第4話 約束
「エクス、どうした?」
ティターンズの基地の司令が言った。
「エゥーゴの部隊の強襲を受けて撤退してきた。」
「なぜだ?」
「並のカスタムタイプでは勝てる相手じゃない。」
「らしくないな。」
「・・・・ここに試作機があったな?」
「バーザムの全面改修型のことか?」
「ああ、使えるのか?」
「チェックは終わっている。だが、実戦には投入せずにデータを取るだけで終わりそうだ。」
「何?なぜ?」
「いろいろと他にも新型が考案されているからな。」
「そうか、性能は?」
「バーザムより高いはずだ。」
「わかった・・・」
エクスが部屋を出て行く。
「そろそろ、やるか。」
エクスが呟き、MSの格納庫へ向かった。
「エクス大尉?出撃命令はでてませんよ。」
「・・・・」
メカニックの言葉を無視し、エクスが出撃した。
「エクス!どういうつもりだ!出撃命令はしていないぞ!!」
司令が通信する。
「ティターンズの作戦や、やり方に嫌気がさした。オレはティターンズから抜ける。」
「裏切る気か!?」
「そういうことだ。」
「総員戦闘配置!エクスが裏切った!全力で撃破しろ!!」
「やれるもんなら・・・やってみな!!!」
エクスが出撃してくるジム・クゥエルやハイザックを撃破する。
「性能もいいな。」

「クルス!ブリッジにあがれ!」
ヘイトがクルスを呼ぶ。
「艦長、どうした!?」
クルスが入ってくる。
「敵基地で戦闘が始まった。」
「なに!?」
「今、全速で向かっている。」
「まさか・・・エクス・・・」
「出撃できるようにしておけ、味方がいるなら出撃して援護をするんだ。」
「わかった。もう少し近づいたら出撃する。」
そう言ってクルスはブリッジのドアから飛び出し、MSデッキに向かった。
「アーツ!フレイア!シェイド!出撃の準備をしろ!!」
クルスがMSデッキの通信機から、それぞれの部屋に通信し、呼びかける。
「エクスが言っていたのはこのことか・・・?」
クルスが呟きながらバーストガンダムのコクピットに飛び乗る。
「クルス!任務は?」
「ティターンズの基地で戦闘が起きてる、そこへ行って加勢し、ティターンズの基地を叩く」
アーツが訊き、クルスが答える。
「わかったわ。」
フレイアがコクピットにすわる。
「味方?ティターンズを裏切った奴がいるのか?」
シェイドがバーストガンダムを起動させながら言う。
「おそらく、エクスだ。」
クルスが言った。
「装備確認、異常なし。いつでもいいぜ。」
アーツがクルスに言う。
「よし、全機出撃!!」
カタパルトでクルスが出撃し、全員が追いかける。

「くっ、エクスめ、一人だというのに・・・」
司令が呻く。
エクスは流れるようにビームサーベルを使い、MSを撃破していく。
「司令!レーダーに反応!」
「エクスだけでも押されているというのにっ・・・」
エクスもレーダーの反応を捕らえていた。
「来たか、クルス。」
エクスが呟き、クルスの方に少し後退する。
「1機のMSが狙われている・・・エクスに間違いないな・・・」
クルスが呟き、ブーストしてMSのかたまりの中に突っ込む。
クルスの進攻方向にいるMSがすごい勢いで減っていく。
「は・・早い・・・」
シェイドが呟く。
「クルス、援護するわ!基地を!」
「わかった。」
フレイアが言い、クルスが応え、さらに加速する。
「クルス、腕を上げたな。」
エクスがクルスの戦いを見て、ニヤけながら呟く。
クルスはサーベルを両手に持ち、二刀流の状態でノーガードで突っ込んでいく。
クルスはスピードを落とさずに敵機の攻撃を避け、サーベルで撃破しながら基地に接近する。
「基地に急接近するMSがあります!」
「弾幕を張れ!」
そのとき、基地内に爆音と振動が伝わる。
「な・・なんだ!?」
「機銃が全て撃破されました!」
アーツがサーベルを機銃のある壁に突き刺し、そのまま移動して機銃を撃破したのである。
「へへっ、隙だらけだよ。」
アーツが言い、MSの方へ向かう。
クルスが基地の機関部をライフルで撃ち抜き、司令部をサーベルで切り裂く。
その間に、エクスやアーツ、シェイド達がMSを片付けていった。
「速攻できてよかったな。」
エクスがクルスに言う。
「フレイアとアーツのおかげさ。」
クルスが返す。
「ところで、エクス。」
「ああ、行くさ。」
「ついてこれるな?」
「もちろん。」
クルス達の後にエクスが続いた。

全員が着艦しMSから降りた。
「艦長、エクスだ。」
「エクス・クライドだ。ティターンズでの階級は大尉だった。」
エクスが自己紹介し、アーツ達も自己紹介した。
「君がエクスか、1年戦争の時にクルスと互角に戦えたのは君ぐらいだな。」
ヘイトが言う。
「あんときはオレも驚いたね。こんなに強い奴がいるとは。」
「上には上がいるのさ。もちろん、オレより強い奴もいる。」
エクスが言い、クルスが続けた。
「さて、なぜティターンズにいたか、話してもらおうか。」
クルスがエクスを見る。
「あの後、しばらく考えてな、連邦に入っておまえに会おうと思ったんだ。」
「すぐに来なかった理由、考えたかったってのは?」
「心の整理ってやつさ。友人を殺した連邦に入るには少し抵抗があってな。」
「それで、落ち着いてから入ったってことか。」
「ああ、入った後、部隊のリストを探してもおまえたちの名前がなかった。」
「いつ連邦に入ったんだ?」
「83、4年あたりだ。そして探しているうちに昇進、ティターンズに編入されたって訳。」
「そのころだな、オレ達は連邦から抜けたのも。」
「すれ違いか。」
「連邦が腐ってきたからな。政治家は自分たちのことしか考えていない。」
「ま、こうして約束は果たせた。よろしくな!」
「こっちこそ。」
クルスとエクスが握手をした。
「よし、全員少し休め、クルス、エクスを空いてる部屋に案内してやってくれ。」
「わかった。」
クルスがエクスの部屋を案内するために通路に移動し、エクスが続いた。
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第5話 強化人間