3.1 自閉症は対応が難しく大変困難な障害です 自閉症の人は,治療も教育も圧倒的に困難な障害を抱えていることから,家族にとって,彼らと接し,育てていくことは,通常では考えられないほど大きな困難が伴うことになります。また,対応方法を誤ると,「行動障害」や「不適応行動」といった問題行動から「強度行動障害」まで発展してしまうことが多いのも,他の障害では見られない困難性です。 表1は,日本自閉症協会千葉県支部が1999年に実施した保護者アンケートの結果です。
次いで,子どもたちの年齢ごとに,保護者が困っている子どもの行動を比較してみると,学齢期までは,子どもの年齢によって,困っている内容や,その困っている程度が大きく異なります。学齢期は,いわゆる問題行動が最も顕著な時期といえます。例えば,就学前は「身辺自立」など生活する上で最も基本的なことや,「問題行動」,「多動」で困っている人が多く,小学校以上では「自傷」等の2,3次障害や,「一人で留守番ができない」,「何もすることがない」,「思春期」といった就学前にはまだ顕在化していなかった新たな問題に次々と遭遇していることが知られました。
高校以上では,回答に相変わらずのバラツキが見られますが,学齢期以下で顕著に見られた年齢の違いに由来した傾向が見られなくなります。
一般就労や自立状況から見ても,自閉症の予後は他の障害である知的障害や,精神障害と比較して,格段に悪いという現実があります。次は自閉症の困難性を表す実態です。 1) 自閉症の人の一般就労は1988年の時点ではわずか6%でした(現在は22%)。 |