プロローグ 配属の前夜
エゥーゴ、ティターンズ、ネオジオン、三つ巴の戦いの末にティターンズが敗れ、後に言う第一次ネオジオン抗争のさなか・・・。

サイドWシルドレインコロニー・・・。
エゥーゴによって管理されているコロニーである。

このコロニーではもう夜の時間。
「明日から配属か・・・。」
自室で一人、ネオン・ノーティスは呟いた。
期待とも不安とも取れない声だ。
なぜなら、ルーキーなら一度は経験するであろう、その感情と彼は戦っていたのだ。
兵学校を卒業して明日から配属というわけである。
この住み慣れたコロニーを離れることや、親しんだ学友と別れることはもちろん心配だった。
しかし、何より配属先の新しい仲間とうまくやって行けるかが不安で仕方なかった。
その時、自室のドアを叩く音が聞こえた。
「誰だ?」
と、ドアの向こうの相手に彼は尋ねた。
「オレだ、オレ。」
「ああジックか。入れよ。」
ドアを開けて入って来たのは、ネオンにとっては見慣れた顔だった。
同じ兵学校を共に卒業したジック・シリンダーであった。
「最後くらいは会っておかねえとな・・・。」
ジックが椅子にかけながら言った。
「配属が同じなら良かったんだがな。」
と続けた。
「仕方ないさ、どこに就くかなんて上の決めることだろ?僕は実験部隊だけど、君は補給部隊なんだし、また会うことだってあるさ。」
気休めだな、とネオンは自分で言いつつ思った。
それでも口に出したのは、不安なんだろうな、とすぐに判ったからだ。
同じルーキー同士、気持ちは誰でも同じだ。
「そうか・・・そうだな・・・。」
ネオンの言葉に答えたと言うより、自分に言い聞かせているようだった。
「明日は早いぜ。君も早く休めよ。」
「そうだな・・・。」
ジックが腰を上げてドアに向かった。
ネオンはジックが部屋を出る前に言った。
「わざわざすまなかったな。」
ジックは振り向かず、
「おう。」
とだけ言って出て行った。
親友との別れはこれで十分だった。
彼は少し落ち着いて眠りについた。

戦いの行方も今は知らずに・・・。
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第1話 初出撃