5.26 横須賀行動報告 〜または宴の始末〜

2002年5月26日
午後3時。
横須賀ヴェルニー公園憩いの広場。

すでに300人ほどが公園に集まっている。
思ったよりもマスコミ関係の取材陣が少ない。
あれだけ問い合わせがあったのに、早くも、飽きられたのかな……。ちょっと不安がよぎる。

それにしても拍子抜けするくらい、いい天気だ。
イベントは快晴、記者会見は嵐。
なぜかそんな天候との巡り合わせの1年だった……。

去年の3月末に、ふとしたことから一匹狼のノンフィクション作家や、ジャーナリストが集まってできたこの集団。

記者会見、共同声明、公開討論会、日比谷野音トークショー。そして全国各地で開いた勉強会……。

2回の継続審議、盛り上がらない運動にしょんぼりしながらも、今年1月の沖縄集会で沖縄の人々から元気をもらい、3回目の審議入りに向けて決意を新たにした2月、突然、大きく状況が変わった。

三大新聞・各テレビ局がこぞって大きくこの問題を取り上げ始めたのだ。

連日のようにマスコミに取材を受ける共同アピールの会。

そして、

4・08 ホームページ立ち上げ。
4・13 銀座パフォーマンスデモ。
4・29 高崎パフォーマンスデモ。
5・17 対抗法案発表。


活動はことごとく注目を浴びる一方、この3ヶ月の活動でみんなヘトヘトになっているのもわかる。

難しいことを、やさしく、面白く、そして深く。ヒステリックにならずに、どこまでユーモアを持ちながら楽しく出来るか。それがこの集まりの基本だった。




でも、もう限界……。


たぶん今日が天王山。


誰もが口に出さなくても思っていた。



―今日がフィナーレだ。








問題は小泉純一郎事務所への抗議行動を決行するかどうかだ。

いや、事務所前にて抗議文を読み上げること自体は決まっているのだが、なにせ一国の総理大臣の地元の事務所である。前日まで情報が錯綜していて、無人でも事務所前は公安、機動隊がガードしているという情報も流れていた。興奮したメンバーが訪れれば、ひょんなことからトラブルが起きることさえ予想される。

最悪の事態を考えねば。
梓澤弁護士に事務所抗議行動へ同行をお願いする。

集会が始まった。



司会はユーモラスな節回しが絶妙な味を醸し出す橋本克彦。
アピールの会・吉田司と非核市民宣言運動・ヨコスカの広沢さんが集会の挨拶。本日の趣旨を述べる。

3時40分。
ここで、小泉事務所抗議隊が公園を出発。



小泉事務所抗議隊の隊長は平野@ロフト。迷彩の戦闘服だが、よく見ればナウシカのコスプレ姿。抗議隊メンバーも、花をあしらった迷彩服を着ているのだが、どう見ても近づきたくない異様な集団だ。

隊長を先頭にみんなに見送られながら、タクシーに乗るべく歩道橋を渡る。

ところが、振り向くと、当初10人くらいの予定だったのが、私も行く行く! となんと40人くらいに膨れ上がってしまっているではないか。

事務局「あちゃー、これじゃあ、タクシーは無理すっよ!」
隊長「うーん、しょうがない、こうなったらバスだ! バスをジャックするぞ!」
事務局「みなさーん、小銭を用意してくださーい」
隊長「ところでさあ、小泉事務所ってどこにあんだい?




「小泉事務所って
どこにあんだい?」






・・・隊長・・・
無計画すぎ。



まあ、住所は調べてあったけど、タクシーにのればわかると思ってたので、市役所の近所のはずと地図を引っぱり出す。

ここで見かねたか、同行取材の某新聞社横須賀支局長が登場。
支局長「行く事務所は三春町のですか? 小川町のですか?」
事務局「小川町です」
支局長「じゃあ、こっちのバスに乗ってください。降りる場所は私が指示します」

いやあ、助かった! 行きあたりばったりで、すっとこどっこいメンバー揃いのこの会が、なんとかうまくやっているのも、ほんと周りの人に助けられているからなんだと、改めて実感。

迷彩服姿の怪しい集団にジャックされたバスは乗客を怯えさせながら、一路事務所方面へと向かった。

事務局「はーい、みなさん、ここで降りますよ〜!」
支局長「こっちでーす」
事務局「機動隊とトラブル起こさないように落ち着いて行動してくださいねー。それから、くれぐれも一般の人の通行の邪魔にならないように」
支局長「この角を曲がれば、小泉事務所です」



緊張が高まる。

機動隊とのもみ合い。

流血騒ぎ。

いよいよ決戦だ。

……そしてぼくらは角を曲がった。






一方、そのころ公園では……

エビスさんにもわかる「個人情報保護法の問題点」講座が開かれていた。
橋本と特別ゲスト蛭子さんのユーモラスなやりとりが聴衆を沸かす。
そして、よろずピースバンド演奏、サムルノリ実演……と出し物が続く。



さて、そのころ角を曲がった抗議部隊はというと……





隊長「機動隊は? 機動隊はどこよ?」


隊長「公安は? 公安警察はどこよ?」





小泉事務所、警備は
おまわりさん
2人のみ。

(しかも交通課だし!)




集会場で、あれ? いないなあと思っていたテレビの取材陣は、こっちで待機していた。たぶん、パフォーマンスデモの絵より、こっちの絵のほうが新鮮に写ると感じたのだろう。

でも、40人の花で飾された迷彩服集団(しかも2人はアフロのカツラかぶってる)は取材陣にも不気味なようで、「こんな画像、テレビでお茶の間に流していいのか??」と逡巡しているのがハッキリとわかる。






無人の事務所に向かって(というより取り巻く取材陣に向かって)抗議文を読み上げ、郵便受けに投函。意気揚々と平野隊長を先頭に引き上げた。

「おっしゃー、完全勝利じゃあ〜!」
興奮気味にズンズンズンズンと胸を張って歩く隊長。その後をずらずらとついていく迷彩軍団40人。

事務局「小泉事務所に抗議ってよくあるんですか?」
支局長「いやあ、こないだまで支持率があれでしたからね。とても出来ない雰囲気でしたよ。たぶん、これが初めてじゃないですか」
事務局「そうですか、グッドなタイミングかあ」
支局長「ところでみなさん、これからどこに向かうんですか?」
事務局「さっきの公園ですが?」




支局長「あのう、さっきから
全然逆方向
歩いていますけど……」



まったく、どこまでも
C調集団で
申し訳ありません!



4時30分。
無事、本体に合流した抗議隊とともにパフォーマンスデモ出発。
先頭は日韓共催W杯記念! 6人編成のサムルノリ隊「ナグネ」。
やっぱ鳴り物があると賑やかで、元気が出て楽しい。



 

 



 


今回は作家チームが小泉首相+ヒトラー総統のアイコラパネルを掲げ、一般参加者は、お馴染みの自由人パネルと、インターネット規制であることもアピールするパネルを持って行進。続いてナース隊、戦車男……といった有事法制反対のパフォーマンスと、奇妙な仮装集団のお祭デモは歩くのであった。



 




今日は横須賀のお祭りだったので、屋台が建ち並ぶ横須賀中央駅付近では、大勢の人から注目を浴びる。やっぱり観衆は多い方が歩きがいがある。蛭子さんは老若男女から声援を送られ、握手を求められ、サイン責めと大忙し。

「うわー、どうしよー!、ナマで蛭子見ちゃったよー」
「信じられないって感じー!」

おいおい、さん付けくらいしろよー、でも、どうだい一緒に歩こうよ、と誘うと、市民もお祭り気分で高揚しているせいか、飛び入りで参加する人が多いのにはこっちもびっくり。




こうして、5時30分。横須賀デモ無事終了。



あー、面白かった!


みなさん、お疲れさまでした。


そして、ご声援、ご協力、ありがとうございました。


















蛭子「あのう、私、これで帰りますけど、マジでノーギャラなの?」


特別付録 5/26呼びかけビラ 要AcrobatReader

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5/26当日配布ビラ(表)
5/26当日配布ビラ(裏)