第三話
 新艦隊『シンフォニー』の結成はとても無謀なものだった。エターナル軍。アルカディア軍。クレスト軍の連合艦隊であるこの艦隊は、地球連邦軍全ての組織に狙われる事になるのである。エリュシオン。レインフォース。ジーネの合体した巨大戦艦『シンフォニア』は合体の為。木星近くのアステロイドベルトに集結していた。そこでちゃくちゃくとドッキング作業が行われていた。
『ヴェルレンス=ヴィレッツァ大佐。お初にお目にかかります。』レイアがヴェルレンスに挨拶をした。
「若いのに大変だな。新造艦の艦長を勤めさせられるとは・・・・・レイア=アルスター中佐。」
『そう言えば・・・うちのバカ弟は居ますか?』
「ああ。ディン中尉なら・・・・・」
「ここに居る。」ディンは偉く不機嫌そうだった。
『あぁら。居たの?気付かなかったわぁ。』
「だれがバカだ!誰が!!」
『あんたよ!!』壮大な姉弟喧嘩が始まった。
――いつまで経っても子供だな・・・この2人は。ブリッジ全体の人間がそう思った。
「そ、そう言えば少佐は新型機を運んできたんですよね?」エリスが2人の口論に割って入った。
『ん?そうそう。ネオ・ジオン紛争って戦争で使われてたMSの改良機でね、形式番号がRGZ―342。』
「ガンダムタイプのMSか。」
『バカな弟にしては賢い答えね。』レイアが言った言葉にディンは過剰に反応した。それをエリスが必死で押さえていた。
「RGZ・・・・・リガズィとか言うMSの形式番号だったはずだが・・・・・・」
『ハイ。旧地球連邦軍が使用していたMSを改良したものです。しかし、このMSの名称はリガズィではありません。』
「では?」ヴェルレンスがそう訊ねた。
『我々の趣旨に合わせて、『G―フラット』と命名しました。一応ガンダムタイプのMSですので我々クレストの開発可能ガンダムはあと1機のみとなりました。』その時だった。緊急警報が鳴り響いた。信号はファントム軍と、クライン軍のものだった。
「少々厄介だな・・・MS部隊出撃!!ピウ・フォルテも出撃させろ!!」

 アステロイドベルトにファントム軍巡洋艦『ブレイブ』。クライン軍巡洋艦『ファンティアス』が一時的な同盟関係を結び、コロニー軍連合艦隊『シンフォニー』に襲い掛かろうとしていた。
――見つけた!!だが・・・この前の奴の感じはしない・・・・もはや連邦は自分たちのテリトリーをも守らなくなったか・・・・そう。もはや連邦政府はコロニー軍だという理由だけで攻撃を仕掛けてくるようになったのである。
「アルスター中尉。ガンダムで一気に攻め落とすか?」ウェイクがディンにそう言った。
「いや、ここは様子を見た方がいい。シュトゥルムを出される可能性があるからな。」
「だからと言っていつまでも手をこまねいている訳にもいかないでしょ?」ディンはレイにまでそう言われたので、頭に血が上った。「やめておけ。」と言った張本人が1番最初に攻撃を行ったのだ。
『アルスター中尉。ウェスカー少尉。チェスカーフ小尉。よく聞け。』ヴェルレンスからの通信だ。同時にデクトやレイアからの通信も入ってきた。
『今からこちらはドッキング作業でしばらく援護が出来ない。悪いが作業終了まで時間を稼いでくれ。』
「んな無茶な!!」
「無茶じゃないわ!G―フラットの力を見せてあげる!!」ディンの攻撃で巣から出てきた蜂のようなシュトゥルムの群れに変形したG―フラットが突撃していく。
「な、誰が乗っているんだ!?」
「ジーネの乗員には違いないが・・・」
「ミント!!誰が乗ってるんだ!?」ディン達はパニックに陥った。その一方でウェイクがミントに確認するように促した。
『えっ!?ちょ・・・・・G―フラット!!名前と階級を応えなさい!!』
「ルナ・フォレスト!!階級は准尉!!文句ある!?」ルナと名乗る女の気迫に負けたのか、ミントはそれ以上何もいえなかった。
「G―フラット・・・・・行くよ!!」あっという間にG―フラットは変形し、MS形態になった。そのの手にはハイパーメガランチャーが握り締められていた。そして、そのビームが発射された瞬間。シュトゥルムが大量に撃墜された。しかし、その閃光を逆流してくる機影が見えた。
「!?フォレスト准尉!!下だ!!」ディンはその機影がとても危険なものだと気付いた。そう。ガンダムアレグロである。アレグロはG―フラットに接近し、ビームダガーで攻撃し始めた。
「やられないよ!!」ハイパーメガランチャーがロングビームサーベルに変わった。ロングビームサーベルを振り回し、ガンダムの接近を防いだ。だが、接近が不可能と見たアレグロのパイロット。
「・・・・・他のから始末する。」キョウスケ=アカツキはディン達に襲い掛かってきた。真っ直ぐに突っ込んでくるガンダムを回避し、ビームを発射した。しかし、敵が速すぎて命中しない。
「何だ・・・・あの機体・・・・・パイロットの安全性を完全に無視してやがる!!」レイが声をあげた。
「!?・・・・・少尉。中尉さんが何か考えついたみたいだぜ。」ディンは何か考えていた。
「准尉!!」ディンが叫んだ。
「何!?話なら手短にお願いしたいわ。」
「ハイパーメガランチャーを発射してください!目標は敵のガンダムです!!」ルナは黙ってうなずくと、アレグロに向かってハイメガランチャーを発射した。もちろんその攻撃は回避された。だが、ディンはその回避する寸前の瞬間を見逃さなかった。移動速度などの計算を全て行い。ハイパービームライフルを発射したのだ。
「!?ハイスピードモード!!」キョウスケは慌ててハイスピードモードに切り替えた。その瞬間。XEPHONシステムが作動し、高速戦闘モードに変化した。
――あれがアレグロのハイスピードモード・・・・・レイはナチュラルにも同じような装備があることに気付いた。そして、
「俺だって・・・・・ガンダムパイロットなんだ!!」レバーを倒し、ナチュラルもXEPHONシステムが作動し、ハイスピードモードになった。
「XEPHONシステムの使い方がだんだん分かってきた・・・・・・・俺にだって出来る!!」ディンもレバーを倒してハイパワーモードになった。通常は押さえられているジェネレーターの出力が一気に向上した。異様な発熱に頭部マスクが高速で開閉している。それに少しながら速度も速くなっている。
「少尉!!そいつの動きを封じてくれ!!」
「了解した!!」ガンダムナチュラルがアレグロを追いかける。アレグロの白い機体が見えた。その姿は足を重ね、肩アーマーを展開し、飛行形態とでも呼べる姿になっていた。
「こいつの性能じゃこれが精一杯だ・・・・だけど・・・・・俺は諦めない!!」ヒートストリングを射出した。見事にその攻撃は命中した。
「!?しまった!これでは・・・」徐々に機能が奪われていく。
「でかした!!」動けなくなったアレグロにフォルテの強烈な一撃が加えられる。一撃で肩の装甲が破壊された。
「クソッ!!撤退する。」アレグロはフォルテの次の一撃を食らう前に帰艦しようとした。もちろんディン達が追えるはずもなく、みすみす逃がしてしまった。
『ご苦労だった。こちらもドッキング作業が終了した。帰艦してくれ。』4機のG(ガンダム)は巨大戦艦。『シンフォニア』に向かって飛んでいった。

 「多分これは本部に報告しなくてはいけない事体ね・・・」エリスはリリア達と共に報告書を作り始めた。
「でもお姉ちゃんがエリュシオンに乗ってるとは思わなかったなぁ。」
「そう言えばお2人は姉妹だったんですよね。いいなぁ・・・・私兄しか居ないから・・・・・」意外とこのオペレーター3人は仲がいいらしい。それに比べてディンとレイアの姉弟ときたら・・・・・

 「何だと!?あの戦闘に文句つけんのかよ!?」
『文句の1つも言いたくなるわよ。こっちの艦にI・フィールドジェネレーターが無かったらG―フラットのハイメガランチャーで吹き飛んでたところよ!!』
「それならフォレスト准尉に言えよ!」
『あんたが命令しなきゃ彼女だって発射しなかったわよ!!』そんな2人の会話を聞いているヴェルレンスは頭が痛くなった。

                            fin

クレスト軍新型ガンダム
G―フラット 形式番号RGZ―342 
       全長22m 重量25,6t
       ジェネレーター出力5600kw
       スラスター推力15600kg×2 45000kg×4 67000kg×6
       武装 ビームライフル ビームサーベル×2 バルカン砲×2 2連装グレネードランチャー×4 ハンドグレネード×2          ハイパーメガランチャー ビームコーティングシールド
 説明 クレスト軍の開発した新型ガンダム・・・と言いたいが、実際には奇跡的に残っていたRGZ―91『リガズィ』のパーツとフェルマータガンダムの予備パーツをあわせて完成したMS。RGZ―91には無かった可変システムを搭載。さらに、MSZ―006『Zガンダム』と同型のハイパーメガランチャーを装備。火力を強化している。戦闘能力的にも考えてRGZというよりはMSZの方が良いのかもしれない。

ウェブライダーF 形式番号RGZ―342
         全長21,6m 重量25,6t
         ジェネレーター出力5600kw
         スラスター推力15600kg×2 45000kg×4 67000kg×6
         武装 ビームライフル ビームガン×2 ハイパーメガランチャー 2連装グレネードランチャー×4
 説明 G―フラットのWR形態。変形過程はMSZ―006と何ら変わりない。なお、MS形態の時には起動していない67000kgのスラスターはこの形態時のみ起動する。もちろん大気圏への突入も可能。その点ではゼフォンシリーズよりも高性能かもしれない。

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第四話