第9話 レイナの出撃
「クルス!至急ブリッジに来てくれ!」
ヘイトがクルスの部屋に通信する。
「わかった!すぐ行く!」
クルスは制服を掴み、着替えながら通路に出てブリッジに向かった。
「何があった!?」
クルスがブリッジに入ってきた。
「近くで友軍が交戦しているんだが、救援信号を出している。」
「出撃だな?」
「ああ、5分後に出撃してくれ。」
「了解!」
クルスがブリッジから飛び出しMSデッキに向かう。
「シェイド、アーツ、フレイア、出撃準備だ!シルフは待機していてくれ!」
クルスがノーマルスーツを着ながらMSデッキで叫ぶ。
全員が準備を始め、MSのコクピットに向かっていく。
「全機、出るぞ!」
全員が出撃する。
「!?・・・マラサイカスタムがいる?だれだ?」
シェイドが遅れて出撃してきたマラサイカスタムを見つけ、接触する。
その機体の肩には7と書かれていた。
それは、機体の識別用のもので、クルスが1、アーツは2、フレイアは3、シェイドは4、エクスは5である。
「だれが乗ってるんだ!?シルフか?・・・って!!!レイナ!?」
「う・・・うん・・・メカニックの人にテストって言って・・・」
「大丈夫なのか!?操縦は?」
「シミュレーターはこっそりやってたから・・・」
「なんで!?」
「戦いたかったから・・・シェイドと一緒に・・・・」
「危険だよ!」
「わかってるわ!でも、シェイドだってそうでしょ?待ってるのも・・・つらいから・・・」
「レイナ・・・。わかった、無茶はするなよ?オレだってレイナに死んでほしくないからな。」
「後ろの方にいるわ。何かあったらすぐに手伝いにいくわ。」
レイナのマラサイカスタムは減速し、途中で止まった。
シェイドがクルス達に追いつくためにブーストをかける。
「!数機のMSに押されている?特殊部隊か!」
エクスがツインアームビームガンで牽制する。
「ビームっ!!」
相手のMS、バーザムカスタムは直前で避け、エクスの方に向き直る。
相手部隊の中に明らかにバーザムカスタムとは違うMSがあった。
ガンダムmk−Uに似ているがそれよりもシャープなデザインだった。
「!あれは!」
クルスがそのガンダムタイプに向かっていく。
「オレ達が戦う、その間に撤退してくれ!」
アーツが友軍の戦艦に通信する。
友軍が撤退をはじめる。
「よし、いくか。」
アーツがバーザムカスタム向かっていく。
ガンダムタイプのMSがクルスに斬りかかり、受ける。
「キル・・・だな?」
「へぇ、この前の奴か、あれで生きてるとはねぇ・・・でも、このガンダムmk−Uカスタムでは生きていられるかな!?」
キルが弾く。
「強化人間用にカスタマイズされてるのか!?」
クルスが斬りつける。

「バーザムカスタムじゃ勝てん!」
エクスがグレンに言い、バーザムカスタムの右腕を斬りおとす。
「ぐっ!」
グレンのバーザムカスタムがシールドでエクス機に殴りかかる。
「力不足だぜ!?」
エクスがかわし、グレンの機体の左腕を斬りおとす。
「・・・・グレン、撤退する。」
グレンが戦艦に向かった。
アーツとライン、フレイアとフォール、シェイドとハウトが戦闘をしている。
エクスはクルスの方に向かった。
クルスはキルと斬り合っていた。
「バーザムカスタムじゃだめか・・・撤退する!」
ラインが呻く。
右足を切断され、左腕を失ったバーザムカスタムが撤退する。
「ふぅ、いい性能だよ・・・γガンダム。」
アーツが一息ついた。
フレイアもフォールの機体の右腕と右足を斬りおとし、撤退させシェイドもまた、ハウトの機体の頭部と左腕を破壊して撤退させていた。

「クルス!大丈夫か!?」
エクスがクルスのところに来た。
「強化人間だ、手強い。エクス、共同戦線でいこう。」
「OK、行くぜ!」
「2体がかりか?いいだろう。来い。」
クルスが右に、エクスが左に回りこみながらツインアームビームガンを連射する。
「甘いね・・・」
キルがかわしながら反撃でライフルを撃つ。
クルスとエクスはシールドで防ぐ。
クルスとエクスが同時に斬りかかるが、キルは両方とも受ける。
キルが2人を弾く。
弾かれた2人がツインアームビームガンですぐに反撃するがキルは避ける。
クルスが斬りかかり、キルが避ける。
「これならどうだっ!」
クルスがヘッドバルカンを撃つ。
「ちょこざいな!」
キルはクルスに対し下方向へ避ける。
「くそっ、どれも撃つ瞬間に回避行動に入られる・・・」
エクスが呟く。
「キル少尉!撤退だ!」
グレンが通信する。
「またか!?」
「おまえ以外は全員が被弾し、帰還した!」
「一人でも十分だ。待ってろ。」
「何っ!?また身勝手なことをする気か!?」
「1機墜としたら行く。」
キルがビームマシンガンを取り出し、連射する。
「っ!!ライフルだけじゃなかったのか!?」
クルスがブーストをかけてギリギリでかわす。
「追いついてくるっ!?」
シールドを構えるクルス。
「クルスっ!」
エクスが叫ぶ。
ビームマシンガンが追い付き、シールドの表面を削っていく。
「おまえにはこれだ!」
キルがクルスにビームマシンガンを撃ちながらエクスに向かって腕に装備されたグレネードランチャーで攻撃する。
「っ!」
エクスの避ける方向にグレーネードランチャーが飛んでくる。
シールドで防ぐが、シールドが破壊された。
クルスもシールドが耐えられなくなってきていた。
「終わりだ!」
キルが叫ぶ。
だが、クルスのγガンダムは撃破されなかった。
「キル!早く撤退しろ!」
「ちっ、運がよかったな。」
キルが撤退する。
クルスの機体の前にはボロボロのマラサイカスタムがあった。
ビームマシンガンがマラサイカスタムの全身に直撃していた。
右腕の肘から先が吹き飛び、左足も膝から無くなり、右足の装甲ははげて、左腕は肩から先が吹き飛んでいる。
頭部も吹き飛び、ボディにも何発か当たっていた。
一瞬、何がどうなったのかわからなかった。
「!!レイナ!!」
シェイドがレイナのいた方向を見る。
そこにレイナのマラサイカスタムの姿はなかった。
「・・・・まさか・・・・レイナ!?」
シェイドがそのマラサイカスタムに近寄る。
レイナの乗っていた機体と同じ番号が肩に書いてあった。
マラサイカスタムの通信は不通になっていた。
「何っ!?」
クルスがシェイドの方を見る。
「レイナァァァァァァァァァ!!!!!」
シェイドの絶叫が響いた。
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第10話 悲しみを越えて