第二話
 ガンダムフォルテ。形式番号RX―342F。ゼフォンシリーズで最強の攻撃力を誇るMS。ガンダムナチュラル。形式番号RX―342N。ゼフォンシリーズ全機に共通する機関を装備している最も標準的なMS。フェルマータガンダム。形式番号RX―342F2。ゼフォンシリーズで最もビーム兵器の射程が長いMS。ユニゾンガンダム。形式番号RX―342U。ゼフォンシリーズでは珍しい換装システム採用機。ガンダムアレグロ。形式番号RX―342A。ゼフォンシリーズで最速のスピードを誇る接近戦用MS。ガンダムディスミエンド。形式番号RX―342D。ゼフォンシリーズで唯一敵の動きを奪う武装を多く装備しているMS。ゼフォンシリーズに関するデータの全てがこれである。それ以外は全く不明なのである。またエリスは政府のメインコンピューターにハッキングし、呼び出したゼフォンシステムに関するデータの一部始終がこれである。簡単に言うと、それぞれの機体の名称。特徴的な部分。形式番号程度の情報しか残されていないのである。これではガンダムフ ォルテを調べるにも謎が多すぎる。装甲素材は何なのか。開発者は誰なのか。XEPHONシステムとは何なのかが判らないのだ。それに強制的に調べようとすると、XEPFONシステムが発動し、拒絶してしまうのだ。装甲素材を調べようとすると暴走し、暴れまわり、メインシステムに侵入しようとすると、『ディン=アルスター』と書かれたファイルが連続で転送されてくるのである。つまりXEPHONシステムについて調べようとしても、余計な情報しか流れてこないのである。
「解除コード557。」エリスは何度もフォルテのメインシステムに進入しようとした。
『コードが違います。』
――駄目か・・・ディンのIDナンバーでも駄目となると・・・・・エリスは考えつく数字を入力していった。入力するのは3桁の数字。最終的に形式番号である342を入力したが、『コードが違います。』と返されてしまった。
――まさか・・・・・パスワードなんてないんじゃ・・・・・・そう考えたエリスは何も入力せずに『Enter』を押した。すると、 『コード入力確認しました。』ロックが解除された。データを解析したところ、意外な実が浮かび上がった。予め決められたパイロットではなく、各XEPHONシステムに入力されている脳波パターンに適合する人間だけが搭乗することが可能だったのだ。しかも、搭乗しようとした人間のリストまで記録されいたのだ。その記録ファイルを開くと、何百と言う数の人名が出現したのだ。その中に、ヴェルレンス=ヴィレッツァの名もあったのだ。そう。エリュシオン艦長もパイロット候補だったのだ。搭乗記録日を確認したところ、何とU・C0322と表示されていたのだ。 「20年前!?それじゃあフォルテは20年前にはもう・・・・・」
「いや違う。」エリスの後からヴェルレンスが現れた。
「艦長!?」
「この時。フォルテや他のゼフォンシリーズは完成していなかったのだよ・・・・・・MSだけはな。」エリスはヴェルレンスの言葉に不快感を覚えた。何かもやもやを感じているのである。しかし、感の良いエリスは「もしかしたら。」という考えを導き出した。
「もしかして・・・・・XEPHONシステムだけは完成していたんですか?」
「その通りだ。しかし、未だに判らない事があるのだ・・・」
「誰の脳波パターンを使っているか、と言う事ですね。」
「うむ・・・・・」その場は少々険悪な雰囲気が流れた。

 アルカディア軍。MS開発基地。
『解析結果・・・・・不明。』機械的な音声が部屋に響き渡る。
「やっぱり駄目か・・・・・」ガンダムナチュラルのパイロット。レイリード=ウェスカー。通称レイがナチュラルのデータを解析しようとしていた。 「レイ。やはり同盟関係にあるエターナルや、クレストでも同じことをやったそうだ。唯一メインシステムへの侵入を成功させたのはエターナルのエリス=ウォレメンツ小尉だそうだ。」アルカディア新造艦『レインフォース』の艦長。デクト=ラインゲイツがレイの肩に手をおきそう言った。
「艦長・・・そう言えばこちらのガンダムは全て連合艦隊に配属される予定なんですよね?」
「そうだ。確か名前は・・・『シンフォニー』。ゼフォンシリーズの3機が配属されている艦隊だからだとさ。そろそろ出航だ。準備できているな?」デクトの質問に対してレイは「ハイ!!」と元気よく返事をした。

 クレスト軍。スペースゲート。
「駄目だぁぁ!!何でなんだよっ!?」フェルマータガンダムのパイロット。ウェイク=チェスカーフが髪を掻き毟らん限りの勢いで頭を掻いていた。 「少尉。そろそろ出航ですので、コンソールの電源を切ってください。出航時にコンソール内部のデータが失われる可能性があります。」クレスト軍新造艦『ジーネ』のオペレーター。ミント=チェイス=ウォレメンツがウェイクにそう言った。
「わあったよ!分かった!!切れば良いんだろ?切ればさっ!」しぶしぶコンソールの電源を落とした。 「でさぁ。シンフォニーだったっけ?俺たちの配属先。」 「ええ。確かコロニーで開発されたゼフォンシリーズは全てその艦隊に招集されるらしいですけど・・・・・」ウェイクは嬉しさのあまりに、「ヘヘ・・・・」と無気味な笑いをした。 「ど、どうしたんです?」引きつった顔でウェイクに訊ねた。 「ん?ああ・・・俺以外のガンダムパイロットの顔が拝めると思うと・・・嬉しくてね。」 「そろそろ出航予定時間ですね・・・・・・持ち場で待機しておいてくださいよ。命令違反で起こられるのは監視役の私なんですから。」 「へいへい。」ウェイクのそっけない返事に怒る気も起こらなかった。  エリュシオン艦内。 「んで。合流するのはいつになるのさ?」 「明日の午前6時。木星圏のアステロイドベルトでだってさ。」アステロイドベルトでの合流は滅多にあることではない。あるとしたらシャトル程度の大きさの機体の合流か、MSが合流する程度である。それを100m以上ある戦艦が、しかも3隻も合流するとなると、装甲がかなり損傷するし、敵にも見つかりやすいのだ。
「!?・・・・・まただ・・・・・・あいつが来る・・・・・」 「ニュータイプの感ってやつ?」エリスの冷やかしにディンは 「俺はニュータイプじゃないさ。人間だよ。」そう言って格納庫に向かった。  「!?・・・・・気付かれたか・・・・・・」ケインは百式Uではなくガンダムに乗っていた。そうガンダムである。 「ガンダムよ・・・貴様の力をを我に示せ!!」ビームマシンガンが発射されようとした瞬間だった。 「主砲発射!!味方には当てるなよ!!ガンダムフォルテを射出しろ!!」主砲のビームを回避しようとした。その隙にマスドライバーカタパルトで加速されたガンダムフォルテの機体がガンダムディスミエンドに衝突した。その衝撃はガンダムフォルテには大した衝撃を与えなかったが、ガンダムディスミエンドには大きな衝撃を与えた。
「ぐぅ!?」 「ガンダムだろうがなんだろうが・・・・・・なんだって言うんだ!!こっちだってガンダムなんだ!!」ハイパービームサーベルを展開し、切りかかった。 「やられる訳にはっ!」体制は立ち直っていなかったが、スラスターの噴射で回避する事が出来た。2発目の攻撃はかわす事は出来ないだろう。 「とどめだっ!」振り下ろしたハイパービームサーベルを横に振った。 「プラズマロッド!!」左腕に持っていたプラズマロッドを使用し、ハイパービームサーベルの高出力のビームを弾き返した。そして、ビームを弾かれ、体制が崩れている隙に、ヒートストリングで攻撃した。見事に命中し、ガンダムフォルテの機能が徐々に失われていく。さらに、コクピット内部の熱量も増加していく。
「うわぁぁぁ!!」 『アルスター中尉!!こちらから強制的にXEPHONシステムを作動させれば・・・・・』エリスはコンソールを叩き始めた。
「余計な事はするな!!」ディンはエリスに怒鳴りつけた。その目はまだ活き活きと輝いて、希望を失ってはいなかった。
「味方の助けを借りぬとは・・・・・・貴様。我々と来ないか?悪い様にはせんぞ。」
「誰がお前たちみたいなクズの仲間になるかよ!!」その言葉を聞いたケインは「フッ!」と笑った。
「そう・・・・・我々のやっていることは正しくはない。だがな。貴様のやっている事も正しくはない。それだけは確かだ。今回は退いてやろう。貴様のその気迫に負けた。」ヒートストリングが引き戻されていく。それと同時にガンダムディスミエンドの姿は遠ざかっていった。

 「ディン。お疲れ様。」
「ああ。」コクピットから出てきたディンは全身汗で濡れていた。あの戦闘がどれほどすさまじい戦いだったかと言う事を現していた。そして彼は誓った。次に合う時は必ず勝つ事を・・・・・

 合流ポイント。
『こちらレインフォース。エリュシオン応答を願います。』レインフォースのオペレーター。リリア=ウォレメンツがエリュシオンに対して通信を行った。
「リリア!?そう言えばそっちに派遣されてたわね・・・・・・」
『お姉ちゃん!?その艦のオペレーターなの!?』この2人は姉妹なのである。その2人の姿を見て、両艦の艦長が咳払いを行った。あっと気が付いて2人は任務に戻った。その姿を見ていたディンは笑いそうになった。その視線に気付いたのだろう。エリスはディンを睨みつけた。
『こちらジーネ。ただ今合流地点に到着しました。エルシオン。レインフォース。応答願います。』ミントからの通信が2隻の戦艦に伝わった。
「艦長。何故ここに集結したのですか?教えて頂きたい。」
「ここなら敵の侵入が遅いからな。それにこちらのMSはガンダムが3機もある。ここでドッキングを行えば・・・・・・」
「ドッキング?まさか戦艦同士で合体でもするんですか?」ヴェルレンスは黙ってうなずいた。
「ハハハ・・・・・・・嘘でしょ?」ディンは信じられなかった。

 レインフォース艦内。
「おい!!嘘だろ!?」レイは髪を掻き毟らん限りの勢いで頭を掻いていた。
「本当よ!!」リリアはレイにそう言った。
「信じろ・・・私も始めは信じられなかったがな。」レイはデクトにそう言われて黙り込んだ。

 ジーネ艦内。
「ミント!!どう言うことだ!?」
「ウェクト。い、痛い・・・・・」ミントの襟元を掴んで揺すった。
「こらっ!!ミントちゃんが可愛そうでしょうが。」ジーネの艦長。レイア=アルスターがそう言った。彼女はディンの姉でもある。
「うっ・・・合体なんてMSだけで十分だよ!!」3人のガンダムパイロットはそう思った。今だ見ぬ巨大戦艦を信じられずにいたのだ。
                            
                           fin

エターナル軍ガンダム
ガンダムフォルテ 形式番号RX―342F 
         全長17,5m 重量23,6t
         ジェネレーター出力15900kw 
         スラスター推力175000kg×6 234000kg×4 
         武装 ハイパービームサーベル×4 ハイパービームライフル 頭部ハイブリットバルカン×2 
            メガビームガトリングガン×2 ヒートアクス
ブースターファンネル×2 ビームシールド×2 
 説明 新型のRXシリーズの内の1機。6機存在する新型RXシリーズの中では最強の破壊力を所持している。しかし、常にリミッターがかけられており、それを外さない限り本来の破壊力は生み出せないようになっている。ハイパービームライフルやハイパービームサーベルは一定時間エネルギーをチャージする事で最大出力を発揮する事が可能だが、それを使用するとしばらくの間ビームライフルとビームサーベルを使用できなくなるといった不利な状況に陥る。各武装の収納個所は、ハイパービームサーベルは両腕の内側に2本ずつ。メガビームガトリングガンはそれとは逆で、両腕の外側に面している。ヒートアクスは腰に、ビームシールドは両肩に備え付けられている。最高まで出力を上げるたビームはコロニーを破壊する事ができるほど強力だが、発射した途端。銃身が爆発してしまう。なお、各ガンダムには謎の新システム『XEPHONシステム』を搭載している。詳しい事は全く不明である。

アルカディア軍ガンダム
ガンダムナチュラル 形式番号RX―342N
          全長17,5m 重量23,5t 
          ジェネレーター出力5600kw
          スラスター推力127000kg×8 145000kg×6 
          武装 ビームジャベリン×2 ビームライフル 胸部マシンキャノン×2 ヒートストリング×20
          副武装 遠距離攻撃用特殊装備
 説明 新型RXシリーズの内の1機。全ての機体に装備されている『XEPHONシステム』はもちろん。フォルテのハイパワーモードや、フェルマータの遠距離攻撃能力。ユニゾンの換装システム。アレグロのハイスピードモード。ディスミエンドの機能停止攻撃などの各ガンダムの特殊機能を全て所持しているMS。その為、とても燃費が悪い。使いこなせれば最強のMSになる事は間違いない。両肩アーマー内部にはヒートストリングを装備し、さらにビームジャベリンも収納している。

クレスト軍ガンダム
フェルマータガンダム 形式番号RX―342F2
           全長18,5m 重量34,5t 
           ジェネレーター出力9800kw
           スラスター推力170000kg×2 56000×6
           武装 ロングレンジビームライフル×2 大型ビームサーベル×2 頭部自動追尾式バルカン×2
              ニードルガン×2 ギガテックバスター×2
 説明 遠距離砲撃用の装備が多く搭載されている新型RXシリーズ。両肩のニードルガンは内部に数百発のニードルが内蔵されている。シールドこそないものの、コロニー軍のガンダムの中では装甲が1番厚い。ギガテックバスターは通常時には背部スラスターとして折りたたまれて収納されているが、使用時には腰のあたりまで下がり、攻撃可能になる。実弾を発射するが、ギガテックバスター内部のリニアレールシステムにより一気に加速し、ビームシールド程度ならば簡単に貫通する事ができる。もちろん戦艦の装甲を貫通させる事も可能。しかし、弾丸は両方あわせて4発のみ。これはそれ以上の発射を行うと、銃身が爆発する可能性があるからである。コクピット内部にはビームの距離設定用のレバーがる。

ファントム軍ガンダム
ユニゾンガンダム 形式番号RX―432U
         全長16,7m 重量16,4t
         ジェネレーター出力3400kw(+4500kw,+6500kw,+7600kw)
         スラスター推力45000kg×4 124000kg×2(+12300kg×4,+15400×4〔×8〕)
         武装 頭部バルカン×2 腹部マシンキャノン×4 ビームシールド
         副武装 アサルトパーツ ブレードパーツ ソニックパーツ
 説明 ゼフォンシリーズでは珍しい換装システム対応機。換装システムに武装を預けている為、単体での戦闘能力は低い。各パーツの武装は、アサルトパーツ――アサルトビームランチャー兼ロングビームサーベル。(ジェネレーター出力+4500kw。スラスター推力+12300kg×4。)ブレードパーツ――ビームサーベル×2,ヒート・ダガー×2,大型ビームブレード×2(ジェネレーター出力+6500kw。スラスター推力+15400kg×4。)ソニックパーツ――ビームナイフ×2,高出力メガビーム砲×4(ジェネレーター出力+7600kw。スラスター推力+15400kg×8。)となっている。この装備を破壊されると、圧倒的に不利になるので、操縦者はパーツを破壊されないように気を付けながら戦闘しなくてはならない。

クライン軍ガンダム
ガンダムアレグロ 形式番号RX―342A
         全長18,6m 重量10,5t
         ジェネレーター出力13500kw
         スラスター推力27000kg×4 17800kg×6
         武装 ビームダガー×2 頭部バルカン×2
 説明 6機の内で最も速い機体。軽量化を行ってはみたが、これ以上減量するとスラスターを起動させるための高出力なエネルギーが得られないため、予め設定されていた装備を大量に破棄し、軽量化に成功した。全体の割には軽く、ジェネレーター出力も高い。スラスターの起動には多すぎるエネルギーは、ハイスピードモードの時に一気に放出される。最大の欠点は装甲が薄い事。よってマシンガンの弾丸を受けただけでも致命的なダメージになってしまう。しかし、高速で移動している為、滅多にあたる事はない。アレグロの『XEPHONシステム』だけは特別で、ある程度の速度に達すると自動発動し、暴走を行う。
エリアル軍ガンダム
ガンダムディスミエンド 形式番号RX―342D
            全長17,5m 重量23,8t
            ジェネレーター出力8600kw
            スラスター推力14500kg×2 134000kg×6
            武装 ヒ−トストリング×40 ショックウィップ×2 ビームナギナタ(プラズマロッド) 
               ビームマシンガン
 説明 電撃を放出し、敵の機能を奪う武装を多く装備しているMS。両肩アーマーにはヒートストリング(電撃放出ストリング)が20本ずつ。フロントアーマーにはショックウイップ(電撃放出鞭)が収納されている。ビームナギナタはビームを収納している時にはプラズマロッド(電撃放電棒)として使用可能。何かと電撃を使用する装備が多い。他のガンダムと決定的に違うのはバルカンやマシンキャノンを一切装備していないという点である。なお、電撃を使用する装備を敵に命中させると敵の動きが徐々に遅くなっていく。やがては完全に機能を停止させてしまう。だが、当たらなければどうと言うことはない。
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第三話