第1話 ファイナルベント
バイザー音とともに、拳に大きなグローブがフェイドインした。
「うぉぉぉぉ・・・・・!」
敵の間合いに入ったと同時にグローブが炎を上げた。
「っ!?」
敵は俺にきずいた様だ。だがもう遅い・・・・体重を乗せて敵MSを殴りつけた。
「!!??なに!!??」
殴りつけた瞬間敵MSが消えた・・・・おぃおぃまじかよ・・・・そう心の中でつぶやいたときには
もう遅かった・・・・刹那。敵からの一閃が俺を斬りつけた。敵は、カードを使っていたのだ・・
”トリックベント”分身するカードだ。油断してたぜ・・・・
「ふっ・・・・爪が甘いぞ。アズマ」
「今のは・・・・たまたま油断してただけだ・・・・」
「まぁ、いつものことだがな」
ぐっ・・・・・いつもながら、一言多い・・・
こいつの名前はアース・プラグ・エージ。みんなから「APE」と呼ばれている。
歳は15歳、俺と同い年だ。こいつの操るガンダムの名は
ダークネスガンダム
なんとこいつは世界ランカー20位というなかなかの凄腕だ・・・認めたくは無いが・・・
俺は・・・まぁ、ぼちぼちだ・・・
「さぁ、もう時間切れだ。帰るぞ」
「もうかよ・・・・これで30敗目か・・・・もうちょっとやっていこうぜ」
「はぁ?お前本気かよ。このミラーワールドでは10分間しかいられないんだぞ。忘れたのか?」
「忘れるわけないだろ・・・ただ・・早く強くなりたいだけだ」
「ふぅ〜・・・ほんとにバカだな。10分過ぎたら二度とゲームには参加できないんだぞ?
 つまり『ゲームオーバー』なんだよ」
「・・・・・・さぁ〜て、アズマ!帰還します♪」
「くぅ〜・・・・お前は歓楽的でいいよ・・・・」
俺たちは、ミラーワールドから帰還した。
鏡の空間をすり抜けてまず目に入ったもの・・・ミクモさんだった。
ミクモさんは、デジタル・ガンダム・ファイト・・・通称「D・G・F」と呼ばれる。この、「デジタル・ガンダム」
を作り上げた組織が管轄している店がいくつか存在しているそこを通称「ギルド」と呼ばれている。
そこのひとつをミクモさんが仕切っているのだ。
「ギルド」では、ベントカード(ガンダムに使用するカード)などが売っている。ミラーワールドに
進入するときも、「ギルド」に設置してある鏡でしか入れない。
「アズマ〜また負けたのか?これで50敗目だっけか??」
「30敗目ですよ・・・」
「ぁ?そうだったっけ?それはそうと、アズマ。お前のガンダムに《盗聴システム》つけといたからな」
「はぁ?お前まだつけてなかったのかよ?」
「ポイントが足りなかったから変えなかっただけだ・・・・・ミクモさん、サンキュー」
「はぁ〜・・・まぁいいや。俺ランキング見てるから、お前はガンダム修理しとけよな」
そういい残し、APEはさっそうと駆け出していった。アイツの自己中はいつになったら直るんだろう・・・・
そう心の中でつぶやいた。ミクモさんは何やてるんだろうとまわりを見渡した。
ミクモさんは一人の女と話していた。
「どれにしよ〜かな〜♪」
「・・・・・おい」
女は俺に気がついたようだ。
「ぁ、アズマじゃん。こんなとこで何してんの?」
「それはこっちの台詞だ。お前が何してんだ?」
この女の名前はセツナ=ヒジリ、こいつも俺と同い年の15歳だ。にしてもこいつ、ガンダムしてたけ?
「私はガンダム始めようと思って買いに来たの!わかる?」
むっ、とはきたが心を落ち着かせてセツナに問いただした。
「機体はもう選んだのか?」
「うん。みて見る?」
「あぁ・・・・・見せてくれ」
セツナはミクモさんに頼んで、ガンダムを見せてくれた。
「ホワイトランスガンダム・・・?」
「どぉ?かっこいいでしょう!」
なぜそう自慢げに言うのか俺には疑問が残るばかりだたが、
「カードは買ったのか?」
「カードね〜最初に4枚入ってるじゃん?ソードベントとシュートベント、ガードベントにファイナルベント」
「戦闘でカード何枚使っていいか知ってるか?」
「・・・・・しっ・・・知らない・・・」
まぁ、教えてやろう・・・・・
「んじゃ教えてやろう。戦闘で使えるカードは5枚、でも、デッキの中には10枚までカードを入れられる」
「へ〜じゃあ私は最低でもあと一枚のカードが必要てこと?」
「そうなるな」
「じゃ〜私は火力重視でいこうかな〜♪」
無知なやつは困るぜ・・・
「あのなぁ〜お前のこの《ホワイトランス》は、移動戦闘用ガンダムなわけ。だから、重火器ばっかつけてたら
 その性能が生かされないんだよ。ガンダムには属性みたいなのがあるの」
「へ〜じゃぁそれを踏まえてカード買って見る!」
「おぉ、あとでミクモさんとこ行くから買ったカード見せてくれよ」
「わかった〜んじゃあとで〜」
セツナはそういい残してすごいスピードでカード売り場に駆け出して行った。
セツナと話を終えたころにAPEが帰ってきた。はたして・・・俺の順位は上がっているのだろうか・・・
「おぉ、お帰り・・・・・で、俺のランク上がってた?」
「はぁ?上がってるも何もお前大会に出てなかったろ?逆に下がってたぜ」
APEは含み笑いしながら俺に言った。つくずくむかつく野郎だ・・・
「ふーん、で?お前は上がってた?」
「うっ・・・・・・」
この様子だとランクダウンしたようだな・・・俺は心の中で思いっきり笑った。
「ま・・・まぁ、どうでもいいじゃないか。さぁ!ミクモさんとこ行こうぜ!」
結構焦ってるみたいだな。まぁ、今日のとこは見逃しておこう・・・・

ミクモさんはまたセツナと何か話していた。俺はそこを後ろから覗き込んだ・・・ふんふん。なるほど・・・
「あぁ、セツナちゃんもガンダム始めるんだ」
「ぁ、APEも来てたんだ」
「APE、ランクはどうだった?上がってたか?」
ミクモさんは意地悪そうにAPEに聞いた。APEはというとすごく焦っていた。
「うん、まぁ・・・・ぼちぼちだね。うん」
ミクモさんはがはははと笑っていた。
「ところでセツナ、カードはどうなった?」
「ん?カード?見てみる?」
そういって、俺にカードを見せた。

ライトニングベント・・・・サポートカード・三秒間光の速さで移動できる
ガトリングベント・・・・・武器カード・ガトリングランチャーを装備
ストレンジベント・・・・・何が起こるかわからない

「ふ〜ん・・・結構いいカードを選んだな」
「そぉ?」
「・・・・・それ、わしが選んだカードだぞ?」
「・・・・・そんなこったろうと思ったぜ」
APEが会話に割り込んできた。無視されるのがいやなのか?
「そうそう、今度大会が開かれるぞ。」
「えぇ?まじ?どんな大会?」
APEよ、お前はもうちょっと落ち着け。
「今回は、二人一組で参加する大会だな」
「・・・・・・・二人一組?・・・一人じゃ出れないのか・・・・」
ちょっとがっかりだ・・・
「アズマ。俺と一緒に出ないか?」
APEが誘ってくれるなんて珍しいとは思ったが、断る理由がない。俺はOKした。しかし面白くないのはセツナだ。
「ちょっと〜私が出れないじゃない〜」
「そんなことは知らん」
俺は冷たく流した。
「無責任ね〜」
無責任?何の話なんだか・・・こいつはつくずく意味がわからんやつだ・・・
そんな話をしていると一人の男が話しかけてきた。
「ほっほっほっ、元気がいいですね〜ヒジリ君は」
「あ!ネコさん!!!久ブルですね〜」
・・・・・俺の苦手なやつが出てきたか・・・・
この男の名前は魔法瓶・ネコ・・・変な名前だ・・・俺はネコ瓶と呼んでいる。歳は・・・そういえば聞いていなかった。
まぁ、別に知らなくてもいいんだがな。しかしこの男、変な名前のくせに世界ランカー5位というかなり凄腕のパイロットだ。
これまた乗っているガンダムがすごい。
マグナガンダム
超重量系火力重視のガンダムだ。
そんな男がなぜここに?
「ネコさん、聞いてくださいよ〜・・・実は・・・・」
カクカクシカジカ・・・・
「ほっほっほっ、それは困りましたね〜じゃぁ私と一緒に出てみますか?」
!?
なんと、世界ランカー5位と、世界ランカー最下位(今日から始めた)の二人が組むことに・・・・足手まといになるんじゃないかと
思いながらAPEの顔を見ると口をあけてほうけていた。この顔がまた笑えた。
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第2話 ガンダムと梅干