愛情を込めてHISへ

       先日私はある旅行業者へのクレームのメールをいただきました。送っていただいた方は
      ある旅行業者で納得のいかない対応にあい、そしてインターネットで私のこの「ゴネ得」を
      見てとても気に病まれたそうです。私のこの「ゴネ得」のページはご存じの方はご存じかと
      思いますが、あくまで私の社会人になって以来最も大きなトラブルに巻き込まれた、腹いせ
      に作られたものです。いつもこんな気持で旅行業者の人間がこんな風に思っているとは、
      思われたくはないものです。
       クレームのメールの内容はなるほどこれならお客様が怒るのも当然といった内容でした。
      対応が悪すぎるのです。それ以降のメールでも「のりだけで売っている」とか「まるで居酒屋
      のよう」とか「予約を入れさせるため嘘をいう」などの話を聞きました。この会社はHISです。

       私は利用者の立場に立つと「HIS」や「スカイマークエアライン」の活躍が絶対に必要だと
      思います。もっと頑張って下さいよ。といいたいです。

       大手の数社が談合する中、HISのような新興勢力が風穴を開ける時代が来ると信じてい
      ます。
      もうそろそろ「へい いらっしゃい」はヤメにしましょうよ!!
 

アタマとシッポは猫にやれ

       株式投資者の間の格言で「アタマとシッポは猫にやれ」というのがあるのをご存じですか?
      骨までしゃぶろうとする欲張りを戒める格言なのですが。
      旅行でたとえるなら、アメリカの空港なんかで
      「明日のフライトに変えてくれる方に200ドルのクーポンとホテルをご準備いたします」
      なんて言ってボランティアを募るときです。
      やっぱりいますよね。
      「500ドル欲しい」や「明日はCクラスにして欲しい」
      というヤカラが。
      まあ大方、他の人が手を挙げて200ドルどころか結局その便で帰国、何のハプニングも
      手に入れることが出来なかったという、欲張りのことです。
      「ヤカラ」という呼び名は大阪のごく一部でしか通じない言葉ですが(地方の方言です)
      まさにそんな文句は付けた者勝ちという人達のことをこう呼ぶそうです。

       この場合もっと良い待遇を期待しすぎて何もなし。
      バカみたいですよね。そうです。人生何でも自分の主張をしてその場限りの勝利を収めても
      どうなのでしょう。長い目で人生を考えるとそんな「人の弱みにつけ込む」人はそれ以降の
      事を考えても結局は損をするのではないでしょうか?

       そうなのです。クレームをつけたり、自己主張するときもやっぱり
      「アタマとシッポは猫にやれ」
      ぐらいで十分ではないでしょうか?
      このページはそんなアタマやシッポまでしゃぶらないと気が済まなかった、人達の事を書いた
      ページです。
      私達のようなサービス業のつらいところは、何の理由もなくしばしば見下されてしまうことです。
      まあそのうち時代も大きく変わることと確信しておりますが。

ゴネ得にだけはしたくない!!

       皆様は旅行代理店のカウンターや電話での対応で
      「この人やけに慎重だな」
      と思われたことはありませんか?小さなミスでも命取りになりかねないのでナーバスになって
      いるのでしょうね。
      説明不足でも困るし、ちゃんとどこかに逃げは打っておかないといけないし。
      しかし言葉の端々に逃げの口上が入ると会話のリズムが止まってしまうし、お客様も白けて
      しまいますよね。

      しかし私達の仕事の小さなミスをついて、ゴネ得にしようとする本当に信じられない人格の
      お客様に半年に一度ぐらいの割合で出会います。
      旅行代理店は大きなものから小さなものまでミスをすることがあります。
      フランスでのワールドカップ時のような会社ぐるみの大きなものから、ほんの小さなミス
      まで。

       もうだいぶ前の話ですがYahooの掲示板に
      「旅行代理店でこんなひどいめにあった」と旅行代理店の手配ミスをなじるメッセージ
      がのったとたん、(確か韓国への旅行でした)
      「こう言えば**してくれる」や
      「こういう風に振る舞うべきだ」
      など様々な助言が多数載りました。こんな入れ知恵で代理店の方も困っただろう、と思いました。

       確かに旅行代理店はブローカー然としたところがあり、何かひっかけようとしているように思われ
      がちです。
      実際ツアーのパンフレットなんか旅行代金がわかりにくい作りだし、今は落ち目のエイビーロード誌
      に誰でも「激安」とわかる広告を出し、お金を集め計画倒産するような会社も過去にはありました。
      消費者がもっと厳しい眼で代理店をチェックする必要もあると思います。

       信じられない人格のお客様の言いなりになって、そのマイナス分を話の分かるいいお客様で埋める
      事だけはしたくないものです。

       人をほめるときの言葉で「あの人が怒っているのを見たことがない」というのがありますが、
      私は地で「あいつが文句を言っているのを聞いたことがない人はいない」と言われるほど出来るだけ
      思ったことを発言しようと心がけている私です。
       ここでは私の出会った信じられない人の話をしましょう。
      そのようなあつかましい人は自覚症状がないでしょうから出来るだけ具体的に書いていこうと
      思っています。

       まずおひとりめ、旅行業者のミスとして一番多いパターンなのですが、
      空室を紹介します−空いています−お客様のお名前をお伺いします−予約を取ろうとします
      既に「満室」になっていました。
      この一連の作業をお客様の目の前でおこなっているときはまずもめません。なぜなら全国に
      同じ端末機があって他の営業所で予約が入ったから「満室」になったことを理解できるからです。
      (あとでやろう−忙しくて忘れていた−気が付いたら満室、なら怒って当たり前と思うのですが。)
      なのにこの一人息子を連れた30代の夫婦。いつもホテルが不足気味の倉敷のあるホテルを
      希望されてました。
      もう大人としての常識があってもいいはずの奥さんが
      「私達の予約を横取りした人から予約を取り返して」
      と言い出すではありませんか。こんな不条理なこと出来るはずないじゃないですか。
      そんなことシステム的にも絶対に無理な話なのですが、自分が会った嫌なめに他人があうことは
      この人にとって何の問題でもないのです。このような母親に育てられた息子さんはいったいどんな
      大人になるのでしょうか?
      あげくに果てには
      「誠意があるのならランクが上のホテルをとって」
      と言い出すではありませんか。なぜに旅行契約が成立もしていないのに、責任を負えと強要する
      のでしょうか?
      たぶんこの奥さん何か必要な栄養素が慢性的に欠けているのでしょう。
      奥さんが奥さんなら夫も夫。
      「君の態度はサービス業に必要な常識が欠けている」
      といいだし、私達の仕事を差別するような事を言い出し、ついにこの私がキレてしまいました。
      この方いったいどういうお仕事をされているのか分からないですが、何をいいだすのかと言い合い
      になってしまいました。
      同僚に止められ我に返りましたが。
      でも結局ゴネた者勝ちになってしまうことに腹が立つのです。


       2人目のお話です。
      若い未婚のカップルでした。男性が主に質問するのですがやけに細かいのです。
      この細かい質問をするという行為ほどその人の人徳を計れるバロメーターはないでしょう。
      たとえ同じ質問をされても全く腹の立たない人もいれば、妙にイライラを感じてしまう人もいます。
      やっぱり神様はやや不公平ですよね。(人徳という抽象的な言葉はあまりスキではないのですが)
      この男性はどちらかと言えば腹の立たないタイプの人だったと思います。
      500円〜600円安くするために何度も携帯電話から電話してくるので「ちょっと変わった人だな」
      ぐらいに思っていました。
      言いがかりの原因も本当に小さな事で、九州のハウステンボスの園外ホテルにホテル日航ハウス
      テンボスという、ホテルがあるのですが、そこのホテルの部屋タイプのささいなことなのです。
      相手が逆上し出すので私もキレる寸前で店長に(この時も正式な旅行契約の成立前でしたので)
      お断りしてもいいですか?とたずねとうとしたのですが、あまりにもささいなことなので、思いとど
      まりました。
      ホテル側もそれぐらいなら対応しますよと快く引き受けてくれましたので。
      たとえわずかなことでもまたもやゴネ得を許してしまいました。
       一緒にいた女性はいったいどう思っているのでしょうか?
      まさかゴネる男を見て「頼もしい」とは思わないでしょう。(こんな細かいことで!)
      「またいつものが始まった、何を言っても同じだからほっておこう」
      ぐらいに思っていたのでしょうか?
      この機会にわずか数百円〜千いくらかを得したのかもしれませんが、この人の人生この細かさが
      理由で大きな損をしているのだろうな、としか思えませんでした。      
          

        ここらでひと休みです。
       お客様のことをさんざん言いましたが旅行業者側もとんでもないことをしてしまうことがあります。
       「文句を言うお客さんの気持ちも分かる」
       ケースも多々あるのです。
       そういうときははっきりと自分に落ち度がないことを主張してかまわないと思います。
       だいたい旅行代理店のいいなりになってろくな事にならないとおもいませんか?
       私達はしばしば「コミットOK」を出します。
       これはせっかくのお客様を逃さないために「とれるだろう」という見込みでOKを出してしまう事です。
       そして当日が近づいて取れてこないときは本当に冷や汗ものです。
       特に主催旅行の場合で代案が立てられない場合とんでもないことになってしまいます。
       こんな事が原因で蒸発してしまう社員だっているのですよ。
       なんか本当に哀れなお話でしょう?

        この話は涙なしでは語れない本当にあったお話です。
       そして最初に断っておきますが旅行代理店のスタッフの方に100%の過失があります。
       しかしそこまでするか?というお話です。
       旅行のパンフレットに小さくローマ字や数字でコースナンバーが書かれていますよね。
       この人はかわいそうにお客様の言ったコースのとなりのコースの予約を取ってしまいました。
       そして運の悪いことにそのことに気付いたのは旅行出発日の前日。(これが一番悪いことですが)
       偶然にもそのコースはお客様の希望コースのほぼ逆回りのコースでした。
       ですのでだいたい同じところを見て回ることが出来たのですが、お客様達は黙っていません。
       これもまた運の悪いことにお客様は中年のおばさま8名様でした。毎日店に来て大騒ぎ。
        結局、来年無料で同じコースに行っていただくことになりました。
       旅行代金は当然このスタッフ持ちです。
       こんなケースはもし第三者に調停に入っていただけばここまでシビアな結末にならなかったはず
       なのですが・・いったいどうやってお金を工面したのか・・・


それでもこの仕事を続けるわけは

        まったく割に合わない仕事です。
       給料も多くはありません。休みも会社の規則では月9回となっていますが、まともに取れません。
       1日の働いている時間も長いです。時として訳の分からないお客様に文句を言われ、まったく
       ろくな事がありません。
        自信を持ってオススメした名旅館がチョンボすることだってありますし、アテにしていないホテルに
       宿泊したお客様からお礼を言われることもあります。アテにならないものをベースにしたあてになら
       ない仕事です。
       こんなひどい仕事を私達旅行業者で働く人間はなぜ続けているのでしょうか?
       それはなんと言いましても、お客様から元気をいただいているからだと思います。
       「旅行良かったわ、ありがとう」と言われたり、お礼状を戴いたときなんか一気に嫌な気分も
       吹っ飛びます。
       意外と若い人のマナーがいいのには驚かされます。
       若い人は初めてあったとき
       「口のききかたも知らないヤツ」
       と思うこともしばしばなのですが、旅行を終えた頃には
       「礼儀正しい青年」
       になってるから不思議です。
       彼らが友人や家族の旅行や自身のハネムーンなど頼んでくれたときには、本当にどれだけ嬉しい
       ことか。まさに仕事冥利に尽きる、と実感できるのです。
       こんなステキな仕事他にありますか? 

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