[とある少年の悲劇に対しての考察]

 第十六章 [終わる世界]

「はぁっ…もうそろそろ、いいわよね…」
 思う存分〔シンジの指で〕自分の身体をさんざん触りたおして、アスカがため息
をついた。[暖気運転]はもうこのぐらいでいいだろう。
「じゃあ…バカシンジ、そろそろ…アタシだけのものにしてあげる…」
 しかしシンジ少年は、既に神秘なる旅立ちの準備に入ってしまっている。日光の
某有名霊長類三兄弟状態でもあった。
 せっかくの[歴史的瞬間]である、さらに楽しもうとしてか、アスカは、シンジ
の首筋に頬をすりよせて、またささやいた。
「そういえば、バカシンジ…さっき、アタシが部屋の中に入るように言ったとき、
変なこと考えてたでしょ?」
 人間、どんな状態であれ、自分の関心のある言葉には、反応してしまうものであ
る。悲しいかなシンジ少年は、思い当ることがなくもなかったのか、意識を現世に
ひっぱり戻されたのみならず、その言葉に過剰に反応してしまった。
「そ…そんなことないだろ!?」
〔反応してきた反応してきた…〕
 心中ほくそ笑みつつ、くすくすと悪戯っぽく笑うアスカ。
「ふふん。アンタのことだもの、ヘンな[期待]を持ってたんでしょ?
 アタシの部屋に呼ばれた以上、[何か]あってもいいとか…部屋に入ってきたと
き、そんな顔してたわよ?」
「そんな…こと…」
 口ごもるシンジ少年。可哀相に。
 頃はよし、と見てか、わずかに身体を離して、タンクトップの端に手をかけるア
スカ。当然、シンジ少年の眼は釘づけとなる。
 アスカは、思い切りよく、首までタンクトップをまくり上げた。健康的な白い肌
が、興奮のためか薄いピンク色に染まっている。この年令にしてCカップ〔推定、
88cm前後〕の豊かな形の良い胸が、扇情的に揺れた。
 現存するヒト科のオスである以上、シンジ少年の視線固定を、誰が責められよう
か?彼のようにならなかった奴は、眼か頭か思考回路のいずれかの正常作動を疑う
べきである。
 効果を確認した上で、にまっ、と笑ったアスカ嬢は、セーラー服をたくしあげた
シンジ少年の薄い胸板に、自分の身体をすりつけた。
 シンジ少年の理性残量は、既に予備まで使い果した状態である。
「うふふふ…ふふふふ…知ってるるわよ、シンジ…アンタ、こういうのが好みなん
でしょ?服をずらして露出って、アンタが一番好きそうだもんね…」
 さすがにパンドラボックス[別名エロ箱]探索の成果である。図星であった。
 彼の好みジャストミートではあったが、彼は最後の絹糸より細い理性を振り絞っ
て、自制した。
「駄目…だよ、駄目だったら、アスカ!」
「駄目、ってことは」
 すまし顔で言うアスカ。
「嫌じゃないのね。」
 一瞬絶句したものの、一生懸命再反論するシンジ少年。
「嫌じゃないとか…そういうことじゃなくて!駄目だってば!」
 悲しそうにこちらを見る綾波レイの顔を思い浮べなければ、彼がここまで我慢し
たかは疑わしい。が、それをいれて考えても彼の忍耐は賞賛に値するだろう。
「ふーん、じゃ、これは何かしら?」
 その細い指で、ぎゅっ!と[戦闘態勢]に完全に入っている〔笑〕シンジ少年の
分身を掴むアスカ。シンジは、何度目か、顔を真っ赤にして俯く。
「この、なんかどくどくいってる、カタいのは、一体何かしら?言ってみなさい、
バカシンジ?」
 沈黙する以外に、彼に何ができたであろう?まあ、この状況で[変化]しないで
いるには、彼は若いうえに健康すぎた。先程のアスカの[タメ撃ち作戦]も効を奏
している。
 シンジ少年は頭のなかで必死に因数分解を計算し、デカルト・カント・ニーチェ
の哲学を考察し、現在の金融機構の改善点を考えた。が、やっぱり彼の下半身は、
別個の生物のごとく、[元気]さを失わなかったりする。
〔ころはよし!〕
 少しの間、思わせ振りに沈黙したのち、唐突に、ぽつりとアスカが呟いた。
「アンタが…ホントに嫌なら、やめてもいいわよ…」
「えっ?」
「嫌がるの無理矢理、ってのも、センスがないかもしれないし…アタシほどの魅力
があるなら、アンタの方から口説きだすのを待つべきだったかもしれないわね。」
 嘘である。何が何でも襲うつもりで、さらにその布石である。
「だから、アンタが本当に嫌なら、はっきり言って。」
 シンジは、数秒間の沈黙の後、おずおずと口を開いた。
「…こういうことが、嫌なわけないだろ?ただ、こんなやり方が…」
 と、まだ言いたいことの半分も言っていないだろうに、ぶつりと断ち切るように
アスカ嬢の宣言が響いた。
「じゃあ、[する]わね!」
「へ…?」
 と、シンジ少年の下半身を、突然、凄まじい快感が襲った。
 アスカが態勢を入れ替えると、頭をシンジ少年の足のほうにむけて、一気にシン
ジ少年のトランクスを引きずりおろしたのである。一瞬後、両手と口でシンジ少年
の分身に濃厚な[攻撃]を仕掛けたのであった。
「うぁああっ!!!」
 絶叫するシンジ少年。ついに、最後の牙城は切り崩されたのである。
「あぅ…くっ!はぁっ…!ちょっ…と、アス…カ…!」
 生まれて以来の感触にもてあそばれながらも、必死に声を出すシンジ少年。
「んふふふ…」
 と、顔の前に、アスカ嬢の、バスト同様常人離れした美しさのヒップが突き出さ
れていた。アスカ嬢はさらに、器用に片手でホットパンツを膝まで下げて、片足を
するりと抜き取ると、純白のシルクのTバックショーツ〔税込4000円〕に包ま
れた身体を、シンジ少年に見せ付けたのである。
〔さあ、どうかしら!?バカシンジの好みはこれでど真ん中のはず!〕
 数秒間、時間の流れが停止した。
〔ドクン!〕
 シンジ少年のからだが細かく震えた。
〔ドクン!!〕
 そして
 フゥオオオオオオオオン!!!
 シンジ少年の喉から、凄まじい咆哮が轟いた。彼の二重三重の理性が、自制が、
ついにブチ切れたのである。
〔や…やったわぁ!!勝ったのよ!!見なさいファースト!ミサト!マヤ!
 これでこいつは、私のものよぉっ!!〕
 眼が完全に正気を失っているシンジ少年が、自分の顔に押しつけられたアスカの
下着に包まれた[女性]の部分を、激しく攻撃しはじめたのである。
「ああうっ!」
 背をそらして、遠慮なく勝利と歓喜の声をあげるアスカ。中断していたシンジ少
年の分身への攻撃を、掻き集めた技術の粋を集めて再開する。
 倫理委員会の役人でも職務放棄して観察に走りそうな激しさで、[攻撃]の応酬
を繰り返すチルドレン。が…お互いに禁欲と〔動機は違うが〕期待〔これも微妙に
ズレがあるが〕を繰り返していたのである。数分後には二人ともに[全面クリア]
が近付いていた。
「あああっ!!シンジ、シンジ、アタシ…もうっ!!」
「うわぁああああああっ!!!」
 次の瞬間、二人の視界が、真っ白に染まった。
 二人同時に、ラスボス撃破。

 30秒ほどして、アスカ嬢の眼に、ふっと意識が戻った。顔や手に盛大に付着し
たシンジ少年の[遺伝子情報集積体]を丁寧にかねて用意の無菌ハンカチで拭いて
いく。当然、[保存]しておくつもりであろう。
「うう…ひっくひっく…」
 暴走状態から内部電源が尽きたのか、活動停止していた碇シンジ少年。肩を震わ
せて嗚咽していた。破かれたりひん剥かれたりしたセーラー服とあいまって、なん
ともこれはこれで絶大な人気を呼びそうな姿である。
「…ふふん、最高だったわよ、バカシンジ(はぁと)
 シンジ少年、啜り泣きながら、人生の先輩の名を呼んでいた。
「汚れた…汚されちゃったよぅ…加持さん…どうしよう…」
 何か違うような気もするが。
 シンジ少年の嗚咽を耳にして、また、邪悪な微笑をたたえるアスカ。
「甘いわ…甘いわね、バカシンジ…」
「…ひっく…え?」
「アンタが[汚れる]のは、これからだってことよぉおお!」
 素早く態勢を入れ替えて、今度は、マウントポジションを再び取るアスカ。
「ア…アスカ、これ以上…なにを…」
「うふうふうふ…[これ以上]の事って言ったら、一つしかないわよねぇ?」
「ううっ…うわぁああああ!!」
 首をぶんぶか振るシンジ少年。アスカ嬢は、シンジ少年の分身をまたぎうっと握
って、可愛いらしく首を傾げた。
「嫌なら、[こういう状態]にはならないわよね?
 アンタの[射撃可能回数]は、ちゃーんと知ってるわよ。」
 こうなると、もう笑うしかない。
「うふうふうふうふ…アンタもアタシも、もう[準備]は万全なことだし…」
「あうあう…」
「だーい丈夫、アンタの好みどおり、ちゃんと、アタシは下着付けたまま、シテあ
げるから(はぁと)
「うわぁああああっ!!!」
 シンジ少年の絶叫を阿片吸引者のようなうっとりした表情で聞くと、アスカ嬢は
下着をずらして、慎重に[照準固定]に入った。
〔目標確認。距離よし、角度よし、地形よし…〕
〔照準固定!〕
「じゃあシンジ、良い夢見なさいね(はぁと)
「ああああああっ!?」
「いただきまぁあああす!!」
 アスカ嬢が勝利の絶叫とともに[任務遂行]しようとしたその瞬間!
 コンフォート17、葛城家に、凄まじい閃光が荒れ狂った。
                                続く