第1話 出会い
一年戦争が終わり、約8年。
連邦は腐敗し、反連邦政府組織エゥーゴとの戦争となった。

「このコロニーまで戦争はこないよな・・・」
電気屋の横に並んでいるテレビに映った戦闘を見ながらシェイド・ファングが呟いた。
「こなければいいけど・・・やっぱり、見てると不安になるね・・・」
シェイドの幼なじみのレイナ・フィンが返した。
大きな影がシェイドの上を通り過ぎる。
「え!?」
シェイドが見上げる。
数体のMS、ジム・クゥエルがコロニー内に入ってきていた。
「(どういうことだ!?なんでMSが!?)」
ジム・クゥエルが着地し、そこにあった建物が崩れる。
気づいた人たちが逃げ始める。
「シェイド!私たちも早くシェルターに!」
レイナがせかす。
「あ、ああ。」
シェイドが気づき、避難し始める。
「(なんでこのコロニーにティターンズが!?)」
非難しようとしている方向に他のジム・クゥエルが着地する。
士官機らしい機体からスピーカーで声が聞こえてくる。
「このコロニーはティターンズの管轄に置く。」
まだ何か喋っていたが、シェイドにはそれしか耳に入らなかった。
「(ここでMSでも生産する気なのか!?自分勝手な!!)」
細い横道に入り、近道をするシェイドとレイナ。
「MS!!」
レイナが悲鳴の混じった声で言った。
「こっちの倉庫にいったん隠れよう!」
シェイド達が倉庫の中に入る。
「!?」
シェイドは倉庫の中に人影を見た。
「誰だ!?」
シェイドが人影に向かって叫ぶ。
「!!」
人影がシェイドたちの方に向いた。
「こっちに来い!」
人影が言い、また中央へ向かって行った。
「え?来い?」
シェイドはレイナとともに中央にあるものに近づいていった。
「MS!?」
レイナが驚く。
「乗れ!早く!」
コクピットから声がする。
シェイドとレイナがコクピットの中に入る。
「横につかまってろ。」
人が言い、シェイドたちが横にずれる。
そのMSが倉庫の屋根を破り、立ち上がった。
「まさか、戦うのか!?」
シェイドが言う。
「ああ。」
「無茶だ!一人でなんて!それに周りに被害がでる!やめてくれ!」
「そんなこと言ってる場合じゃない。バーストガンダムなら十分対抗できる。」
そう言ってそのMSがジャンプし、1機のジム・クゥエルのコクピットにビームサーベルを突き刺した。
そのまま空中にいるジム・クゥエルを全機撃破し、建物に当たらないように高度を下げ、ジム・クゥエルのコクピットにサーベルを突き刺す。
「コクピットしか狙ってない・・・?」
シェイドが呟く。
「こうすれば爆発で周りに被害が出る心配はない。」
最後の1機も撃破し、空き地に着地する。
「この分だとこのコロニーも危ないな・・・」
「あんた・・・誰だ?」
「クルス・ブランドだ。おまえ達はここで降りろ。」
「あ、ああ・・・」
シェイドとレイナがMSから降り、クルスは去っていった。
「(この分だと・・・危ない!?)」
シェイドの脳裏を不安がよぎる。

数日後、シェイドの不安は現実となり、ティターンズが現れた。
「またか・・・とにかく避難しよう!」
シェイドとレイナが走る。
前回よりもMSの数が増えていた。
「(確か・・・どこかにMSが・・・・)」
シェイドがクルスの居た倉庫に向かう。
「(屋根が修理されてる・・・この中にMSがあるはず・・・)」
シェイドが倉庫に入り、レイナが続く。
「ちょっと・・・何する気・・・?」
「あった・・・乗ろう!」
シェイドがコクピットに入る。
バーストガンダムが起き上がる。
「ちょっ・・シェイド!大丈夫なの!?」
レイナが言う。
「動かし方は見てたから大丈夫だと思うけど・・・」
シェイドがジャンプする。
「!?オレの機体、誰が乗ってる!?」
クルスがジャンプしたバーストガンダムを見て言った。
バーストガンダムが接近してきたジム・クゥエルに殴られて、叩き落される。
「うわぁっ!!」
横でレイナがシートにつかまって悲鳴を上げる。
バーストガンダムが倉庫の横に倒れる。
「ぐ・・くそっ・・・・」
シェイドが呻く。
「!?」
急にコクピットハッチが開き、クルスが入ってくる。
「何やってるんだ!!」
クルスがシートに座り、シェイドが横にどいた。
「サーベルを使われなくて助かったな・・・」
クルスが言い、バーストガンダムが接近してきたジム・クゥエルのコクピットにサーベルを突き刺す。
「そろそろだな・・・」
空中にいるジム・クゥエルが爆発する。
「な、なに?!」
レイナが言う。
「仲間だ。」
クルスが応え、着地しているジム・クゥエルを次々に撃破し、その間に空中のMSは一掃された。
「よし、帰還するか。」
「・・・あんたらのやってることって正しいのか?」
「やってること?」
「戦争のことさ・・・正しいのか?」
「正しいわけがない、やってることは人殺しと同じだ。」
「じゃあ、なんで連邦と戦ってるんだ?」
「連邦政府は将軍が変わってから駄目になってきている。それを野放しにしたら大勢の人が苦しむ。だったらエゥーゴで戦う方がいい。」
「ティターンズは間違ってるってこと?」
「・・・結局、善悪ってのは周りにいる第三者たちが言う事だ。人が悪と言った側を信じて戦うものもいる。」
「この後オレたちはどうなるんだ?」
「1回目はオレが守ろうと思って乗せたが、今回は勝手に乗ったからな・・・下手をすれば命を狙われかねない。」
「・・・ごめん。」
「オレは別にかまわないが、ティターンズに知られるとやっかいだな。MS、扱えるか?」
「このタイプの機体ならなんとか・・・・」
「1回見ただけであれだけ動ければ上出来だ。・・・来るか?一緒に。」
「・・・・・行くよ。」
この会話を横で聞いているレイナが口を挟む。
「シェイド・・・人殺しになるよ?」
「・・・さっき、オレがこのMSに乗ったのはここの人を守りたかったから・・・だから、守るために戦いたい。」
シェイドが応える。
「わかったわ、私も行く・・・」
レイナも決心した。
「よし、ここの港口にオレの部隊の戦艦がある。そこに行く。」
クルスはシェイドとレイナを乗せ、港口に向かった。
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第2話 戦う理由