2.千葉県に自閉症の人は何人いるのか?

1)自閉症の有病率は,最近10年間の厳密な疫学調査によって正確な値がわかるようになりました。最近では1万人に20人くらいという発生率が世界で広く支持されています。 

日本では,横浜市が,横浜市の北部の三つの保健所が管轄する地区で1988年生まれのコホート(追跡集団:9240人)を5年間フォローした自閉症に関する疫学調査が有名です。最終的な診断基準はWHOのICD-10 DCRを使用しています。これによると,1994年12月1日の罹患率は1万人あたり21.1人です。しかも,診断された自閉症児のうち,IQが85以上の高機能児が約45%,100以上が2人いたと報告されています。

2)自閉症スペクトラムの周辺領域であるアスペルガー症候群やレット症候群などを入れた場合は,有病率は1万人に100人。つまり100人に1人の割合で自閉症や自閉症的な症状をもっている人が存在していることが知られています。

3)このことから,上記1)の自閉症の有病率(1万人に20人の割合)を用いて,千葉県における自閉症児・者数を試算すると,県民数は595万人なので

★ 自閉症児者数 595万人*20/10000 = 11900人
   うち,高機能自閉症児者数は約半数の6千人程度見込まれます。
    (アスペルガー症候群はこの数字に含まれていません。)


 平成6年の千葉県における身体障害者数は96,497人,知的障害者数は15,955人です。試算した推計値はこれらの障害に匹敵する人数を示しています。まずは,自閉症はレアケースのマイナーな障害ではなく,一般に広く存在している障害として認識する必要があります。

      

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