第5話 新型との戦闘
「エクス、出るぞ!」
エクスは基地の中に破損したグフを置き、機体を変えて再出撃した。
「!?なんだありゃあ・・・・・」
出てきたMSを見たアーツが呟く。
「あれが・・・新型か!?」
ログはそのMSがターゲットだと思った。
そのMSは、宇宙での戦闘に投入されている高性能MS<ゲルググ>に似ていた。
だが、それが試作機である事は機体のカラーリングと装備から推測できた。
カラーリングは、陸戦型GMに似ていたが少し濃い。
左腕のシールドは主にザクUが使う手持ちのシルードである。
右手にはエクスの乗っていたグフの物と思われるヒートソードが握られていた。
その新型がクルスに向かって一直線に来たことでクルスにはそのMSのパイロットがエクスであることが判った。
「エクスか・・・この状態で・・・やれるか?」
クルスが呟く。
さすがに完全な状態でないと不安である。
「ん?・・・・!」
クルスが何か閃いた。
その間に新型がクルスに迫ってきた。
クルスは向きを固定して後ろにブーストをかけた。
「クルス・・・逃げる気か?」
そのMSにはクルスの思ったとおりエクスが乗っていた。
エクスはクルスのジムコマンドに接近していった。
「!・・・早いっ!」
エクスの新型がクルスのジムコマンドに追いついた。
それと同時にヒートソードが振り下ろさる。
クルスがビームサーベルで受ける。
ビームサーベルとヒートソードをぶつけたまま後ろに下がる。
クルスの後ろに海が近づく。
「左腕の回路・・・OFF!」
クルスは呟き、左腕の機能を停止させた。
「うおおおおお!」
クルスのジムコマンドがエクスの新型を弾く。
弾かれた新型が突っ込んでくる。
「よしっ!」
クルスはジムコマンドを横にステップさせてタックルをかわした。
「何!?」
水しぶきが上がり新型が海の中に突っ込んだ。
クルスも新型を追って飛び込む。
クルスのジムコマンドがエクスの新型に斬りかかる。
エクスがヒートソードで受ける。
「!?まさか左腕の回線を切ったのか!?」
エクスがだらんとしている左腕を見て言った。
「ああ、切り口に水が触れてショートしないようにな。」
「さすがだな!クルス。」
「その新型は破壊させてもらう!」
「できるのか?この陸戦仕様ゲルググをなめるなよ!」
陸戦仕様ゲルググが弾く。
「サーベルフルパワー!」
クルスはサーベルのパワーを最大にして斬りかかった。
「っ!」
エクスがヒートソードで受ける。
「な!?」
ヒートソードがビームサーベルによって少しずつ削れていく。
「水中でヒートソードは威力が落ちる!」
クルスはいっきに押した。
エクスはヒートソードを前に押すようにして後ろにさがった。
ヒートソードがビームサーベルに両断される。
「ちっ!」
エクスは水上にでた。
水しぶきが数秒間視界を遮る。
クルスも水上に飛び出した。
クルスの視界が水しぶきで遮られている間にエクスが基地のほうにさがる。
視界が戻り、クルスがゲルググを追う。
「逃がすか!」
クルスがバックパックに装備されていたロケットランチャーを右手に持ち、トリガーを引いた。
エクスが回避する。
クルスはエクスに向かって6発連射した。
エクスは5発回避し、6発目をシールドを投げて防いだ。
エクスが倒れているグフに近づき、ヒートソードを取りクルスに突っ込んできた。
「っ!」
ロケットランチャーが斬られ、爆発した。
クルスが180mmキャノンに持ち替える。
「いくつ武器を持ってやがる!」
エクスがヒートソードで斬りかかった。
「これだけ近ければ外さない!」
クルス180mmキャノンのトリガーを引いた。
「うっ!?」
ゲルググの左肩に命中し、吹き飛ぶ。
その影響でゲルググの重心がずれて右肩から、回転するように倒れる。
「さすがに片手で180mmキャノンを撃てば、軌道もずれるか・・・」
クルスが呟く。
「まずいな・・・エネルギーが残り少ない・・・・」
クルスがモニターに表示されたエネルギーの残量ゲージを見て呟いた。
「クルス!」
アーツが通信してきた。
「アーツか、どうした?」
「戦闘続行が厳しくなってきた、どうする?」
「!」
クルスが少し止まった。
「・・・?おい!クルス!どうした!」
「あ、ああ、そう・・・だな。」
「さっき・・・どうした?」
「なんでもない。」
「ならいいんだが・・・」
「ログとフレイアの状況は?」
「オレと同じ・・・弾薬もエネルギーも尽きてきた。」
「・・・・・いったん退こう。」
「了解。」
クルス達が撤退を始めた。
その直後ゲルググが起き上がる。
「・・・クルス・・・退くのか・・・。」
エクスが呟いた。

クルス達が帰還し、艦長が話しかけてきた。
「どうだった?」
「任務失敗だ。新型があった。」
「そうか、だが、新型があることが判明しただけ良かった。」
「ゲルググタイプだった・・・」
「ゲルググ!?それが新型か?」
「いや、それの陸戦タイプだ。まだ不完全な状態だったが十分性能は高かった。」
「ジムコマンドでは力不足か・・・次の補給の時に新型を持ってきてもらうか・・・」
「新型?」
「ああ。ま、今日は休め、疲れたろ?」
艦長はそのままブリッジの方に行ってしまった。
クルスが自分の部屋に入ろうとした時。
「クルス」
「?」
クルスが振り返る。
そこにはアーツ、ログ、フレイアがいた。
「さっきの、気になってな・・・」
アーツが話をきりだした。
「クルスってこの部隊の隊長任されてここ来た時から自分のこと何も話してないけど、前に何かあったの?」
フレイアが続ける。
「通信、聞いててオレも気になった。」
ログが言う。
「・・・・・そうだな・・・・」
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第6話 過去と現在