日記

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本(ミステリー中心)の感想とライブ(ジャズ&ロック)の感想が多いです。熱帯魚の飼育日記も兼ねてます。ミステリーの場合にはネタばれもあるので,ご注意下さい。(スタイルシート可の設定のもとでは,ネタばれ部分の文字は見えないようになっています。マウスで選択し反転させると読めます。)

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2005年7月

もう下半期突入じゃないですか。まったく,どうしてくれるんですか?

7月10日(日)

笠井潔『サマー・アポカリプス』を読み始めました。ちょうど先日ロンドンでテロもあったことだし,内容的にタイムリー。でも,やっぱり難しい。

雨もやんだことだし,ということで,新宿・中野へ。まずは新宿でスパゲティを食べる。

ディスク・ユニオンのプログレ館にて,UNIVERS ZERO(フランスのチェンバー・ロック)『IMPLOSION』,unbeltipo(今堀恒雄)『Joujoushka』,Machine And The Synergetic Nutsの1st. Albumの3枚を購入。

中野タコシェ(「サブカル文化の発信源」の異名を持つ小さい店)にて,口琴(ハンガリーのゾルタン・シラギ作のドロンプ)2個を購入。こんな近くで,しかも何回も行ったことのある店に口琴を売っていたなんて。確かに,以前見たような気もするけれど。で,今回購入したのは,複雑に絡み合う倍音(←?)が魅力らしいJoker(3700円)と,すらりとしたデザインと扱いやすさが魅力らしいFirst Lady(4000円)です。

Jokerは歯に当てる部分の角度が他の口琴より急なため,どうかなと思ったのですが,けっこう扱いやすくよく音も出ます。なかなかのお気に入り。 First Ladyは後ろに突き出た弁をどう扱っていいのかよく分かりません。とりあえず,そこに親指を当ててみたり離してみたりしてますが,持ち方による音の違いは特になさそうです。まだ少し口になじまないというか,ガチガチと音がするのは,大きいぶんだけ振動が大きいせいでしょうか。長く演っていたらけっこう脳に来ました。


上からJoker,First Lady

ちなみにハンガリーでは,日本や中国と同じように“姓”→“名”の順で名前を綴るので,“ゾルタン・シラギ”氏は“ゾルタン”が姓ですね。有名な作曲家の“バルトーク”も,本国では“バルトーク・ベラ”になるのですね。まあ,どうでもいい豆知識ですみません。

ついでに自主製作版CDの棚も見ていたら,ライオン・メリィドン・キホーテの従者』を発見したので,これも購入。とても変てこなコンセプト・アルバムだけど,妙にはまります。3曲であがた森魚,2曲で戸川純も参加。

7月9日(土)

一日中,少し強い雨。

黒崎緑しゃべくり探偵』を読みました。−−東淀川大学の守屋ゼミ有志一同、ロンドンへ。この外遊にまつわる四つの事件――旅費調達に斡旋された払いのよすぎるアルバイト、高価な洋書の紛失、お別れパーティの殺人、帰国後のドッペルゲンガー騒動――を、ボケ・ホームズこと保住君&ツッコミ・ワトソンこと和戸君の会話と書簡で綴る。連作形式の妙も愉しい、正調安楽椅子探偵譚。−− 全編,関西弁による会話と書簡(手紙・同封された日記・FAX)だけで地の文がなし,という珍作(怪作?)です。とにかくリズムがいいのが最大のポイント。基本的に和戸君が体験した怪しい事件を,保住君がボケながらもあっさり解決するというスタイルながら,4話それぞれパターンが違うのも面白いです。しかも,ちゃんと本格ミステリしてるし。時々和戸君まで先走って保住君のボケを先に言っちゃったりするので,どちらの発言だか一瞬迷うこともたまにはありますが,それもご愛敬というところでしょう。って,関西出身・関西在住の大学生がみんなこういう会話ばかりしてるわけじゃないよねえ,もちろん。満足度7/10点。

そういえば,西澤保彦の作品に「黒崎緑さんの『しゃべくり探偵』みたいなのを書きたかったけれど,まったく違った話ができてしまった」とかいうのがあったような。あれ,何だったっけ? 本作を読んだ後では,まったく想像つかないんだけれど...

雨,やみそうになし。小降りになったら買い物にでもと思ったが,断念しました。

引き続き,松尾由美ブラック・エンジェル』を読みました。−−カルト的な人気を誇るアメリカのロックバンド"テリブル・スタンダード"のファーストアルバム、その中ほどに収録されているインストゥルメンタルの「ブラック・エンジェル」が流れた時、いきなり黒い天使が現れて、マイナーロック研究会の仲間を殺してしまったのだ!−− 推理幻想青春 の変な物語ですが,なかなかの名作だと思います。ミステリーとしては「なぜ天使が彼女を殺したのか」ってとこがメインなんだろうけれど,しょせん相手はわけの分からない人外ですから,そんなことを考えてみてもしょうがない。ただ,どうやらその天使に出会ったらしい人間は他にもいて,何となくミッシングリングみたいなのが見えてきます。ある意味ではいわゆる「自分探し」の話でもあるんですが,結論はやはり寂しい。

などと思っていたら,最後の後日談はどうなんでしょうか(ネタばれあり) いや,ミステリー的にあの後日談で最後の解決をつけてしまおう というのもわかりますが(僕の勘違いでなければ)。それでも「あれがなきゃ,きれいに終わったのに」という気もしなくはないです。というか,本当の結論はあれでも出てないのでは。結局の所,主人公が本当にホモになりたかったのか形だけだったのかは,誰にもはっきりとは言えないのだから。まあ,本人(主人公)がそれで「幸福だ」と言うんだから,部外者(読者)が余計な詮索をする筋合いもないんでしょうけれど(笑)。そこら辺の折り合いがうまくついていればかなりの傑作だったとも思うのですが,それでも満足度は高いです。7/10点。

7月8日(金)

昨日今日と,天気はよいが暑すぎずで,何となく気分よく眠い一日。

毎日少しずつ口琴の練習。息抜きにもちょうどいいですね。何となく声帯の使い方もわかりかけてきた気がするので,もしかしたら今が一番楽しい時期かもしれません。口先にしっくりとくるマイクロをメインで使って練習していたら,大きいほうのチャンセラーでも,いつのまにかちゃんと音が出せるようになってました。今となっては,何であんなにうまくいかなかったのだろうと,かえって不思議な気持ちです。初心者向きというわりにけっこう難しいと,最初は不満もあったのですが,大きいぶんだけ音が長く力強く響くので,これはこれでよい感じです。

7月7日(木)

パネル作りに頑張りました。例の世界地図ソフトを有効利用できないか,考慮中。

森福都の連作短編集『十八面の骰子』を読了。帯に「中国版水戸黄門」と書かれていましたが,要するにそういう話です。−−中国・宋の時代。童顔、小柄の趙希舜は、全国を行脚しながら地方役人の不正を監察する「巡按御史」と呼ばれる秘密捜査官。従者に傳伯淵、護衛役に賣由育の二人を引き連れ、各地で起こる奇怪な事件を次々と解決していく。−− まずは話作りがうまいという印象。最初は身分は隠して調査しているのですが,事件の鍵?にどう出くわすか,いつ巡按御史の正体を明かすかが話の展開上でポイントに。このへんもやはり「水戸黄門」風ですが,パターンがいろいろあり,1話ごとに工夫がされています。さらに巡按御史の希舜は少年のように見えるので,従者の伯淵が“表面上”のその役を演じるというのが,話の展開をより多彩なものにしているのかな。満足度は7.5/10点。

7月6日(水)

いつの間にか,30cmラスボラ水槽の居住者が減って,寂しくなりましたね。新たに魚を増やしたいのですが,これから暑くなる(調子を崩しやすくなる)し,ちょっと悩みどころ。

昨日までに購入した口琴の中では,一番小さいマイクロが一番しっくりくるような気がします。最初からよく響く(と自分では思っている)音を出すことができました。振動が小さいからかもしれませんね。僕の場合,顎関節症もち(治療途中でほうりっぱ)なので,口琴の歯へのちょうどよい当て方が微妙でよくわからず,苦労しています。そういう意味では,歯に当てないで演奏するモン族の口琴もやりやすくていいですね。ついうっかり唇との位置がおろそかになると二股の先端が唇に刺さって出血するので要注意ですが。逆に大きいほうのチャンセラー(初心者向きとよく聞きますが)は,振動がよく響くのと位置が合わせづらいこともあり,僕にとっては扱いにくいです。特に最初は力の加減がわからず,つい力を入れすぎては歯で挟んでしまい“ガチガチ”と,力が弱すぎてはぶれてしまい“ガリガリ”と...。口先に慣れるまで,練習が必要なようです。

森福都『十八面の骰子』を読書中。そういえば黒崎緑『しゃべくり探偵』も第一話のまだ途中だったような(解決シーンの直前でストップ)。シリーズ物の短編集って,途中であちこち浮気?をして読んじゃう傾向がありませんか。途中までで止めたまま休みっぱなしのことが多々あり。僕だけ??

7月5日(火)

5回にわたって参加した口琴講座が修了してしまいました。せっかく慣れてきたのに,名残惜しい感じです。一ヶ月にわたり,どうもありがとうございました。

終了後,口琴やCDの販売がありました。毎日練習しているうちに楽しくなってきたので,ついつい口琴を3種類も買ってしまいました。

ハンガリーのドロンブ(Doromb)。はじく棒付きタイプ。大きいほうのチャンセラー(Chancellor)が2000円,小さいほうのマイクロ(Micro)は3500円。小さい方が高い音が出るみたい。
写真2:ベトナム・モン族の真鍮口琴(だったと思う)。棒なしタイプで本体の先をたたく。弁(振動部分)が二股になっている。ちょっと変わった音なのはそのせいか。2500円でした。

ついでに2日目の講義で購入した口琴の写真を載せてなかったので,ここに載せておきましょう。 フィリピンの竹製口琴(だったかな?)。これも本体の先をたたくタイプですね。確か700円だったと思います。ちょっと音が小さいかも。強くたたきすぎたのか,弁の周りの所が一カ所かけてしまったのが残念です。

楽器によっても音が全く違うのが面白いです。演奏しやすさとかもいろいろなようで,奥が深そうです。何かさらにいろいろ集めたくなってきたのですが...これからも毎日練習しないと‘宝の持ち腐れ’ですね。

7月4日(月)

わりと雨のよく降る日でした。ようやく梅雨らしく。 松山は??

友人より「ソーシャル・ネットワーキングサイトmixi」に誘われたので,登録してみることにしました。自己紹介文とか考えるのは,面倒といえば面倒ですが,楽しいといえば楽しいですね。ああいうのは人間関係とか面倒くさい面もあるだろうしという気もしますが。あちらには日記機能があるようですが,こちらの日記はメインとして続ける予定。どうせ同じ文章が載ることになりそうなので,向こうに参加している人がググったりすればこちらの日記にたどり着きますが,まあそんな奇特な人もいないでしょう。ぐらいの気持ちで深入りしないようにするつもりです。

7月3日(日)

いつもは土曜に疲れをとって日曜に出かけるというパターンですが,昨日いろいろ外をまわったので,今日は日中はお休み。何となく気持ちが沈み込んでいる感じだったので,夕方から新宿に出て,山手線に揺られながら読書をしました。で,何を読んだかというと...

小森健太朗バビロン空中庭園の殺人』を読みました。−−「バビロンの空中庭園」の不可解な謎。王都陥落時に屋上に逃げた王女が、敵兵の眼前で不意に姿を消した。考古学界の権威・葦沢教授は、その謎の解明直前に大学の屋上から墜落死した。二千年の時空を超えた「人間消失」トリックとは。−− ちょっといまいちです。歴史ミステリを何冊も書いているわりに,何となく前半部分(特に古代の謎に関する文献とか)が嘘くさいというか,リアリティが感じられません。古代の謎に関するトリックは,『ネヌウェンラーの密室』と大差ない部類で,さらに「ちょっと強引」感が増している印象です(『ネヌウェンラー』のほうがまだ面白かった)。メタ・ミステリの趣向も中途半端で,まあ読みやすいと言えば読みやすくはなっていましたけどね。小森氏の仕事は最近は評論のほうが多いみたいですけど,『大相撲殺人事件』みたいなの(バカミス?)を,またそろそろ書いて欲しいな。満足度5.5/10点。

新宿の本屋でまた4冊を購入。松尾由美『ブラック・エンジェル』・黒崎緑『しゃべくり探偵』・恩田陸『象と耳鳴り』・森福都『十八面の骰子』です。うわっ! 奇しくも4冊とも女性作家ですね。買った時点では気が付きませんでした。[株式会社岩波書店 岩波国語辞典第六版]

7月2日(土)

高校時代の友達S君が仕事で東京に出てきたので,一緒にお昼を食べて散策などしました。用務先が本郷ということなので,東大の赤門前で待ち合わせ。11時半とまだ昼食にはちょっと早いので,東大校内を散策しました。東大(本郷)なんて滅多に来る機会がないし,迷ってしまいそうでした。しかも土曜日ということもあり,生協も休みのようなので,東大病院の食堂(普通のレストランのようです)で食事にしました。その後は東に出て弥生美術館(挿絵等が専門)・竹久夢二記念館の前を通りましたが,企画展があまり気が乗らなかったので,そのまま根津の街に抜けて,根津神社へ。徳川家(甲斐徳川家)ゆかりの神社らしく,けっこう大きかったです。散策しながら仕事のこととか哲学・宗教に関することなど,いろいろと話をしました。

神保町で中古CD店に寄りました。少し古い時代の日本のロックに強い店です。ニューウェーブ・コーナーに戸川純とヤプーズ『裏玉姫』と『太田恵一の人外魔境』のCDが置いてあるのを見つけ,だいぶ心をひかれましたが,1万円と高いので止めました。次に行った時にはたぶん売れちゃってるでしょうね。

さらに本屋に寄り,笠井潔『サマー・アポカリプス』と『東欧SF傑作選 上』の2冊を買いました。

7月1日(金)

日々これ平穏が大事? 日中は雨,夕方より晴れる。

時間が経つのが早過ぎて,6月って何をやったっけ という感じですが。そうか口琴を始めましたね。他には... さて本気を入れて頑張らんと。などと考え始める7月の初日。

乙一GOTH』(文庫版「夜の章」「僕の章」の分冊)を今更ながら読了しました。文庫化されるまで読まずにいたのは,特に他意はありません。どの短編もいい感じですね。「リストカット事件」は,アンソロジー『本格ミステリ大賞03』に収録されていたのをだいぶ前に読んでいたし,他の短編のいくつかもコミック版などでは読んでいたのですが,読み返してもやっぱりよいです。コミック版では「記憶」と「声」を合わせて1話にしてありましたが,コミック版でちょっと‘はっきりしない’なと思っていたところも,小説版のほうではちゃんとなってましたね。まあ「叙述トリック」をうまくコミックで表現するのが難しいのもわかりますが。著者あとがきも,らしくて,何となく好感が持てます。満足度は7.5/10点。


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