第7話 それぞれの過去
クルス達が戦艦に侵入にMSデッキに向かう。
「メカニックはどうする?」
エクスが言う。
「見つからないように行こう。遠回りだけどな・・・」
クルスが応え、コンテナと壁の間を音を立てぬように進む。
クルスとエクスがマラサイの足の近くに着き、後ろを通ってバックパックにつかまる。
「オレはこのマラサイを頂く。エクスは向こうの奴を。」
クルスが囁く。
「わかった。」
エクスが応え、隣のマラサイに向かった。
クルスは、マラサイのコクピットに滑り込んだ。
クルスがマラサイを起動させる。
周りのメカニックがそれに気づき、慌てながらもブリッジに連絡する。
エクスもマラサイを起動させる。
クルスがMSデッキの壁をサーベルで裂き、そとに出る。
クルスとエクスが宇宙に出た。
「以外に早いぜ、クルス。」
エクスがレーダーに映った追っ手を見て言った。
「もう少しコロニーから離れよう。」
クルスが加速した。

アーツはシルフを連れて帰還し、戦艦も港を出港していた。
「外で戦闘を確認!」
レイナが言う。
「クルスたちはうまくやったみたいだな。」
ヘイトが言う。
「2人だけに戦闘させておいていいの!?」
「大丈夫だって、まぁ、そこのモニターで見てろって。」
シルフが訊き、アーツが応えた。
「助けに行かなくていいの!?」
「行こうにもMSは全て改造中で出撃不可。それに、見てりゃわかるよ。」
シルフをアーツが制した。
シルフがモニターカメラからクルスたちの戦闘を見始める。

クルスが出てきたハイザックをサーベルで撃破する。
「マラサイに慣れてきたな・・・」
ハイザックが4方向から斬りかかる。
クルスはサーベルを2つ持ち、下方向に避け、集まった4機のハイザックを下方向から上方向に2本のサーベルを巧みに使い一瞬で撃破した。
エクスは片手にライフル、片手にサーベルを持ち、素早く撃破していく。
「そろそろ片付くな。」
エクスがティターンズの戦艦を見つける。
クルスとエクスが戦艦に急接近し、戦艦にライフルを何発も浴びせ、撃沈させた。
「すごい・・・強いんだ・・・・」
「だから言ったろ?」
シルフが驚き、アーツが言った。
クルス達は残りのMSも撃破し、使えそうなパーツを抱えて着艦した。
「このくらいでいいか?パーツは。」
クルスがマラサイから降りて、メカニックチーフに訊いた。
「これだけあれば足りると思う。」
「早く完成してくれないとこっちも困るからな。」
エクスが口を挟む。
「マラサイじゃあ、反応が遅くてな。」
クルスも言う。
「順調に進んでる。完成を待っててくれ。」
メカニックチーフがMSの方に向かって行った。
「しばらくはエクスと2人で戦闘するしかないか・・・」
クルスがため息をつきながらマラサイを見上げる。
「(エゥーゴ側についてからは補給部隊が来る回数が少ないんだよなぁ・・・)」
クルスが頭を掻き、MSデッキを出てブリッジに向かう。
「艦長、次の作戦はいつだ?」
クルスがヘイトに訊く。
「そうだな、この宙域にいるティターンズを全滅させるか。」
モニターに映されたマップを見てヘイトが応える。
「なるほど、コロニーからあまり離れていないな・・・ここの部隊は危険、ってことか。」
「それまでに完成すればいいが・・・」
ヘイトが言う。
「このコロニーからその宙域まで1週間ぐらいはかかりそうだ、運がよければ完成するだろ?」
クルスはそう言って、ブリッジを出て、自分の部屋に向かった。
途中、リフレッシュルームでクルスが止まった。
中には一人でシェイドがいた。
「どうした?シェイド。」
クルスがリフレッシュルームに入り、シェイドに話しかける。
「あ、クルス・・・・」
「元気がないな。」
クルスがシェイドの横に座る。
「ちょっと・・・ね・・・」
「何か、迷いがあるな?」
「えっ!?」
シェイドがその言葉にとまどった。
「やっぱり、何かあるな・・・眼を見れば判る。」
「・・・・」
うつむくシェイド。
「心の中にある迷い、昔に何かあっただろ?」
「なんで・・・分かるの?」
「オレも経験した。昔にな。」
「クルスも・・・?」
「オレは2度、大切な人を失っている。1人目は、尊敬していた上官。2人目は、部隊の仲間。」
クルスが立ち上がる。
「上官はオレを逃がすために、死んだ。仲間は、オレの部隊をかばって。」
クルスがシェイドに背を向けて言った。
シェイドがクルスを見つめる。
「オレは・・・2つ、命を背負って戦っている。2人ともオレに生きろと言った。オレは何があろうと生き抜いてみせる。」
「・・・多分、オレは・・心の底で、ティターンズを憎んでるんだ・・・。」
シェイドが口を開いた。
「2年ぐらい・・・前かな、ティターンズが活発になり始めた時・・・・」
クルスがシェイドを見る。
「オレの両親が目の前でティターンズのMSに潰されて・・・・死んだんだ。」
「それが迷いか?」
「エゥーゴで戦う理由・・・オレはどっちなんだろうって・・・」
「オレも過去に親友を連邦とジオンの戦闘で失っている。」
エクスが入ってくる。
「いつからいた?」
クルスが訊く。
「クルスがここに来た後から聞いていた。続きは?」
「憎んでも何も変わらないって、解ってるんだけど、たまに思いだすんだ。」
「憎しみは憎しみを産むだけ・・・クルスはそう言ったな。」
エクスがクルスを見る。
「迷いは、いつか身を滅ぼす。」
クルスが言った。
「整理がつかないんだ・・・」
シェイドがクルスを見上げる。
「オレは平和に生きるために戦う。」
「オレは自分にできることをする。クルスと共に、世界のために。」
「・・・・・もう少し、考えてみるよ・・・。」
「答えを焦るなよ。」
クルスが言う。
「わかってる。」
シェイドはリフレッシュルームから出て行った。
「さて、少し休むか。」
エクスも自分の部屋に向かった。
「ログ・・・おまえの分まで生きる。」
クルスはそう呟き、自分の部屋へ向かった。
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第8話 γガンダム