Turbolinux10 DesktopでTcl/Tk
Turbolinux10 Desktop(以下TL10D)は、Windowsとの親和性の追求で使い勝手を向上させた
貴重なLinuxディストリビューションである。
製品としてのTL10Dのラインアップは廉価な「Basic」と、StarSuite 7、ATOK X、パーティション操作ツールといった商用ツールをバンドルした「正規版」の2パッケージとなる。
今回試したのは、「Basic」の方である。「Basic」のサポートはユーザー登録後30日間3インシデントと少ないが、
低価格でMS系フォントに準拠したリコー製フォント5書体を備えるなど、十分満足のいく内容となっている。
カーネルは最新の2.6を採用している。(2003.12.30からTurbo Updateで2.6.0-test5_2から2.6.0-1にアップデート可能)
今のところ、安定性に不安はない。
何といっても、MS系フォントに準拠したリコー製フォント5書体の効果でWindowsと見た目がそっくりだ。
初めて、Windowsをリプレースしても良いと思えるLinuxディストリビューションの登場である。
Tcl/Tkの動作確認
TL10Dには、ちょっと古いTcl/Tk8.3.5がインストールされていた。(最新版はTcl/Tk8.4.5だ)
とりあえず、ActiveTcl 8.4.5.0もインストールした。正常に動作している。
まずは、自作のTkEngine V1.2で性能測定をした。
WindowsXPとの性能比較だが、VersaProですごい性能差が出た。
これがカーネル2.6の効果なのか? 最新のKDEの効果なのかわからない。
環境 | TkEngine値 |
NEC ValueStar Pentium3 800MHz | Turbolinux 10 | 61 |
Windows XP | 31 |
NEC VersaPro Pentium M 1GHz | Turbolinux 10 | 167 |
Windows XP | 61 |
最後に、日本語入力のテストをした。デフォルトではIIimが起動されておりXIMが使えないようだ。
Tcl/Tkで日本語入力をするには、IIimを停止し、kinput2+Cannaの設定をする必要がある。
- 設定→コントロールセンター→Turbolinuxツール→サービス設定でIIimを停止する。
(再起動時も起動しないようにしておきましょう。)
- '/usr/X11R6/lib/X11/app-defaults/Kinput2'の最後に以下の3行を付け加えます。
*SeparateConversion.input: false
*selectionShell.input: false
*auxShell.input: false
|
- Cannaサーバを再起動(rootで、'/etc/init.d/canna restart')、Xを再起動(ログアウト)する。
MS-IME風のキーバインドにするには、wx2.cannaファイルを自分のホームにコピーします。
% cp /var/lib/canna/sample/wx2.canna ~/.canna
|
半角/全角/漢字キーでIMEのOn/Offをするには、
~/.Xmodmapに以下の記述を入れます。
これで一旦ログアウトしてログインすれば日本語入力ができます。
FAQ
- Q: システムトレイに音量ボニュームを表示するには?
- A: KMixの設定で"システムトレイでボリュームコントロールを有効にする"にチェックを入れる。
- Q: ホイールマウスの動作が上下逆になる?
- A: /etc/X11/XF86Configの中のOption "ZAxisMapping" "4 5"の行の"4 5"を"5 4"とすると逆に変更できます。逆もありです。
- Q: VersaProでCD bootすると、Error Reading boot CD. エラーになりインストールできない。
- A: 2枚目のCDでbootし、kernelのロードが完了したあたりで、すかさず1枚目のCDに交換することにより、インストールできます。
- Q: 無線LANカードの設定をするには?
- A: /usr/sbin/turbonetcfgでESSIDとWEPの設定を行います。設定の確認は/sbin/iwconfigでできます。
結論
この1週間、TL10Dを使ってみて、Windowsとの親和性が向上し、非常に使いやすいと感じた。
特にTurbo Updateは、Widnows Updateの感覚でカーネルのUpdateまでできるのは特筆すべき点です。
誠に勝手ながら、2003年のLinuxディストリビューション of the yearはTurbolinux 10 Desktopと決定します。(^^;
参考文献