第10話 悲しみを越えて
「シェイド!とにかく急いで戦艦に!」
「あ、ああ!わかった!」
クルスが言い、シェイドが従った。
全員がブーストを最大にして帰還する。
戦艦に急いで戻り、シェイドがコクピットから飛び出す。
破損したマラサイカスタムに近寄り、コクピットハッチを開ける。
「レイナ!」
シェイドがコクピットからレイナを出す。
そのままMSデッキの床に連れてくる。
「レイナ!レイナ!」
シェイドがレイナの体を揺さぶる。
「シェ・・イド・・・」
「レイナ!!」
「なぜ、オレを助けた?」
クルスが来た。
「もう・・身近な人に・・・死んで・・・ほしくない・・から・・・」
途切れ途切れに言う。
「すまない・・助かった・・・ありがとう・・・レイナ」
クルスが礼を言った。
「シェイド・・・ごめんね・・・大好き・・」
「レイナ!オレもだ!」
「・・・ありがとう・・・」
レイナが少し重くなった気がした。
「レイナ?おい!レイナ!」
揺さぶるが反応が無い。
「・・・う・・・嘘だろ・・・?」
シェイドの目から涙が溢れ出す。
「今日は一人にさせてやろう・・・」
クルスがMSデッキにいた人をMSデッキから出した。
みんなが部屋へ戻っていく。
「オレの・・・オレの戦う理由は・・・守るためじゃなかったのかっ!?」
シェイドが一人きりになったMSデッキで途切れ途切れに言った。
「守れなかったじゃないかっ・・・守りたかったのにっ・・・」
MSデッキにシェイドの声が響き渡る。
「何のために今まで戦ってきたんだ!!!オレはぁっ!!!!!」
シェイドが泣き叫ぶ。
「・・・シェイド・・・オレには・・・何も言うことはできない・・・・」
ドア越しに聞いていたクルスが部屋に戻っていく。
その夜はMSデッキには嗚咽が響いていた。

あれから2、3日が経った。
「シェイド、どうしたかな?」
エクスが呟く。
「部屋にこもりっぱなしだったからな。」
となりにいたクルスが応えた。
「ん?シェイド?」
「クルス!」
シェイドの部屋の前を通る直前にドアが開きシェイドが出てきた。
「もう大丈夫なのか?」
エクスが訊く。
「悲しんでいたって生き返る訳じゃないからね。それに・・・決めたんだ。」
「(シェイドの眼・・・)」
「もう、振り返らない。振り返らずに進むよ!」
「(迷いが消えた・・・)そうか。」
クルスがうなずく。
クルス達がブリッジに向かう。
「クルス、いいところに来たな。」
「何かあったか?」
「ああ、敵の部隊が近くにいる。コロニーへのコースをとっている。」
「出撃・・・だな?」
エクスが割り込んだ。
「そういうことだ。」
「すぐに出る!」
クルス達がMSデッキに向かった。
「全員出撃だ!シルフ、出られるか?」
「いいよ!マラサイカスタムもだいぶ改良されたし、ついていける!」
全員がコクピットに入り、カタパルトで出撃して行く。
「レイナ・・・オレはもう、迷わない!見ていてくれ。」
シェイドが呟く。
敵部隊は戦艦が10隻。
MSが出撃してくる。
クルス達は真正面から突っ込んでいく。
戦艦の艦砲射撃を避け、マラサイやバーザムのライフルを避けながら近づいていく。
「いくぞ!」
シェイドがライフルを連射し、マラサイを3機撃破した。
サーベルで斬りかかるマラサイの攻撃を避け、サーベルで斬り返し、撃破していく。
「シェイドの戦い方、まるで別人だな・・・」
アーツが呟く。
クルス、エクス、シェイドはブーストをかけて突っ込んでいく。
「シェイドってあんなに強かったっけ?」
シルフも呟いた。
クルス、エクス、シェイドが1隻づつ戦艦を撃沈する。
アーツ、フレイア、シルフも遅れて戦艦を1隻づつ撃沈した。
多数のバーザムがシェイドに斬りかかる。
シェイドがサーベルで近くにいるバーザムを撃破し、遠くにいるバーザムをツインアームビームガンで撃破する。
アーツ、フレイア、シルフもバーザムやマラサイを撃破していく。
もちろんクルスとエクスはそれ以上に撃破している。
「マラサイカスタムって言うけど、性能はマラサイなんてもんじゃないなぁ。」
シルフがバーザムのボディを横に切断し、撃破して呟いた。
ツインアームビームガンとライフルを使い分け、シェイドがクルス、エクスとともにMSをなぎ倒していく。
戦艦もクルスが3隻墜とし、エクスとシェイドが2隻、アーツ、フレイア、シルフが1隻墜としていた。
シェイドの働きで敵部隊の全滅が早かった。
「シェイド、変わったな。」
アーツが言う。
「迷いが無くなったのさ。」
クルスが応えた。
「じゃあ、シェイドの本当の能力ってクルスとかエクス並みってこと?」
フレイアが口を挟んだ。
「さぁな。」
クルスはそう言うとブーストをかけて戦艦に戻っていった。
着艦し、全員がMSから降りる。
クルスはブリッジに向かった。
「艦長。」
「クルスか、早かったな。で、この前入ってきた時の用は?」
「ああ、ティターンズの特殊部隊のことなんだ。」
「やはりそうか、情報は集めてある。」
「今どこに?」
周辺宙域のマップが表示される。
「この辺りだ。どうする?行くか?」
「そうだな、そろそろ決着をつけるか・・・」
「わかった。準備は万全にしとけよ。」
「ああ。」
クルスはブリッジを出て部屋に向かった。
「次で決着をつける。」
クルスが呟いた。

一方ティターンズの特殊部隊では・・・
「これがガンダムか・・・・」
ハウトがMSデッキにある新型を見て言った。
ガンダムmk−Uをカスタマイズしたもので、ガンダムmk−Uに似ているが、デザインがシャープで、カラーリングも違っていた。
ティターンズで最初に造られたmk−Uは黒だったが、カスタマイズされているこのmk−Uは青っぽい感じである。
「ガンダムmk−Uカスタム、mk−Uプラスだ。これならあのガンダムとも互角に戦えるはずだ。」
グレンが言った。
「キル少尉のやつは少し違うんですね。」
「mk−Uカスタムだが、あれは強化人間専用だそうだ。確か、mk−UEXとか言うらしいが。」
ガンダムmk−Uプラスの横にあるガンダムmk−Uカスタムを見て言う。
「いつあいつらが来るかわからんからな、準備しとけよ。」
「はい!」
グレンが言い、ハウトが応えた。
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第11話 一人一人の激戦