第5話 強化人間
「シェイド・・・だったか?」
「ああ・・・わかってる・・・」
「あいつ、何か隠している。」
「心の中に迷いがあることは眼でわかる。」
「何かあったな?ここに入る前に。」
「だろうな。」
クルスとエクスが通路を移動しながら話す。
「ここの部屋、使ってくれ。オレの部屋の向かいだけど。」
「ああ、使わせてもらう。後はオレ一人で見て回る。」
そういってエクスが通路を移動していった。
クルスは部屋に入った。
「シェイド・・・まさかあのことでパイロットになった訳じゃないわよね?」
レイナがシェイドの部屋に来て言った。
「違う・・・って思ってる。・・・けど、そう言われると否定できない・・・」
シェイドが目をそらす。
「そう簡単には忘れられないわよ・・・」
「いつ、怒りが爆発するかわからない・・・オレ自身も怖い。でも、オレみたいな人をこれ以上増やしたくないってのは本当だよ。」
シェイドがベットに寝転んだ。
「寝るよ、少し。」
「わかったわ。じゃあ・・・」
レイナが部屋を出て行く。

「キル・ブロード少佐?」
ティターンズの特殊部隊の隊長のグレン・ブロウバードが言う。
「はい、新しくこの部隊にくるそうです。」
フォール・ライアードが応える。
「どんな奴なんだ?」
「強化人間だと聞いています。」
「強化人間がなぜこの部隊に?」
「実戦テスト・・・だそうですが。」
「そうか、わかった。」
「そろそろ着く頃かと・・・」

「クルス、ブリッジへ来てくれ。」
クルスが目を覚ました。
「わかった。すぐ行く。」
クルスがベッドから起き上がり、ブリッジへ向かう。
「艦長、どうした?」
「これからの作戦はどうする?」
「そうだな・・・モニターにティターンズに関する情報を出してくれ。」
クルスが近くのオペレーターに言った。
「そうだな、このコロニーの付近にティターンズがいるな。」
ヘイトがモニターに映し出されたマップを見て言う。
「こいつを叩くか?」
クルスがヘイトを見る。
「怪しいな、戦艦1隻とは。」
「こっちと同じだな・・・」
「早めに叩いておくか。だが、気をつけろ。特殊部隊かもしれん。」
「わかった。近づいたら言ってくれ。出撃する。」
クルスがブリッジを出た。

「キル・ブロードだ。」
キルはいかにもエリートだ、と言わんばかりの態度で言った。
「部隊長のグレン・ブロウバード少佐だ。この部隊のパイロットはフォール・ライアード中尉とライン・ハンドレッド中尉にハウト・スライサー少尉だ。」
「レーダーに敵機を発見、総員戦闘配置!」
艦内放送とともに警報が鳴る。
「出撃だ、行くぞ。」
「腕前、見せてやるよ・・・」
キルが微笑した。

「あの戦艦か!」
エクスが言う。
「速攻で叩こう!」
アーツが続けた。
クルスとエクスが前に出て、ブーストをかける。
戦艦が機銃を撃ち、クルス達が回避する。
「バーザムが出てきた!」
クルスが言う。
「早い!?並の部隊じゃない!」
ラインが言う。
「あれは!・・・バーザムの全面改修型・・・」
グレンはエクスの方に向かった。
「1対1か。おもしれぇ!」
ラインはアーツの方に向かった。
「じゃ、私は・・・」
フォールがフレイアの方に向かった。
「オレの相手は・・・アイツか!」
ハウトがシェイドに突っ込む。
キルはクルスの方に向かった。
「元ティターンズだなっ!」
「何っ!?」
グレンが接触回線で交信する。
「バーザムカスタムに乗っているからな。」
「ティターンズにいたのは確かだ、だが、今はエゥーゴだっ!」
エクスがサーベルで弾く。
「っ!」
グレンがライフルを抜き、構える。
「遅いっ!」
エクスがライフルごと右腕を斬りおとした。
「ぐぅっ!」
グレンがサーベルで斬り返し、エクスが受ける。
「油断しちまった、オレはグレン・ブロウバード、名前は?」
グレンが訊く。
「エクス・クライド」
「どうりで強いわけだ・・・エースパイロットとは・・・だがこっちも特殊部隊!そう簡単にはいかんぞ!」
「特殊部隊!?」
サーベルをかわす二人。
「あたらない!?」
フレイアのライフルを避けつつフォールが接近してくる。
2人ともほぼ同時にサーベルを抜き、斬り合う。
「やるわね。」
「あなたこそ。」
「名前は?私はフレイア・カーディアス。」
「私はフォール・ライアード。」
2人ともサーベルで斬り合う。
「いきなりブーストかけて斬りかかってくるとはな・・・」
「下手にライフル撃つよりは命中率の高い方がいいからな。」
「オレはアーツ・エイジ、あんたは?」
「ライン・ハンドレッドだ。」
アーツとラインが斬り合い、弾き合う。
「くっ、そこだっ!」
「っと!危ない!」
シェイドのライフルをかわし、接近してハウトが斬りかかる。
「強いな・・・」
「そうか?」
「オレは軍人じゃないからねっ!」
シェイドが弾く。
「にしちゃあおまえも強いぜっ!」
ハウトが斬りつけ、シェイドが受ける。
「名前、教えてくれ。」
「こんな時にかよ・・・シェイド・ファングだ。」
「シェイドか、オレはハウト・スライサー。」
2人で斬り合い、弾き合う。
クルスがビームライフルを撃つ。
キルがあっさりと避ける。
「なにっ!?」
キルがライフルを撃ち、クルスが回避したが、回避先にもビームが飛んできていた。
「くっ!!」
クルスがシールドで防ぐ。
「動きが読まれている・・・?っ!!!」
キルが斬りかかる。
「ふふ、オレはキル・ブロード、おまえの動きは手にとるようにわかる。」
「何!?」
「ニュータイプの力があるからな!」
「(強化人間か!?)」
クルスが斬り返し、キルがよける。
キルが斬りかかり、クルスが受ける。
「っ!」
クルスが二刀流の状態になり、斬りつける。
「へぇ、やるじゃないか・・・・」
キルが斬り返す。
「くぅっ!!」
クルスがギリギリで避ける。
クルスが斬りつけるがキルは簡単に避ける。
この2人以外は戦闘が終了しつつあった。
エネルギーの残りが少なくなったためと、ティターンズの戦艦が戦闘空域から離脱したことによるティターンズの部隊の撤退命令である。
「これ以上はキツいか・・・よし、後退するぞ!」
グレンが叫び、キル以外が従った。
「キル、後退だ!」
「もう少しで隊長機をやれる!」
キルが反発する。
キルはクルスにライフルを連射していた。
「っ・・・」
クルスはシールドで受けるのがやっとだった。
「部隊はおまえだけじゃないんだぞ!」
「なら先に撤退してていい、コイツを片付けてから行くさ。」
キルだけが残った。
「クルスが押されてる・・・」
アーツが呟く。
クルスがキルの攻撃の合間に反撃するがキルには当たらず、クルスの方に当たっている。
「そろそろとどめだ!」
キルがクルスに急接近し、シールドを持っている腕を切断する。
クルスが左後ろの方に下がる。
「(まずい!避けきれない!!)」
次の瞬間、キルのサーベルがバーストガンダムの右脇腹を貫いた。
バーストガンダムの右脇腹が爆発する。
「クルスっ!!!!」
全員が同時に叫んでいた。
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第6話 敗北