人造人間キカイダー BOX
ドラマ重視で観て欲しい
昭和47年当時、無敵の人気を誇るTBS『8時だヨ!全員集合』の前に各テレビ局は為す術がなかった。土曜の夜という折角のゴールデンタイムに、各テレビ局は指をくわえて見ているしかなかったのだ。何をやっても勝ち目のないこの枠に果敢にも挑戦状を叩き付けたのが、NET(日本教育テレビ・現テレビ朝日)とMBS(毎日放送)ならびに東映が企画した、俗に言う『土曜の夜のチビッ子アワー』である。夜7時30分に放送していた人気番組『仮面ライダー』に続けて夜8時に『人造人間キカイダ−』そして夜8時30分に『デビルマン』を配し、テレビ史に残る一挙ヒーロー3本立てというウルトラCで挑んだのだ。この前代未聞の試みも残念ながら『全員集合』の前に敢え無く玉砕してしまうのだが、夜8時という放送時間帯、それに伴う対象視聴者層の拡大、そして何をやっても『全員集合』にかなわないという開き直りが功を奏して、大人の鑑賞にも耐え得る、『お子さま番組』とは一線を画した高水準のドラマが生まれることとなった。 ただしその他の部分は『お子さま番組』の王道である。特にダーク破壊部隊の造型や「デンジ・エンド」でとどめを刺された際に無造作にカメラ前に放り投げられる残骸など『全員集合』にも勝るコントぶり。大いに不満が残るが、これもまたいい意味での『開き直り』として、あくまでもドラマ重視で観て欲しい作品である。それだけでも価値あるBOXだ。 |