅実な経営をしている証拠。
     とても細かい見積もり依頼でしたので、普通なら嫌になるのですが、
     この社長とても社員思いで、話し上手。
     十分に社員の意見をまとめ、値段の交渉のみ本人がするという形。
      結局他社にとられはしたがなんかいい仕事が出来た、という実感がもてたのも、この社長の人徳でしょう。
     

スキーシーズンの憂鬱

      スキーツアーのパンフレットが店頭に並ぶ頃になると頭が痛くなります。
     スキー会社のパンフレットは料金が見にくく、下に小さく出発日UPとか宿泊日UPとか書いてあり、
     旅行業者の社員でさえもはっきり言って解っていません。
     またスキー業界はギリギリのツアー代金でツアーを作っているため、オーバーブッキングや、
     間際のお宿の変更なんか日常茶飯事です。
     スキー専門の業者は会社自体がいい加減なところが多い。(ちゃんとした会社も中にはあります)
     Tという会社社名をもじられて「トラブル・ハウス」と呼ばれているぐらい。
     スキー会社がいい加減ならスキーはお客もいい加減。
     電話で予約だけして、それっきりという人もいます。
     (若い人が多いのでしょうがないのでしょうか?)
     未成年者の場合、親権者の同意がないと旅行の契約自体が成立しません。
     が近頃の若者は外見だけではいったい何才なのかわかりませんし、まして電話なら全くわかりません。
      春が来てスキーツアーのパンフレットが店頭からなくなるとホッとするのは私だけでしょうか?



役に立たない業界用語集

      旅行業界には訳の分からない業界用語がたくさんあります。
      笑ってしまうのは新入社員にまず業界用語を教える会社もあることです。他にもっと教えることがある
      やろう?(何を隠そう私の会社です)
      無駄な時間を省くために言葉を縮めて書きます。
       例えば    ハコヨロ(発券よろしくお願いします。の意)
               ホコ(報告)
               レラ(連絡)
               カト(回答)  
               モコ(申し込み)
      などなど何でも縮めます。お願いするとき「ヨロ」だけで済ませられるのは何とも便利。
      他の業界では許されるものではないですよね。

       それと訳が分からないのがJRの席の呼び方。
      普通席が「ハザ」、グリーン席が「ロザ」、B寝台が「ハネ」、A寝台が「ロネ」 ハザ・ロザのザは
      座席のザと想像できますし、ハネ・ロネののネは寝台と想像できます。
      でも一体ハとロはどこからきているのでしょうか?
      ご存じの方おられましたら教えて下さい。
      とホームページに載せたところほぼ納得のいく回答を得ることができました。
      メールをくれた方は<もとトラベルビジネスマン>さんで昔は「イ」が特等車、「ロ」が一等車、
      「ハ」が二等車だったそうです。日本も民主化が進み特等車に乗る特権階級がなくなり、
      「ロ」と「ハ」が残ったそうです。そうです元々はイロハの世界だったそうです。
      この回答は理論的で納得できますよね。ありがとうございました。

       アルファベットの入った予約番号や国際線利用のお客様のスペルを正確に相手に伝えるため
      スペルアウトを使います。
      これなんかもしかしたら普通の人も使えるかも?
       A(エイブル)  B(ベーカー)  C(チャーリー)  D(ドッグ)  E(イージー)  F(フォックス)
       G(ジョージ)  H(ハウ)  I(アイテム)  J(ジャック)  K(キング)  L(ラブ)  M(マイク)
       N(ナンシー)  O(オーバー)  P(ピーター)  Q(クイーン)  R(ロジャー)  S(シュガー)
       T(タイガー)  U(アンクル)  V(ビクトリー)  W(ウイリー)  X(エックスレイ)  Y(ヨーク)
       Z(ゼブラ)
      これらを使うのが一般的ですが人によって違う単語を使う人もいるので、
      必ずこの単語でないとダメというものでもありません。
      Wをウイスキーと言う人は多いですね。私などジョージとジャックの区別がつかず最初は
      苦労しました。
      時々カウンターの女なんかで英語が話せる訳じゃないのにこれだけを得意げに言ってるのが、
      います。
      「こいつアホか」
      と思われるのが関の山。
      本当に伝えたいとき以外は使わない方がいいかも?
   

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