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上遠野浩平 最新刊・アニメDVD/ビデオ
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ザ・コミットメンツ

アラン・パーカー作品で一番好きです

この映画の公開当初、自分自身バンド経験者なので、その視点から非常に共感して観たのを憶えている。おそらくこの映画を勧める人はみな似たような経験をもっているのではないだろうか。しかし、今回あらためてこのDVDを観ると、バンドや音楽をぬきに、この映画は非常にすぐれた群集劇であることが分かった。
 監督のアラン・パーカーが「社会派」と呼ばれるその手腕を存分に発揮している。これも公開当初は気づかなかったが、ヨーロッパの慢性的な失業、とりわけ若年者のそれが背景に描かれている。なかでもアイルランド人は、映画のセリフの通り「欧州の黒人」と言われるほどの惨状におかれているのだ。コミットメンツの連中はしかし、かれらのおかれたそんな境遇に対して「ナニクソ!」と意地を見せる。その姿、心意気がまさに「ソウル」だ。
 また、一見して分かるようにこれは青春映画でもある。バンドのメンバーはクラスメートの延長そのままである。男どうし高校生のような「ワイ談」をしているのも楽しい。例外は「唇のジョーイ」である。最初観たときの印象ではただ口のうまいヤツとしか映らなかったが、彼一人がオトナ(?)なのである。メンバーの女の子たちがみな彼に惹かれるのも無理はない。ジョーイをはじめ、観ていると登場人物みんなを好きになってしまう(「デコ」のキャラクターはウィルソン・ピケットをモデルにしているのだろう)。バンドは結局空中分解するが、メンバーたちはそれぞれの道を歩み出す。ホロ苦い結末も見事なビルトゥングス・ロマンである。
 個人的には、アラン・パーカー作品のなかでベストの出来だと思う。


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