第一話
サイド7コロニー郡『ヴィンズヴァンカー』内エターナル軍MS開発基地。ここにガンダムが保管されていた。名前はフォルテ。『ガンダムフォルテ』。このガンダムは協定により開発された新しいガンダムである。
「これが俺たちのガンダムか・・・・・・・」ディン=アルスターがガンダムフォルテを見てそう言った。
「いいえ。あんたのガンダムよ。」エリス=ウォレメンツがそう言った。彼女はエターナルの新造艦。『エリュシオン』のオペレーターを務める人間である。ディンとは幼なじみである。
「でもこんな高貴な機体は俺には扱えないぜ?せいぜい百式U(セカンド)ぐらいが限界だぜ。」
「でもさぁ。ピウ・フォルテやジェガンに乗るよりはガンダムのほうが良くない?」その瞬間。ディンはうっと言って黙ってしまった。確かに慣れていないガンダムタイプMSに乗るのと、ジェガンなどの量産機に乗るのとでは誰もがガンダムと応えるであろう。エリスは「頑張ってね。」と言い残してエルシュリオンに向かって飛んでいった。
「・・・・・・シュミレーターで訓練しておくか。」ディンは今無重力ブロックに居るという事を忘れていたので走ろうとしたが、思うように前に進まない。
「そっか。ここ無重力だった。」ディンは腰につけたアンカーをガンダムフォルテに向けて発射し、そのワイヤーを引き、接近した。

  エリアル軍巡洋艦『ヴィレッタ』艦内。
「俺の機体の準備は出来ているか?」
「ハイ。ケイン=シュタイナー少尉。」整備兵がケイン=シュタイナーにそう応えた。
「コロニーに対する弾圧は強くするべきではないが・・・・・・・百式Uで出る。シュトゥルムは発進させるな。」ケインは百式Uのコクピットへ向かった。

 「!?何だ・・・・・・・危険な感じがする・・・・・・」ディンはシュミレーターを終了させ自分の愛機『ブラスタージェガン』に飛び乗った。
「ディン・アルスター。ブラスタージェガン出撃します!!」コロニーに設置されているマスドライバーカタパルトで宇宙空間に射出された。

 ケインはディン達のいるコロニーに向かっていた。百式Uの脚部にはゲタ――ベースジャバーが装着されていた。
「ん?何か来る・・・・・・MSかっ!?」ケインはゲタを外した。背中に背負っているクレイバズーカを構え、接近してくるMSを迎え撃つ体制に入った。
「気付かれた!?やっぱり60年前のステルス機能じゃすぐに見つかっちまうか・・・・・でも。こっちの方が射撃距離はっ!」後方に移動しながらブラスタージェガンのロングレンジマスドライバーキャノンが発射された。
「させるか!」飛んできた弾丸をビームサーベルで切り払った。
「!?マスドライバーで飛ばした弾丸か!?新型機の割にはすぐに見つけられたが・・・・・・・」ビームサーベルを左手に持ったままクレイバズーカを発射した。超遠距離にいる相手に通常の射撃兵器が届くはずがない。
「もう一発!」またロングレンジマスドライバーキャノンが発射された。今度ばかりは避けられないだろう。しかし、
「見えたっ!そこだっ!」あっという間の出来事だった。クレイバズーカを背中に戻し、腰に装着していたビームライフルを装備した瞬間にトリガーを引いた。マスドライバーで加速した弾丸は撃ち落とされたのだ。
「!?2発とも撃ち落とされたのか!?」
「邪魔だぁぁぁ!!」ビームサーベルを持った機体が突撃してくる。
――駄目だ・・・・・・確実に殺られる!!そうディンが思ったその時。奇跡が起きた。

 「艦長!!大変です!!」エリスが声をあげた。
「どうした!?」エリュシオンの艦長。ヴェルレンス=ヴィレッツァが応答を待っていた。
「XEPHONシステムと言うシステムが何故か起動しています!!このままだと・・・・・・」その時。コロニーの外壁が破壊された。ガンダムフォルテが起動したのだ。
「パイロットは乗っているのか!?」
「いいえ!!無人です!!システムに侵入してとめます!!」エリスがメインシステムに侵入した瞬間。「ディン=アルスター」という単語が連続で逆流してきた。このXEPHONシステムとはあらかじめ設定されたパイロットと共鳴するシステムであり、製造元は全く不明である。つまりは、あらかじめ設定されているパイロットが窮地に陥ると緊急作動し、暴走したような状況になるのである。
「駄目です!!進入できません!!」ガンダムフォルテが宇宙に飛び出した。

 「死ねっ!未熟なパイロットよっ!!」ビームサーベルが振られようとした瞬間。
〔ガン・・・・・〕大きな衝撃がケインを襲う。
「何ィィ!!」必死の抵抗も空しく、百式Uの機体が吹き飛ばされた。
「フォルテ!?何でここに・・・・・・」〔プシュゥゥ・・・・・〕ガンダムのハッチが開いた。
「乗れってことなのか?・・・・・・ジェガンよりは幾分かマシだ!」ディンはブラスタージェンガンのコクピットハッチを開き、ガンダムへと乗り移った。
『貴方はディン・アルスター中尉ですか?』
「そうだ!」
『眼球を照合します』一瞬。ピカッと光った。
『貴方をディン=アルスターと確認しました。』そして、操縦用のレーバーやコンソールが出現した。
「あんたの名前は!?」返答は来なかった。だが、センサーが敵の接近をキャッチした。
「ガンダムだろうが、何だろうがっ・・・・・・倒せない相手ではない!!」ビームサーベルを振りかざした百式Uが突撃してきた。
「やられる訳にはいかないんだ!!」右腕のハッチが開き、中からビームサーベルが出現した。一瞬。2機のMSの間に強烈なプレッシャーが飛び交った。そのプレッシャーで百式Uの動きが止まった。その隙にビームサーベルを出現させ、切り掛かった。
「!?回避運動!!」慌ててスラスターを噴射させたが、左腕を切られてしまった。
――次の攻撃が来る!!癪だが・・・・・逃げるか・・・・・・ケインはスラスターを噴射させヴィレッタに向かった。
「!?勝った・・・・・のか?」
『ディン。戻って。そのMSのデータを取るから。』エリスからの通信だ。ディンは「了解。」と言って通信を切り、ヴィンズヴァンカーへと向かって行った。

コロニー軍MS
ピウ・フォルテ 形式番号EXMS―01
        全長15m 重量34,5t  
        ジェネレーター出力34500kw 
        スラスター推力45000kg×4 46000kg×6 123000kg×4
        武装 ビームサーベル×2 ビームライフル ハンドグレネード×2 ビームシールド
説明 コロニー内で分裂した勢力が協力して開発したMS。名前の由来は音楽で使われるPiu(ピウ)の『より〜』とf(フォルテ)の『強く』を組み合わせ、『より強く』と言う意味合いが強い。しかし、性能はたいした事はなく、ブラスタージェガンより少し高い程度である。設計はネオ・ジオンのギラ・ドーガと、地球連邦軍のジェガンを掛け合わせている。

地球連邦軍MS
シュトゥルム 形式番号RMS―18E
       全長15,6m 重量24,5t 
       ジェネレーター出力35000kw 
       スラスター推力54000kg×6 56000kg×4 234000kg×2
       武装 ビームサーベル×2 チェーンマイン ジャイアントバズ×2 130mmマシンガン×2
       副武装 メガビームランチャー ロングレンジスナイパーライフル
説明 旧ジオン公国が開発したMSであるケンプファーを改良したMS。形状はケンプファーに似ているが、肩や脚部の構造はネオ・ジオンのMSのものを引き継いでいる。チェーンマインは小型化されたが、威力はそのままで、十分なまでの破壊力を誇る。通常は折りたたまれて、背中に収容されている。ビーム兵器はビームサーベル以外は装備していないが、専用装備としてメガビームランチャーを装備することができる。また、遠距離攻撃用のスナイパーライフルを装備して、狙撃を行う場合もある。


全軍共通MS
ブラスタージェガン 形式番号RGM―282
全長17,5m 重量26,5t 
          ジェネレーター出力25000kw 
          スラスター推力93000kg×6 78000kg×2
          武装 ロングレンジマスドライバーキャノン ビームサーベル×2 ビームライフル 頭部バルカン×2
             シールド シールド内ミサイル×4 ビームガン
説明 地球連邦軍が開発したジェガンをもとにマスドライバー砲を装着したMS。MSにマスドライバー砲を装着すると言うのは機体に予想以上の負担をかけるため、発射可能弾数は2発のみ。ビームライフルの弾数は少なく、高出力。弾数を多くする為にエネルギーカートリッジ式のビームライフルになっている。シールドにはνガンダムと同じミサイルと、ビームガンを装備している。

百式U(セカンド) 形式番号MSN―100G
          全長17,5m 重量32,5t 
          ジェネレーター出力45000kw 
          スラスター推力56000kg×5 67000kg×3 98000kg×2
          武装 ビームサーベル×2 ビームライフル×2 クレイバズーカ×2 頭部バルカン×2 ヒート・ダガー×2
          副武装 メガランチャー改
説明 コロニー軍でも極わずかに使用されているMS。旧世紀の百式とは違い、ビームライフルとクレイバズーカを常に装備していることができる。背中にはクレイバズーカを。腰にはビームライフルを装備し、出撃。通常はビームライフルを持ったまま出撃するが、極まれにクレイバズーカだけを装備して出撃する場合もある。ビームライフルは連射できるタイプで、単発と、3連発の二種類選べる高性能MS。以前の百式の副武装であったメガランチャーを改良したメガランチャー改を装備することが可能。

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第二話